- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103054566
感想・レビュー・書評
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虐待の末に子どもの命を奪ってしまった3つの事件を丁寧に掘り下げています。
子どもの支援に携わる方は必読。
親の育てられた環境にも目を向け、なぜこのような悲惨な結果に導かれていったのかが描かれています。
「わが子を慈しみながら、過程を崩壊させることしかできない親の悲しみ」という表現がまさにその通りだと思いました。
一方で、救える機会はいくつもあったのに、救えきれなかった周囲の大人たちの存在にも、胸の痛みを感じました。
私たちにできることは何なのか。読後、一人ひとりに問われているように感じました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
書いてある事件の当事者達の非常識ぶりが衝撃的すぎて、かなりのショックを受けてしまった。
そして、家庭環境がいかに大事かということを痛感した。事件を起こした親たちの、残された子供達の将来も危ぶまれることは間違いない。 -
『「鬼畜」の家 わが子を殺す親たち』を読んだ。
著者は、ノンフィクション作家の石井光太氏である。石井氏は、大学卒業後にアジアやイスラム圏の貧困をテーマに多くの意欲的なノンフィクションを発表してその名を轟かせた。その後、東日本大震災の被災者を描いた『遺体』は大きな話題を呼び映画化もされた。
今や押しも押されぬ日本の若手ノンフィクション作家の第一人者である。
ぼくは、初期作品、中でも『レンタル・チャイルド』には大変な感銘を受けた一人だ。
フィクションの手法を取り入れ、まるで波乱に富んだ小説のように描かれたその作風には少なからず批判もあったようだが、ぼくにとってそれまでに読んできた本の中で最も刺激的な一冊だった。
ノンフィクション作家への転身を図ったわけではないが、数年前には新宿の朝日カルチャーセンターで石井氏が講師を務めていたノンフィクション講座を受けたこともある。石井氏は、ある意味ぼくの師でもあるのだ。
そんな石井氏が今回スポットを当てたのは<幼児虐待をする親>だ。
日頃、ニュースでは頻繁に幼児虐待事件が報道されている。それらを観る時、我々は<なんて酷い親だ><理解出来ない><狂ってる>などを嘆息することが多い。実際に酷い親であることに間違いはないのだが、そこ至る経緯にまで想いを巡らすことは少ない。
石井氏は、この本の中で比較的新しい3つの事件に絞り、虐待する親たち、さらにはその両親や祖父母にまで遡りその生育家庭から、事件の起因を鋭くあぶり出していく。
石井氏のノンフィクションは、五感を刺激する描写が多い。
視覚だけでなく嗅覚や触覚を刺激する描写は、貧困や虐待などを描くことの多い石井氏の本では往々にしてグロテスクであったりして、思わず目を背けたくなるようなこともある。だが、その生々しさゆえに読者はリアルに痛みを感じたり、見逃しがちな小さな美しさを感じ取ることが出来るのだ。
本書の中で描かれる3つケースは、どれも同情には値しない残忍な事件ではあるが、その虐待を生み出す要因には少なからず納得出来る部分もあった。どれも自身が育てられた環境に何かしらの大きな問題を抱えているのだ。取り分け印象に残ったのは、ケース1で描かれる「厚木市幼児餓死白骨化事件」だ。
多忙を理由に殆ど家に帰らない父親と激しい妄想に苛まれる統合失調症の母親のもとに育った犯人。その生育過程を読み進めていくうちに、これではまともな親にはなるのは困難だろうな、という諦めにも似た感情が湧き上がる。親になってはいけない人がいる、というのは残念ながら確かなようだ。ケース1で逮捕された父親は、もっとフツウの家庭に生まれてさえいれば、或いは親にさえならなければ犯罪者にはならなかったはずだ。
本書に救いや癒やしはない。
それでも目を背けてはならない現実が確かな描写によって描かれた一冊であった。
http://nozo-n.blogspot.jp/2016/10/blog-post_14.html -
尋常な感覚では考えられないような事件であるが、筆者は親の異常性という安易な結論にとどまることなく、事件がおきた原因に入り込んでいく。とはいえ、あまりに悲惨な内容に触れられているので、そのような表現に弱い方は読まないほうが無難だろうと思う。
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虐待に至るまでの経緯を加害者の生い立ちから分析。丁寧に書かれているノンフィクション
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児童手当の振り込まれる通帳を取り上げられている場合がある
これまでは実母が語る、「愛している」「育てている
という言葉を信じてきたが、この事件を通して、人によりその意味するところに大きな違いがあることを認めざるをえなくなったのだ。
茨城県土浦市 Babyぽけっと 特別養子縁組を支援するNPO