小説中華そば江ぐち: アクマとタクヤのラーメン屋 (新潮OH文庫 102)
- 新潮社 (2001年6月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102901021
感想・レビュー・書評
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【本の内容】
そのラーメン屋は僕の青春だった。
タクヤ、アクマ、オニガワラ。
チャシューメンの懐かしい味。
そして、愉快な友人たち。
爆笑、哀切。
これぞ、エッセイの傑作。
[ 目次 ]
1 江ぐち、店とそのラーメン
2 江ぐちを食べる者たち
3 江ぐちのメニュー
4 江ぐちを作る者たち
5 江ぐちに近づき、江ぐちを離れて
6 カウンターの彼方に
7 江ぐちのイヤな客
[ POP ]
いいなあ。
すごくいい。
近所のラーメン屋にまつわるバカ話をいつもつるんでる仲間同士でああだこうだ言い合うだけの本である。
それなのになんて面白いの。
まずメニューの「チャーシュー」が「チャシュー」になっていたり「シナチク」を「竹の子」と呼んでいるところがいい。
そして店員に勝手にアダ名をつけて妄想をふくらませるところが特に笑える。
挿し絵も楽しくて「大盛り髪の毛の男」とか「アクマ」とか一度見たら忘れられない味わい。
「江ぐち」は情報誌やテレビで紹介される行列のできる店とは違う。
でもとっても美味しそう。
うだるような暑い夏、近所のラーメン屋でビールを飲みたくなる。
蘊蓄たれるグルメガイドとは対極にある、のほほんとした一冊。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
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914.6
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エッセイ?小説?ってなる感じ。特別おいしいってわけじゃないけど近所にある気になるお店ってあるよね。
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三鷹にあったラーメン屋「江ぐち」のことだけを綴ったラーメン本。いろんなお店を食べ比べたり紹介している本はいくらでもあるけれど、1店だけで1冊の本を書くってのは普通はなかなかできることじゃないと思う。でも逆にいつも通ってるお店のことなら、いくらでも書けるってこともあるなと思わせてくれた一冊でもあります。残念ながら2年前に閉店してしまっていて、食べに行くことができないタイミングになってしまったのですが、そんな風に愛された店が三鷹にあったんだなぁと思った一冊でした。
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仲間同士の妄想たちの内輪受け!そのターゲットの『江ぐち』。
仲間に入れてもらったようですごく楽しかった。アホだけどね。
文体には時代(’85)を感じて懐かしかった。ラジオを聞いているよう。( 孤独の中華そば「江ぐち」 として復刊している。) -
著者が昔から愛するラーメン屋「江ぐち」についての思い出エッセイ。いや、思い出というか妄想エッセイか。
同じ「江ぐち」の常連仲間とバカ話をしながら、ひたすら「江ぐち」についての妄想を膨らませていく。従業員の前職や家族、メニューの由来などを推理しあう。そんな無駄な身内ネタでつぶす時間は青春ならではだ。
しかし、これだけの妄想・情報を店に無許可で垂れ流してしまうって、どうなの? -
普段エッセイやグルメものはあまり読まないけれど、コレは良かった。
タイトルに“小説”とはあるものの、「江ぐち」は実在する。
「江ぐち」というラーメン屋さんが大好きな作者による「江ぐち」の観察妄想日記といった所。
最初はラーメンや店の作りを観察・ツッコミを入れているだけだが、4章「江ぐちを作る者たち」で妄想が爆発! そしてココが1番面白い。
直接本人達に質問する事なく、友人と共に妄想と小さな事実検証(他のお客さんとの会話に聞き耳を立てたり自転車に書いてある名前を覗いたり…)を重ねながらキャラクターを作り上げ、「タクヤ」と「アクマ」の性格対比表まで作ってしまう始末。
この妄想が膨らんでしまう所、「知りたい!」という気持ちが掻き立てられてしまう所、
作者の「江ぐち」への愛情が感じられます。
読了後、私のお気に入り中華そばを食べに行きたくなりました。
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そのラーメン屋は僕の青春だった。タクヤ、アクマ、オニガワラ。チャシューメンの懐かしい味。そして、愉快な友人たち。爆笑、哀切。これぞ、エッセイの傑作。 -
一度食べてみたい。
なんておいしそうなんだろう。 -
読み返すのは10回以上だと思う。だから、もうボロボロになってる。
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とある実在のラーメン屋(ってタイトルに店名入ってるけど)に通っていた筆者が、店主や店員のたたずまいや店の様子から空想をどんどん広げていって一冊の本にしてしまった、という不思議な本です。電車に乗っている時とかに「あそこに居る女の人はOL?隣の男の人は敬語を使ってるから上司かなぁ。不倫カップル?」なんてついつい考えをめぐらせてしまう空想好きには、この空想加減がたまらないこと請け合いです。