- Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103329510
感想・レビュー・書評
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ツイートを読んでいても文章のうまさは伝わるけど、こうして140字以上の(いや、もっとだいぶ多い)文章を読むと、本当にうまい。
特にツイートのやり取りと、一人称の地の文と、第三者との会話を短く刻んでいくといった場面の転換のさせ方、コーヒーやカフェオレなどの小道具の使い方、そしてほんのちょっとしか出てこない同僚やお友達の、短い言葉で的確にキャラを表す手法などがいちいちうまい。・・・と思ったら、作品中でシナリオを書いている描写があって、なるほど、シナリオのテクニックなんだな、と納得。
そして、文章がうまいので、とっても引き込まれて一気に読了。3.11と、その後のエピソードにもしっかり泣かされた。いや、なにげな〜く書いてるけど、これ、ココで泣かすための構成だからね。ずるい。けどうまい。うまくて、おもしろい。すぐ読めるので読むべき良書です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
装丁や文体、切り口はまさにユルいものの、著者の中心には揺るぎない覚悟を感じる。
その覚悟も、最初から確立されていた訳ではなく、失敗や手応えを感じながら徐々に成長していく育てゲー視点でも読めてしまう。大組織のSNSアカウントがひっそりと非公式に(!)始まり、やがて公式デビューを果たす流れは、ノウハウが限られていた2010年から2011年当時の状況だから可能だったことだろう。
今はすでに、組織のSNS運営ノウハウが(玉石混交ながら)巷に溢れかえっていて、小手先のマニュアルに踊らされては、なかなかこういったストーリー展開にはなり得なかったのではないか?
誰もが経験し得なかった東日本大震災を契機に、日本でよりSNSに注目が集まった中、手探り続きながらこのアカウントが果たしてきた役割は、非常に大きいな意味を持っている。
さらりと読めてしまう書き方ではあるものの、行間には、企業に属する労働者としての責任や、報道メディアであるジレンマなどが見え隠れする。匿名実名で寄せられる罵詈雑言にしても、書籍としてキレイにまとめられている時にはクリーニング済みだ。これが単なるノウハウ本であるはずもなく、結局は、個人の「人間力」が試され続ける、実はハードな話だとも読める。
その意味でこの本は、本を読んだだけでは完結しない。実際のTwitterアカウントと照らし合わせて初めて「みなさまと家族になりたいアカウント」が立体的に見えてくる。 -
Twitterで Public Relations を行ってる企業アカウントの大半は、自社の製品を宣伝するのがPRだと思っている。
もちろんそれで成功してヒット商品となったものだってあるんだろうけれど、ただ商品リンクをツイートしてるだけじゃ、テレビCMより折込チラシより店頭デモより効果が薄いに決まってるわけで。
そんな当然を十分理解したうえで、 " Twitterという媒体での効果的なPR " を真剣に考え模索し確立した @NHK_PR 1号さんは、一企業にひとりは欲しい逸材だ。
穿った見方になるが、1号さんのキャラを維持しながらこの分量の文章を書くのは大変だったろう。
そして、失礼を承知で言えば、140字の世界では思わず「巧い!」と膝を叩くほどなのに、本書ではそうは感じない。
しかし、本書を読むと改めて1号さんの真面目な人柄がわかるし、何よりもNHKのことがとても好きなのだなあ…とわかる。
なぜかネットでは、一般的なサラリーマンまでをも「社畜」という言葉で蔑み、組織に属さないフリーランスや、オフィスをもたないフリーランス「ノマド」や、専門がない人が自称する「ノマドワーカー」などの新しいワークスタイルを採ることがサラリーマンよりもカッコイイとする流れがある。
確かにあたしも、上司がバカだ会社がアホだと文句を言いながら働いているサラリーマンには、「自分がそのバカに評価され、そのアホから金を貰っている現状をどう消化しているんだぃ?」と問うてみたい気はする。
しかし。
1号さんのように自分が働いている会社を好きだと思えるのは、たまたまいい会社に就職できただけのように見えて実はそうではなく、誠心誠意働いてる証であり、大きな組織の魅力を見つけられることは才能のひとつだとも思うのだ。
ああこれ、@NHK_PRアカウントを好意的にフォローしていて、「1号さんのキャラクターも顔文字のセンスもツイートもまるっとス・キ☆」っていう人だけが読むんじゃもったいないわー。
というか。
う ち の 会 社 の 広 報 担 当 者 よ 、 読 め 。
1 0 0 回 読 め 。 -
@NHK_PR 1号さんの本。あの人間味に溢れた一本筋のきっちり通ったツイートが大好き。ずっと知りたいと思ってた中の人の考えの片鱗に触れられた気がして嬉しかったです。中のことをすこーしだけ知ってるだけに、始めた経緯については結構ギョっとしました。勝手にはじめちゃうなんてそんなー!
震災について、はやぶさの中継についての章は本当に印象深い。
いろんなこと言う人たちもいますが、信念曲げずにつぶやき続けてください! -
内容はゆるいけど、芯が通っていて気持ちいいなあ。
NHKPRさんて、ノリはユルくても気質はツッコミなんですかね。
おもしろかった。
中の人がどんな人かを想像して、情報からプロファイリングも
できそうだけれど、それをしちゃうのは野暮ってもんですね。 -
企業に勤める一会社員として、もし自分が@NHK_PRさんの立場だったらどのようなツイートが出来るだろうか、と考えさせられた。
このレビューを書いている時点で50万人を超えるフォロワー数、公共放送の社員という立場、決して不寛容なフォロワーも少なくない中で、とても立派な仕事ぶりだと思う。
本書に出てくるKさんにも、ぜひツイッターに登場していただきたい。 -
『中の人などいない@NHK広報のツイートはなぜユルい?』一本通った堅い芯と堅実な基礎があってこその緩さはたとえるならば五重塔か? 周りからの抗議応援冷やかし挨拶全てを受け止めて時に流す、そしてフォロワ―をいつの間にかNHKの『家族』とみなす。今後も価値ある140字を! ――ここまではツイッタ―にて感想。
震災時の情報の流し方に確固たるポリシーと大勢の『他』を広角的に見渡す目と愛を感じた。 -
正直、私はTwitterを使う習慣はあまりなく、NHK_PRさんのことも知らなかったのですが、「ほぼ日」で紹介していた記事を読んで非常に興味を持ち購入しました。
PRさんのTwitterのとり組みについての考え方を主軸に、全体的にとても読みやすい内容なのですが、
やはり一番心を動かされたのは震災時のNHK_PRさんの対応の箇所。世の中に影響力のある身となった中で、どのような発信をするべきなのか、役割は何なのか。もし自分が同じ立場だったらどうしてただろうと思わず考えさせられました。
Twitterという一つのWebサービスとしてとらえるだけではなく、人間同士の繋がりについて、非常に興味深く読むことができた一冊でした。