消された一家: 北九州・連続監禁殺人事件

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 53
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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103005117

感想・レビュー・書評

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  • 現実とは思えない話。
    極限状態に置かれたら人は何をするかわからないという怖さを知った。
    松永は頭がおかしい。だけど他の人もどうしてそのようになってしまうのかが理解できない。
    なぜ松永と男女関係になるのか。そして離婚してしまうのか。女の場合はそこから狂っている。

    私は大丈夫と思っている人ほど危ないのかもしれない。また、下手に頭の良い人間、今まで穏やかな人生を送ってきた人間ほど、刺激的なことに手を染めてしまうのか。

    ある宗教集団の持っている狂気も垣間見えた。そして戦争中にやはり不本意にも命令で人殺しをしてきた人たち。命令だったから、やらないと自分が殺されるから。ナチのカポーが良い例のようだ。そもそも戦争という場を作ってはいけない。
    だから、何が何でも現在の首相の思い通りにさせてはいけない。日本人は戦争放棄だ。他の国に何を言われて良いではないか。今までたどってきた間違いを何の教訓にもできないようでは日本はおしまいだ。

    人は極限に置かれれば何でもする。それを強く思った。


  • 2017.6.3
    胸糞が悪くなるような殺人事件のノンフィクションを読むのがたまらなく好きなのですが、さすがの私も読んでて気分が悪くなり、何回も気分転換しながらじゃないと読み終えられませんでした。
    あまりに凄惨すぎて報道規制されたというのも納得。
    そんきょのポーズは完全にトラウマです。
    金を巻き上げられ、汚物を食べさせられ、通電され、家族で殺し合いをさせられてもなお松永に従い、逆らいもしない被害者の姿にも戦慄を覚えます。マインドコントロール怖い。怖すぎる。
    少女が逃げ出すことに成功しなければ、この犯罪が完全犯罪になっていた可能性が高いことが何より恐ろしいです。
    今までで知った中で間違いなく一番胸糞の悪い事件です。
    いったい松永のマインドコントロール術とは…想像もつきません。
    もし、松永のような人物が自分の近くに現れでもしたら…どうしたらいいのでしょうか?逃げられる気がしません…。

  • いろいろひどすぎて、TVでは触れられることがなくなった事件です。
    証言ベースの本ですが、いろいろとほんとうにひどいです。
    自然と他人を洗脳したり従えたりする才能を持っている人間が、それを悪用するとこうなるという結果でしょうか。
    他にも似たような事件はあって、それらはなんだかんだとTVでも取り上げられるんですが、こちらはさっぱり取り上げられないんですよね。
    なんというか、ミステリーやサスペンスを読んでいるような気分でした。
    中身については、胸糞悪くなる内容が多々ありますので、読んでみようと思った人はご注意を。

  • 現実に起こった事件と思うと怖くなる。自分も被害者になった時を考えると、逃げ出せるか自信がない。子供を殺す場面は、悲しく、やりきれなかった。

  • 唯一の生き残りである少女と、黙秘から一転、自供を始めた緒方容疑者の証言を元に構成されている。DV関連の著作を持つ著者の知識もあり、被害者心理が解説され、こちらの理解を助けている。
    主犯である松永について、著者はこう言っている。「私はふと、松永という男は、血の通ってない怪物に違いないと、本気で思いたくなる衝動に駆られる。それで自分を納得させられれば、どれほど気分が楽になるだろうと思う。」
    松永自身の供述は芝居がかり、嘘にまみれた物であり、親戚や関係者はほとんどインタビューに応じようとしない。
    死刑執行を前にしても、この男が本心を語ることは、決してないだろう。
    緒方一家を全滅に追いやり、大勢の人間の人生を狂わせた男の動機も、そんな人間が生み出された要因も、この先解明されることはない。
    何か一つでも得ることがあればと、松永の証言に耳を傾け続けた著者の徒労感が、あとがきから伝わって来た。

  • 2013.06.01

  • 2012年、世間を戦慄させた「尼崎事件」。この類似事件と言われる「北九州監禁殺人事件」を追ったドキュメント。

    しかし15年ほど前とは言え、北九州の事件に関しては、自分の記憶の中にあまり残っていない。それもそのはず、この事件はあまりの残虐性・特異性から、報道規制がかかっていたと言われている。確かに、本書の記述でも、この世のものとは思えない凄惨な監禁生活や死体処理方法などがこれでもかと描かれており、最悪の読後感を残す。中でも、幼い子どもが巻き込まれるシーンは、子どもを持つ親としてまともに読んでいられなかった。

    それだけリアルに描かれているということでもあるから、マインドコントロールされる側の心理を知るには、読んでみるのも良いかもしれない。周りに第二の松永がいないとも限らないのだから。

  • 借りてきて、その日のうちに読んでしまいました。
    あまりにも常軌を逸した出来事の数々で、読み終わった後気が滅入ってしまいました。

    筆者もそのように書いていますが、これだけ丹念に事件を辿っていっても、松永には「人間らしい部分」というものが全く見受けられず、微塵も反省の色を見せない姿が非常に恐ろしいです。
    こいつは本当に自分と同じ人間なのか?と疑いたくなる気持ちもわかります。

    マインドコントロールって恐ろしい…
    この事件は特別なのはわかっているけど疑心暗鬼になりますね。
    実際に似たような事件も最近起きていることだし…

  • 人はここまで残虐になれるのでしょうか。支配される側、支配する側。
    逃亡さえ出来なくなる。怖い。

  • 何かルポルタージュものを、と思って手にした本だが、読まなければよかった。。。
    酷い事件だ。。。
    あり得ない事件だが真実なのだ。。。

    1人の天才殺人鬼・松永太の指示により、家族が互いに殺し合った猟奇的殺人事件についてのノンフィクション。
    途中で何度も読むのをやめようと思った。
    フィクションより酷い。。。

    松永太には緒方純子という愛人がいた。
    殺されたのは全員、純子の親族だ。
    金づるとして利用した挙句、これ以上絞り出せないとわかると命を奪っていく。
    奴隷として最下層に置かれた者から順番に。。。
    しかも松永は自らの手を下すことなく、いわば人質たちを殺人者に仕立て上げたのだ。

    1人が死ねばまた新たなターゲットが生まれるだけなのに。。。
    自分が最下層になりたくないばかりに、家族はお互いのあることないことを松永に密告し、互いに疑心暗鬼になっていく。
    途中でなんとかならなかったのかと思うが、人質にされた一族は、厳格で生真面目、プライドも高く、世間体を気にする要素を持っていたそうだ。
    そんな性格がかえって災いしたのかもしれない。

    純子も、自ら虐待を受けながら、松永の言いなりに殺人と遺体の処理を行っている。
    自白をしたのも純子のほうで、松永は容疑を否認し、すべての罪を純子に押しつけようとしていたという。

    2人は死刑判決を受けた。
    オウムの事件のときも思ったが、重大な事件の犯罪者に対し、死刑以上の、死刑よりも重い刑罰が必要なんじゃないだろうかと思う。(それが何かわからないけれど。。。)
    自らの罪を認め多少ながらも反省している人間と、まったくしていない人間が同じ刑罰というのも、どこか納得がいかない。。。
    (昨年12月、最高裁から判決が出て、松永が死刑、純子のほうは無期懲役になったそうだ。)

    この犯罪が発覚したのは、この一連の事件の片棒を担がせられた第一の犠牲者の娘である恭子が逃げ出したからだが、もし逃げていなければ、間違いなく殺されていただろう。

著者プロフィール

1966(昭和41)年、東京生れ。早稲田大学第一文学部卒。ニューヨークの日系誌記者を経て、ノンフィクション作家に。戦争、犯罪事件から芸能まで取材対象は幅広く、児童書の執筆も手がけている。『ガマ 遺品たちが物語る沖縄戦』(講談社)は、厚生労働省社会保障審議会の推薦により「児童福祉文化財」に指定される。著書に『妻と飛んだ特攻兵 8・19満州、最後の特攻』(角川文庫)、『消された一家』(新潮文庫)他多数。

「2018年 『ベニヤ舟の特攻兵 8・6広島、陸軍秘密部隊レの救援作戦』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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