寒灯

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (150ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103032335

感想・レビュー・書評

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  • クズ沼⁡
    ⁡⁡
    ⁡ってな事で、西村賢太の『寒灯』⁡
    ⁡⁡
    ⁡陰雲晴れぬ⁡
    ⁡肩先に花の香りを残す人⁡
    ⁡寒灯⁡
    ⁡腐泥の果実⁡
    ⁡⁡
    ⁡の連続短編集。⁡
    ⁡⁡
    ⁡じゅんこに貰った『暗渠の宿』の続編になるんかな…
    ⁡⁡
    ⁡北町貫多と名を変えた著者の自伝となる内容じゃが、暗渠の宿より更にクズっぷりな歪んだ性格に、己に辟易しながらもどうにも直せない性格とセルフコントロール。⁡
    ⁡⁡
    ⁡こんなにも自分の恥部を晒す小説を世に出せる、度胸と言うのか…

    感動の念すら覚えて西村賢太クズ沼にズブズブとハマっていっている自分…
    ⁡⁡
    ⁡貫多の怒りの沸点が、何故そんなことでっ⁉️や⁡、喧嘩の言い返しの我儘で鬼の様な自己中心的な攻撃がクセになる
    ⁡⁡
    ⁡ほんま無茶苦茶
    ⁡⁡
    ⁡苦役列車を再読したくなるな~
    ⁡⁡
    ⁡2023年6冊目

  •  匂いに過敏な北町貫多の物語。連作4話。西村賢太「寒灯」、2011.6発行。自分本位で、一緒にいる女性に対する思いやりがなく、些細なことで暴言を吐き怒声をあげる男。これでは共同生活はできません。

  •  芥川賞受賞第1作となった表題作を含む最新短編集。収録作4編はいずれも例の「秋恵シリーズ」――同棲していた女性との暮らしに材をとったもの――である。

     そのうち3編はこれまで同様、主人公(作者の分身)がささいなことで秋恵に対してブチキレ、暴言を吐いたり暴力をふるったりして修羅場となるストーリー。

     なじみの読者から見ると、主人公がブチキレる瞬間がクライマックスで、そこに至るまでのじわじわと進む盛り上がりが、ジェットコースターがゆっくり坂をのぼるプロセスのように思える。

     西村の高い筆力ゆえ、他愛ない話でもそれなりに読ませるが、さすがにもう飽きた。
     くだんの女性と暮らした期間は1年余だそうだし、たったそれだけの生活でたくさんの短編が書けたのだから、もういいんじゃないのと言いたくなる。おいしいネタから先に小説化しているだろうから、だんだん出がらしみたいになってきたし。

     残りの1編――最後に収録された「腐泥の果実」では、現在の西村(作中では北町貫多)が秋恵との同棲生活を思い出す未練たらたらの姿が描かれる。文中に秋恵への「惜別の辞」めいた言葉がちりばめられており、「お、もしかしてこれで秋恵シリーズは打ち止めかな?」と思わせる。

     まあ、あとは秋恵が他の男のもとに走って西村を捨てる“クライマックス”が書かれずに残っているけれど……。

     それにしても、秋恵シリーズを読むたびに思うことだが、秋恵という人はなんとよくできた女性であることか。こんな身勝手なサイテー男を相手に、よくまあ1年以上もガマンしたものである。
     秋恵は東北出身だと作中に書かれているが、東北女性の美点を一身に体現したような女性だと思う。

     こんなサイテー男のサイテーな行状を書きつらねた小説が面白いのだから、文学ってつくづく不思議だ。

  • 芥川賞を授賞した西村賢太氏が受賞後に最初に発表した作品「寒灯」を読了。彼の授賞前の私小説にも出て来た貫多と秋恵の同棲生活を描いた短編を集めた作品だ。糊口を凌ぐすべとしてかける物が自身の赤裸々な過去だったのだろうが、読者としては他人の生活をのぞいてしまっている気まずさみたいのが読み始めてからずっとありあまり気持ちよい読後感はなかった。まあ本当に簡単に読めるという意味では軽い物を読みたい人にはいいかもしれないが、先に書いたが他人の恋愛での失敗模様を読みたいかどうかで購入を決めた方がいいかも。そんな最近ではめずらしい私小説を読むのに選んだBGMは

  • ☆3つ

    4~5つの短編集。2011年の塵芥賞受賞後初めての新刊。
    表題作の「寒灯」はどうやら本当に塵芥をもらった後に書いたものらしい。

    でも本中の並びではそれ以前に書いた「腐泥の果実」が最終話になっているし、そ
    うでないとおかしい。
    これは、先に「腐泥の果実」ありきなのだけど、本一冊にするのはどうにも作品数
    不足なので、あと一遍書かせたい。
    が、しかし「腐泥の果実」も枯れ木も山の賑わい的に本の中に加えざるを得ないと
    したら「寒灯」はこういうストーリー仕立てにして欲しい、と新潮社の編輯担当者
    が東町癇汰 いやもとい北町貫多に強請ったものであろう。
    (「編輯」と書いて編集の意。読みも全く同じ。要するに気取っているだけなのであっ
    たwww)

    そもそもこの作家の作品を読む理由は
    1.自分はこうまでだらしなく感情的で暴力的な男でわあるまい、と自己確認する
    2.明治の昔に戻った様な語り口がちょっとカックよくて飽きるまではめづらしい

    そしてこれが最大の理由だが
    3.本が薄くて購め易く読みやすい(”購める”で”もとめる”と読ませる)

    さあ、あと2~3冊で北町貫多君の作品は全部読み終える模様なので、せいぜい切
    りの良いそこまでは付き合う事にする。

  • 西村賢太作品5冊目を読み終えた。芥川賞受賞作『苦役列車』よりも後に出版されたものなので、話題も比較的新しい。
    以前読んだ作品にもちょくちょく登場していた恋人秋恵との同棲生活が話のメインになる。相変わらずの貫多の性癖、嫌いだわ。秋恵もよくこんな奴と付き合って、1年半以上も辛抱したなと思う。でも、男って未練タラタラなんですよ。好きな女が離れていけば、どんな愚か者でもなかなか立ち直れない未練の生き物なんですよ。そんな俺も未練タラタラなタラ男です。「腐泥の果実」では離れていった秋恵への未練タラタラ感が、情けなさと共に何故か共感できてしまう男の性が表現されていて、タラ男の私、読んでいて切なかったですわ。

  • NHK週刊ブックレビューで紹介されていたので読んでみた。

    他の人のレビューを見たら、シリーズ物らしい。

    主人公は性格がクズな人間だけど、初めて同棲する相手を見つけた。
    そのことに浮かれていたが、だんだん本性がでて、相手が去っていくという話。

    主人公の性格はホント読んでいて理解出来ないレベルでダメだし、若干の不快感さえ覚えるのに、最後まで読むのは文章の上手さだと思う。

    ただ、短編の連作だと思うけど、一冊の本としてみると、これで終わり?って思ってしまった。
    最後まで書ききらず、読者に想像させる小説(教科書でいうと羅生門とか)はあんまり好きじゃないので・・・

  • ようやく出来た彼女 秋恵と同棲を始めた貫多。
    その約1年の同棲生活を綴った短編集。
    秋恵の実家に借金をし、秋恵のレジ打ちのパート収入で生活。
    自身は固定収入にならない小説を書き、陶酔する作家の高額な古本を買う。
    言ってみれば、秋恵に食べさせてもらっているのだ。
    だからと言って彼女を大事にするかといえば、まったくその逆、自分の欲望通りに扱うのみ。
    引っ越したマンションの管理人に言いがかりをつけられたと怒り、
    それを丸く収めようとした秋恵の常識的な態度にキレる。
    帰宅した秋恵の肩先に付いていた香りから、彼女に疑いを抱き、
    後日、自分に付いた他人の整髪料の匂いに気付かぬ彼女にキレる。
    大晦日、年越しそばの出汁が薄かったというだけでキレる。
    キレたら最後、ありったけの屁理屈を彼女に浴びせまくる。
    どうしてそうなるのか、私には全然理解できないけど、
    出てくる出てくる言葉の数々・・・ボキャブラリーの多さには感服。
    決して笑う場面じゃないんだけど、笑ってしまった。
    第144回芥川賞受賞「苦役列車」も読んでみようと思う。

    この作者は私小説を書くので、この主人公はこの作者なんだろう。
    ああ、想像しただけでも、うっとおしい。
    そして、秋恵さんは最後には出ていくのだが、すごい人だと思う。
    食べさせて、尽くして、キレた貫多をなだめ、悪くないのに謝る。
    実在する女性なんだろうけど、今は幸せになっているかな。

  • 女性の私から見て嫌悪感すら抱くのに、なぜかまた読んでしまう・・・。
    突っ込み所いっぱいなのに、なぜか憎めない主人公(著者)。

著者プロフィール

西村賢太(1967・7・12~2022・2・5)
小説家。東京都江戸川区生まれ。中卒。『暗渠の宿』で野間新人文芸賞、『苦役列車』で芥川賞を受賞。著書に『どうで死ぬ身の一踊り』『二度はゆけぬ町の地図』『小銭をかぞえる』『随筆集一私小説書きの弁』『人もいない春』『寒灯・腐泥の果実』『西村賢太対話集』『随筆集一私小説書きの日乗』『棺に跨がる』『形影相弔・歪んだ忌日』『けがれなき酒のへど 西村賢太自選短篇集』『薄明鬼語 西村賢太対談集』『随筆集一私小説書きの独語』『やまいだれの歌』『下手に居丈高』『無銭横町』『夢魔去りぬ』『風来鬼語 西村賢太対談集3』『蠕動で渉れ、汚泥の川を』『芝公園六角堂跡』『夜更けの川に落葉は流れて』『藤澤清造追影』『小説集 羅針盤は壊れても』など。新潮文庫版『根津権現裏』『藤澤清造短篇集』角川文庫版『田中英光傑作選 オリンポスの果実/さようなら他』を編集、校訂し解題を執筆。



「2022年 『根津権現前より 藤澤清造随筆集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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