雑司ヶ谷R.I.P.

著者 :
  • 新潮社
3.66
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本棚登録 : 292
感想 : 44
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  • Amazon.co.jp ・本 (407ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103169321

作品紹介・あらすじ

一代で巨大教団を築いた雑司ヶ谷の妖怪が死んだ。新教祖就任に向けた儀式と抗争の進む「現在」と初代教祖の戦前戦中戦後の受難の「過去」が交錯する。『さらば雑司ヶ谷』『民宿雪国』著者の最新最高傑作。

感想・レビュー・書評

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    途中まで面白かったけど、個人的に面白く無くなって読みきれず

  • ★ライトボイルド?★「さらば~」の内容は忘れており、ハードボイルド&エログロバイオレンスは著者ならではの内容で勢いに飲み込まれた。「太郎の父に譲る」というフリをずっと忘れていたが、最後できれいに回収された。現在と過去を行き来し、実際にあった事件を当てはめる手練れは見事。
     ただ以前に比べサブカル臭が強くなり、ハード感が薄れていないか。オザケンとタモリは相変わらず大好きで、秋元康とNIGOへのディスりは激しい。村上隆はなんだか中途半端だったけれど。雑司ヶ谷に行ってみようと思わせるのは相変わらずだが、依然として行ってない。

  • 前作に続いて唐突に小沢健二論が出てくるが、小沢健二本人にこれは届いているのだろか?
    小沢の反応を知りたい。

    前作は実際にいいともでタモリ自身によって語られたオザケン論だったからいいけれど、今回は『オザケンが一時覚せい剤ぶてヲ出していた時期があるんじゃないかと思う』と穏やかではない(因みに作品の世界観からすれば覚せい剤なんてオヤツみたいなもんだが)。

    『痛快ウキウキ』の僕は偶々ひとりでワインを飲んでいるかのように歌われるが、本当はずっと独りであり、「一年遅れで買うプレゼント」なんて歌いながらも「それでいつか君と僕は出会うから」とあるように実はまだ出会ってもいない!

    小沢健二の歌うラヴソング(特に『LIFE』時)は付き合っている恋人へ向き合った歌のようでそうではないというのは全く同意見だが、「唾を吐き」「しぴれっぱなしの手のひら! 鼻水でりゃこすりながら」っていうのは典型的なシャブ中症状っていうのは穿ちすぎだと思う(シャブ中かと思うほどの躁状態ではあるけれど)。

    ・・・とまぁ、オザケン話に熱がこもってしまうが、ゴッドファーザーIIの構造を借りた物語展開といい、サンプリング元が見え透いてしまうからこその面白さに溢れている。
    そういう意味で『ヘッド博士』的な小説。

  • イライラしてるときに読み始めたらイライラが同期されて最後読み終わったときにはそこそこすっきりできました。
    ババアすごいな。執事も。またイライラしたら読みます。

  • 長い。
    エンターテインメントに徹した小説ですが、それにしてもドタバタすぎる。
    映画のような小説でした。

  • 教祖誕生秘話。前作よりちょっと長くて途中あきるところあり…。プロレスネタは興味無い人にはつまらなかった。まだまだ続くらしい。

  •  凄い作家が現れたものだ。『民宿雪国』で、その奇妙な作風に唖然とし、『さらば雑司ヶ谷』でその暴れっぷりに朦朧としたのだが、それを引き継ぐ本書では、さらにスケールアップしてこの作家の未だ見えぬ底の深さを思い知らせてくれる。

     破壊力、クレイジー度合い、無法さ、好き勝手さ、法螺の巨きさ、下品度、スプラッタ度、妄想力、等々においてそこらの作品を完全に凌駕している。

     ジャンルとしても規定し難いほどのごった煮であるにせよ、総じてみれば都市型ノワールと呼んでいいかもしれない。

     雑司ヶ谷という地域がよくわからなくて、ネット地図で調べたところ、路面電車に雑司ヶ谷という駅があるのか。この辺は車でよく走っていたけれど、雑司ヶ谷の名にはあまり覚えがなかった。宗教法人がうようよしているのもこの辺り。学習院や、田中角栄の家もこのあたりにあったっけね。

     なぜ雑司ヶ谷に魔の存在たる泰(たい)という猛女が棲むのか、その辺りは『さらば雑司ヶ谷』では明らかにされていなかったのだが、本書はその泰の人生を昭和史に沿って綿密、かつドラマチックに描いてゆく。その破天荒さ、無軌道ぶり、お下劣さなどは権力者イメージそのものなのだが、それを成し遂げる形が宗教であるというあたりが、雑司ヶ谷という土地にフィットするものがあるのかな。

     逆転また逆転の裏切りが連続する中で、太郎という直系子孫(前作『さらば雑司ヶ谷』の主人公)が、アイデンティティを求める旅と、同じく、過去へフェイドバックしての泰の生き様とが、巨大スケールの日本裏面史というような闇のクロニクルを紡いでしまうところが、この作者の並ではない筆力を匂わせている。

     従来の小説というイメージをとことん破壊するそのポテンシャルは、和製ジェイムズ・エルロイと言え、打海文三の法螺話を引き継ぐ都市ノワールの系譜を継ぐ者とも呼びたくなる。

     泰という母の死に始まる本書から昭和史ごと振り返ってゆくこの小説を読む間に、ぼくの実母が亡くなったのだが、物語中の時代時代の描写と、実母の生きた時代とが、どこか重なる辺り、なんだか運命のように感じつつ、多忙のさなか、本書を少しずつ読み進めていた。

     大いなる母の死を通して、その子供らがアイデンティティを求めて命を駆け引きしてゆく小説に、リアルな己れがどこかで重なってしまうような錯覚に落ちて行ったのである。

  • 著者の意図にのっとって2011年8月26日以降に図書館で借りて読みました。
    人間関係とか、前著を脇に置いて読んだほうがよかったのは確か。
    借りてきたような表現で構成されてるから、暴力シーンも性交シーンもサクッと読めるのがいいところなんだろうか。
    ここまでの分量を捧げられた親戚の方はどう思ったんだろうかと思ったんだが、名前の挙がっている三名のうち二名は鬼籍に入っていらっしゃるようだし、一名の方はたぶん高齢でお読みならないのだろうと思うので、…ってことは、親戚に“カタ”を付けたかったのか知らん。
    あと、300ページに出てくる「人生不信」って、そんな言い方あったのかと思ったんだが。
    <追記>
    てか、2ちゃん的な表現を含むなら、横書きでもよかったんじゃないの(たぶんオリジナル原稿は横書きなんじゃ??)というのと、サブカルの意匠を施したノワール? バイオレンス? というよりは、「あんたらの信じてた(る)宗教ってこういうんだろ(唾)!」って話なんだよぬ? &映画に年齢制限とかあるなら、残虐シーンとか殺戮シーンがたくさんあるこの手の小説にも年齢制限があってもいいんじゃない感。

  • 『図書館で貸し出ししないでください』といった趣旨の”お願い”を掲載した事で話題に.中身には興味ないけど,記録だけは残しとく

  • ストーリーテラーとしてどうこう、という以前に自分の脳をぱかっと開いて、知っていることを愛情をもって繋げて、もう一回全然違う話として成立させる、みたいな感じのハチャメチャ話。

    例えば小沢健二であったりとか、格闘技とかに対する愛というかウンチクが楽しい。僕は好き。

    でも、話がぶっ飛んでる分、終結に向かってしりすぼみして行く感じは池上永一あたりのSF物を思い出す。

    でも、男同士のセックスはそんなもんではないはずだと思うのだか。いや、わかっていてそれも邪道の邪道を描いたのか。

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著者プロフィール

東京都豊島区雑司ヶ谷生まれ。出版社に勤務したのち、2009年『さらば雑司ヶ谷』で小説家デビュー。11年『民宿雪国』が山本周五郎賞と山田風太郎賞の候補作となり話題に。著書に『日本のセックス』『テロルのすべて』『二十五の瞳』『タモリ論』『ドルフィン・ソングを救え!』などがある。

「2023年 『無法の世界 Dear Mom, Fuck You』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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