月まで三キロ

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 3759
感想 : 380
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103362128

作品紹介・あらすじ

この先に「月に一番近い場所」があるんです――。樹海を目指した男が、そこで見たものは? 「月は一年に三・八センチずつ、地球から離れていってるんですよ」。死に場所を探してタクシーに乗った男を、運転手は山奥へと誘う。「実はわたし、一三八億年前に生まれたんだ」。妻を亡くした男が営む食堂で毎夜定食を頼む女性客が、小学生の娘に語った言葉の真意。科学のきらめきが人の想いを結びつける短篇集。

感想・レビュー・書評

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  • 宙わたる教室がとてもよかったので
    こちらも読んでみることに
    とてもいい短編集でした


    科学のことはほとんど無知ですが
    日常に上手く混じって
    いい役割を果たしていました

    どの話も私生活に苦しみを伴ってる人がいて
    科学の力(というと仰々しくなってしまうけど)で
    少し救われるんですが
    その様子がとても好きでした。


    でもどの話もとても良かっただけに
    もったいない気がしてしまうー!!

    もっと続きが読みたかった。
    短編だとしても、
    もう少し先を読みたかったです


    アンモナイトの少年のその後も気になるし
    山を刻むの家族の反応も知りたい。
    もっともっとと思わせられた作品でした。


    読み足りなさでは星は3つなんですが
    それにしてもよかったから4つにしました
    エイリアンの食堂の鈴花が空気を撫でるところとか
    とてもよかった。。


    また長編も書いて欲しいです(^^)

  • 作者の初読。
    月まで3キロ?と当初SF系?とか思って躊躇っておりました。本屋さんが理系作者と前面に推しており、私も数学と理科が昔大好きだったので、興味持ち購入!

    読みやすい!!
    6つの短編集で全てに科学的な要素が含まれており、なんか新鮮でした。
    どのお話も冒頭読んでる時の予想と最後終わる時の読後感に差があり面白い!!
    最後の話は、不倫?なに?なんて思わされてたけど、全然違ったしー。笑

    短編集って、割と、「あら、ここで終わりかあ、へえ〜」みたいななんか物足りないなと思う事が私は多いのですが、こちらの作品は全然違いますね★
    もう一回読みたくなる^^期間空けてまた読もう。

    さかえ食堂の日替わり定食食べたい!笑

  • 初読みの作者なんですが理系を鼻にかけた感じが気になる短編集でした。なにかと科学的なうんちくがでてきますがどれも借り物の知識のようでブルーバックス読んだ方がためになる気がしました。

    浜松のうなぎ屋で豪華2段のうな重を食べたのに鰻にあたって食べきれず店を出てしまうなんてもうこのストーリーは破綻してるし、勘繰られてなにかと月のウンチクを語るタクシードライバーの知識に関心したのですが、「月まで3キロ」のオチが科学とは言い難い内容だったのでガッカリでしたが、ストリートビューで探したら確かにこの標識があって感動しましたけど。
    命拾いしたからまあいいかなって内容ですが浜松の有名うなぎ店「くろかわ」が実在するのかのほうが重要案件に思いました。ちなみにこの店も検索したのですがヒットしません。
    科学的なこと言ってる割りに実証を伴わないと科学的でない気がするんですよね。
    それと明るい未来が待っているような気配のないままのエンディングが歯がゆかったです。

  • 6つの短編の主人公たちは、人生の岐路に立っていたり、それまでの来し方を振り返ったりと、様々である。理系の伊予原新らしく、登場人物として、天体としての月、雪の結晶、アンモナイト、水月湖の年縞、素粒子・ISS、火山学の専門家たちが絡んできて、なかなか上手いなあと思わされる。この作者は、そこのあたりが売りだよね。主人公たちの思いなども細やかに描かれている。
    水月湖の年縞については、ブルーバックスの中川毅「人類と気候の10万年史」を読んで関心を持ち、水月湖に行って年縞博物館も訪れてきた。ははあ、作者もこの本を読んだか、博物館の展示解説を読んだかしたんだろうなあと思った。

  • 多くの読友さんのお薦めの本。図書館本、待った甲斐があった。登場人物それぞれが辛い過去を有し、それを傍らに一緒に生きていく。これと対峙する方法が異なり、個性なんだなと思う。この辛さとともに生きることで成長できるし、一人では生きてはいけない。タイトルもあるが月やオリオン座、夜空を見上げてのカタルシスもとても良い。「エイリアンの食堂」が一番良かった。母を亡くした父・娘の鈴花。経営する食堂に研究者・本庄が毎日食べる定食。本庄と鈴花の会話は鈴花、父親のカタルシスに繋がった。時々夜空を見上げて、月星の観察もいいね。

  • TSUTAYAに平積みされていた。

    というのも、この本は短編集なのだが、表題の月まで三キロという話は、私の住んでいるここ浜松が舞台になっていた為だ。

    浜松が舞台の作品、是非読んで下さいというような手書きのポップに惹かれて購入を決めた。

    この本は7つの短編が詰まった本だったのだが、どの話もとても読みやすい。
    情景を思い浮かべやすい。

    理系小説と言えると思うのだが、解説が全く煩いと感じない。煩わしくない程度の理系文章(笑)

    どの話もほっこり温かく、背中を押してもらえるような、そんな上品な本だった。

    こちらも半日で一気読みしてしまった。
    誰にでもおすすめ出来る良書。

  • 本屋大賞2021ノミネート作品の「八月の銀の雪」の著者、伊与原さんの短編集。「八月…」があまりに良かったので、読了後すぐに図書館に借りに走った。

    オビには「科学のきらめきが人の気持ちを結ぶ六篇の物語」とある。
    やっぱり、科学は人の心を救うんだ。
    読後、「人生捨てたものじゃない」と感じさせてくれる短編集。新田次郎文学賞受賞作。
    完全に伊与原さんのファンになりました。

    月まで三キロ 評価5
    子育ては月に似ている。
    月は地球に裏側を見せない。子どもも同じように親に裏側を見せようとしない。
    でも、相手を理解しようとし続けること。
    もしかしたらそこに救いが見出されるのかもしれない。

    星六花 評価5
    美しさは生殖のためだけにあるものではない。
    例えば雪の結晶、星六花(ほしろっか)の形とか。

    アンモナイトの探し方 評価3
    アンモナイトはイカやタコの仲間、なんだそうだ。

    天王寺ハイエイタス 評価5
    人生に後悔はつきもの。でも、それでいい。

    エイリアンの食堂 評価3
    自分の身体の一部だった原子は、体外に排出され、地球上から大気を抜けて、やがて宇宙へと散らばっていく。
    自分が生きた痕跡はずっと宇宙に残る。

    山を刻む 評価3
    山岳小説。ずっと家族に尽くしてきた登山好きの主婦が長年の夢を叶える話。
    新田次郎さんも山岳小説で有名だそうだ。
    山ガールって好き。

  • 表題作を含む六編の短編集。理系の著者の文章はとても読みやすく、普段触れることのない理科系の小説なので、読み終わると何だか頭が良くなったような気分になれる。この作品集は余韻に浸れるものばかりなので、とても良かった。

  • 理系文学の短編集。100%文系の私に最後まで読めるだろうか?とちょっと心配だったけど、この本は何ともロマンチック。宇宙や科学ってロマンチックなんだなぁ。どのお話も爽やかな読後感で気持ちよく読み終えました。好きな一冊です。

  • 著者の作品は初読みとなりますが、タイトルに惹かれ手にしてみました。

    表題作を含む6篇のストーリーがおさめられています。

    「月まで三キロ」も良かったですが、個人的には最後の「山を刻む」が一番好きかもしれません。

    余談ですが、「山を刻む」を読みながら、山に関する作品を思い出し、何度も読み返した「八甲田山死の彷徨」(新田次郎著)をブクログに登録していない事に気づき、慌てて登録しました。

    人と人の繋がり、温もりを感じられるステキな一冊。

    片意地張らずに気楽に読める作品でした。


    説明
    内容紹介
    この先に「月に一番近い場所」があるんです――。樹海を目指した男が、そこで見たものは? 「月は一年に三・八センチずつ、地球から離れていってるんですよ」。死に場所を探してタクシーに乗った男を、運転手は山奥へと誘う。「実はわたし、一三八億年前に生まれたんだ」。妻を亡くした男が営む食堂で毎夜定食を頼む女性客が、小学生の娘に語った言葉の真意。科学のきらめきが人の想いを結びつける短篇集。

    内容(「BOOK」データベースより)
    「月は一年に三・八センチずつ、地球から離れていってるんですよ」。死に場所を探してタクシーに乗った男を、運転手は山奥へと誘う。―月まで三キロ。「実はわたし、一三八億年前に生まれたんだ」。妻を亡くした男が営む食堂で毎夜定食を頼む女性が、小学生の娘に伝えたかったこと。―エイリアンの食堂。「僕ら火山学者は、できるだけ細かく、山を刻むんです」。姑の誕生日に家を出て、ひとりで山に登った主婦。出会った研究者に触発され、ある決意をする―。―山を刻む。折れそうな心に寄り添う六つの物語。

    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    伊与原/新
    1972年、大阪生れ。神戸大学理学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科で地球惑星科学を専攻し、博士課程修了。2010年、『お台場アイランドベイビー』で横溝正史ミステリ大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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著者プロフィール

1972年、大阪府生まれ。神戸大学理学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科で地球惑星科学を専攻し、博士課程修了。2010年、『お台場アイランドベイビー』で第30回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、デビュー。19年、『月まで三キロ』で第38回新田次郎文学賞を受賞。20年刊の『八月の銀の雪』が第164回直木三十五賞候補、第34回山本周五郎賞候補となり、2021年本屋大賞で6位に入賞する。近著に『オオルリ流星群』がある。

「2023年 『東大に名探偵はいない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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