野良ビトたちの燃え上がる肖像

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (170ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103361329

感想・レビュー・書評

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  • この本を読んで可哀そうな人たちだと思える人は、曇りなく自分の人生を歩んでいる人々なんだろう。僕はこれを読んでいて不安で不安で仕方が無かった。住む所も家族も居るけれど、持ち家とはいえ借金は払っていかなければいけないし、日々の生活で掛かるお金はびっくりするほど掛かっている。昔よりも明らかに贅沢な生活をしている自覚が有ります。
    いつでも無一文からやり直せるつもりで生きていたけれど、だんだんと年を取ってきて再就職もそんなに簡単には出来ないと思います。
    日本は次第に力を失っていき、豊かな生活を送れる人も一握りになって来ています。綱渡りのような生活をして、病気や怪我をする事で一気に急坂を滑り落ちるように路上に放り出される事も有るかもしれません。
    そう思って読むと非常に辛い。「野良ビト」という造語もとても気持ち悪いですが、では自分の心の中に、路上生活の人々を同じ人間だと見ているのか。そう問いかけた時、後ろ暗い気持ちになります。どこか違う次元で生きている人たちのように思っている自分がいるからです。
    「野良ビト」になってしまう事が怖いのか、野良ビトを人ではないと思ってしまう事が怖いのか・・・。

  • 「野良ビトに缶を与えないでください」
    一気に増えたホームレス対策として掲げられた看板。

    P106
    「おれらもう、人扱いされてねぇんだな」

    嫌なものは見ないようにして、楽しいことだけに目を向け
    日々を過ごせるのなら、その方がいい、と思ってしまう。
    でも、この本を読むと、いろいろ問われている気がする。
    考えろ。
    自分の頭で考えろ。
    そう言われているのかもしれない。

  • コミュニティーが喪失した社会では、ひとりひとりの行動の身勝手さがエスカレートして、自分以外の人に攻撃的になり破壊していく。
    そんな社会はすぐ近くまで来ているのかもしれない。

著者プロフィール

1970年、青森県八戸市生まれ。2009年、「海猫ツリーハウス」で第33回すばる文学賞を受賞しデビュー。小説に『聖地Cs』(新潮社、2014年)、『イサの氾濫』(未來社、2016年)、『野良ビトたちの燃え上がる肖像』(新潮社、2016年)、『幸福な水夫』(未來社、2017年)、『幼な子の聖戦』(集英社、2020年、芥川賞候補)。

「2020年 『私とあなたのあいだ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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