- Amazon.co.jp ・本 (150ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103032335
感想・レビュー・書評
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クズ沼
ってな事で、西村賢太の『寒灯』
陰雲晴れぬ
肩先に花の香りを残す人
寒灯
腐泥の果実
の連続短編集。
じゅんこに貰った『暗渠の宿』の続編になるんかな…
北町貫多と名を変えた著者の自伝となる内容じゃが、暗渠の宿より更にクズっぷりな歪んだ性格に、己に辟易しながらもどうにも直せない性格とセルフコントロール。
こんなにも自分の恥部を晒す小説を世に出せる、度胸と言うのか…
感動の念すら覚えて西村賢太クズ沼にズブズブとハマっていっている自分…
貫多の怒りの沸点が、何故そんなことでっ⁉️や、喧嘩の言い返しの我儘で鬼の様な自己中心的な攻撃がクセになる
ほんま無茶苦茶
苦役列車を再読したくなるな~
2023年6冊目詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
芥川賞受賞第1作となった表題作を含む最新短編集。収録作4編はいずれも例の「秋恵シリーズ」――同棲していた女性との暮らしに材をとったもの――である。
そのうち3編はこれまで同様、主人公(作者の分身)がささいなことで秋恵に対してブチキレ、暴言を吐いたり暴力をふるったりして修羅場となるストーリー。
なじみの読者から見ると、主人公がブチキレる瞬間がクライマックスで、そこに至るまでのじわじわと進む盛り上がりが、ジェットコースターがゆっくり坂をのぼるプロセスのように思える。
西村の高い筆力ゆえ、他愛ない話でもそれなりに読ませるが、さすがにもう飽きた。
くだんの女性と暮らした期間は1年余だそうだし、たったそれだけの生活でたくさんの短編が書けたのだから、もういいんじゃないのと言いたくなる。おいしいネタから先に小説化しているだろうから、だんだん出がらしみたいになってきたし。
残りの1編――最後に収録された「腐泥の果実」では、現在の西村(作中では北町貫多)が秋恵との同棲生活を思い出す未練たらたらの姿が描かれる。文中に秋恵への「惜別の辞」めいた言葉がちりばめられており、「お、もしかしてこれで秋恵シリーズは打ち止めかな?」と思わせる。
まあ、あとは秋恵が他の男のもとに走って西村を捨てる“クライマックス”が書かれずに残っているけれど……。
それにしても、秋恵シリーズを読むたびに思うことだが、秋恵という人はなんとよくできた女性であることか。こんな身勝手なサイテー男を相手に、よくまあ1年以上もガマンしたものである。
秋恵は東北出身だと作中に書かれているが、東北女性の美点を一身に体現したような女性だと思う。
こんなサイテー男のサイテーな行状を書きつらねた小説が面白いのだから、文学ってつくづく不思議だ。 -
芥川賞を授賞した西村賢太氏が受賞後に最初に発表した作品「寒灯」を読了。彼の授賞前の私小説にも出て来た貫多と秋恵の同棲生活を描いた短編を集めた作品だ。糊口を凌ぐすべとしてかける物が自身の赤裸々な過去だったのだろうが、読者としては他人の生活をのぞいてしまっている気まずさみたいのが読み始めてからずっとありあまり気持ちよい読後感はなかった。まあ本当に簡単に読めるという意味では軽い物を読みたい人にはいいかもしれないが、先に書いたが他人の恋愛での失敗模様を読みたいかどうかで購入を決めた方がいいかも。そんな最近ではめずらしい私小説を読むのに選んだBGMは
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☆3つ
4~5つの短編集。2011年の塵芥賞受賞後初めての新刊。
表題作の「寒灯」はどうやら本当に塵芥をもらった後に書いたものらしい。
でも本中の並びではそれ以前に書いた「腐泥の果実」が最終話になっているし、そ
うでないとおかしい。
これは、先に「腐泥の果実」ありきなのだけど、本一冊にするのはどうにも作品数
不足なので、あと一遍書かせたい。
が、しかし「腐泥の果実」も枯れ木も山の賑わい的に本の中に加えざるを得ないと
したら「寒灯」はこういうストーリー仕立てにして欲しい、と新潮社の編輯担当者
が東町癇汰 いやもとい北町貫多に強請ったものであろう。
(「編輯」と書いて編集の意。読みも全く同じ。要するに気取っているだけなのであっ
たwww)
そもそもこの作家の作品を読む理由は
1.自分はこうまでだらしなく感情的で暴力的な男でわあるまい、と自己確認する
2.明治の昔に戻った様な語り口がちょっとカックよくて飽きるまではめづらしい
そしてこれが最大の理由だが
3.本が薄くて購め易く読みやすい(”購める”で”もとめる”と読ませる)
さあ、あと2~3冊で北町貫多君の作品は全部読み終える模様なので、せいぜい切
りの良いそこまでは付き合う事にする。 -
西村賢太作品5冊目を読み終えた。芥川賞受賞作『苦役列車』よりも後に出版されたものなので、話題も比較的新しい。
以前読んだ作品にもちょくちょく登場していた恋人秋恵との同棲生活が話のメインになる。相変わらずの貫多の性癖、嫌いだわ。秋恵もよくこんな奴と付き合って、1年半以上も辛抱したなと思う。でも、男って未練タラタラなんですよ。好きな女が離れていけば、どんな愚か者でもなかなか立ち直れない未練の生き物なんですよ。そんな俺も未練タラタラなタラ男です。「腐泥の果実」では離れていった秋恵への未練タラタラ感が、情けなさと共に何故か共感できてしまう男の性が表現されていて、タラ男の私、読んでいて切なかったですわ。 -
女性の私から見て嫌悪感すら抱くのに、なぜかまた読んでしまう・・・。
突っ込み所いっぱいなのに、なぜか憎めない主人公(著者)。