孫物語

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103456230

感想・レビュー・書評

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  • ひとつの家族がみんな揃って食事をする時間など本当に短い

  • あのシーナがイクジイ大活躍。嘗ての椎名誠の名作「岳物語」が戻ってきたかの、今度は「岳」の子供たちシーナの孫の話。70歳を超えたイクジイ・シーナの奮闘エッセイ誕生。

  • 孫を持つ爺々たちの大いなる教科書となるや?

  • 岳物語的な孫物語。椎名さんは子どもの成長を感じ方を本当にうまく切り取って書かれると感心する。生き生きしたお孫さんと少し勢いの落ちた椎名さんが楽しい。

  • 三人のお孫さんの成長が楽しみだ。特に波太郎くん。

  • タイトルといい、本のサイズ・装幀といい、「岳物語」をうけていることは言うまでもないわけで。「孫もの」としては「大きな約束」「続・大きな約束」「三匹のかいじゅう」に続くものだ。三人ともずいぶん大きくなって、個性もしごくはっきりしてきている。シーナ隊長の穏やかな幸福感が伝わってきて、ふんわりと嬉しい一冊。

    正直に言うと、「三匹のかいじゅう」のほうがずっと面白い。「三匹の~」には、岳一家が日本で暮らすようになるいきさつや、日々の様子が詳しく書かれていて、他の話題が入り込まず、読みやすい。本書はそういう点でややわかりにくいところもあり、直球の「孫話」を期待していた私としては少し残念だった。何と言っても「岳物語」はまぎれもない名作で、あれに呼応したものが読めるのかという気持ちがどこかにあったせいもあるだろう。

    それでもやはり、隊長が、日本の自宅に落ち着いているのはいいなあとこの数年思うようになってきたが、「その理由は『孫』の登場である。じいちゃんはここでにわかにふやけ顔となり、どうにもだらしがなくなる」などと書いているのを読むと、長年のファンとしては一緒にふやけ顔になってしまう。じじバカ椎名さん、いいじゃないか。

    初孫が生まれたのをパタゴニアで知り、嵐の前の不穏な天候の中奥地へ行こうとしていた椎名さん、ぜひ飛行機が出てほしいと思っていたのに、「いきなり『孫誕生』の知らせを聞いたものだから『パイロット無理すんな』と急に思考とタイドを変えた」というのも可笑しい。孫がじいちゃんに及ぼす最初の大きな力は、「生きていくこと」なのだとあって、まったくそうであろうなあとしみじみ思った。

    最後の二章「北の国へ」「黄金の夏休み」は文句なく素晴らしい。本が好きで物静かな小学校五年生の波太郎君。暴れん坊のやんちゃ坊主である五歳の流君。二人と過ごす一週間ほどの夏休みが、かけがえのない輝きをはなっている。その「黄金の時間」ははっきりと限りのある(おそらく二度とない)ものだ。若い父親であったときには思いもしなかったことを、じいじいの椎名さんはかみしめているのだろう。そこが切なく、また、あたたかい。

    この男の子二人、じいじいの違う二面をそれぞれ受け継いでいるように思える。夏休みを過ごした別荘は、あまり使うこともないので、持ち続けるのをやめるつもりだったそうだ。椎名さんが、ふと孫にのこしたらいいじゃないかと思いつく場面がとてもいい。いろいろなものが静かに、確かにつながって、受け渡されていくんだなあと思った。

  • 20年程前に『岳物語』を読んだ。
    何だか優しくホッコリした気持ちになったのを覚えている。
    そして岳が父親になった。つまり『孫物語』の誕生である。

    しかしそこはさすが椎名誠、諸手を挙げて可愛がりはしない。金で点数稼ぎもしない。

    友達感覚というかどんなに小さくても一人の人格として向き合っているところにとても好感を持った。それでいて目尻が下がっているのが目に浮かぶよう。

  • 椎名誠も老いたものだなあ、と思う。
    いや、これはdisっているのではない。
    旅に講演に焚き火にと忙しく飛び回っていた椎名誠が、東京で孫家族と近所に住み、その生活を楽しんでいる。そしてこの生活こそが、これまでで最も充実しているように思えるのだ。
    「三匹の怪獣」シリーズは、まだ過去の延長線上にあった。しかしこの本は、初めて知る椎名誠がいる。
    数年経ったとき、これが始まりの一冊であったといわれる作品ではないか。
    70歳を越えて、いよいよ庄野潤三のような究極の私小説家になるのではないか…そんな予感がある。

  • ☆☆☆☆☆ 5つ
    読むとしみじみと優しい気持ちになれる本。
    ときどき世界のあちこち、特に今回はアイスランド方面のお話が出てくるが、それ以外は基本的にシーナ兄いの3人の孫達との日常的生活を描いている。
    わたしにはまだ孫はいないが、まあそう遠くない先にはじいじになるかも知れない。 その時にこの本をまた引っ張りだして読みたい気分になった。
    シリーズと言っていいかどうかわからにけれど『三匹の怪獣』なども近く再読してみよう。
    ああ、面白かった(^_^;)

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著者プロフィール

1944年生まれ。作家。1988年「犬の系譜」で吉川英治文学新人賞、1990年「アド・バード」で日本SF大賞を受賞。著書に「ごんごんと風にころがる雲をみた。」「新宿遊牧民」「屋上の黄色いテント」「わしらは怪しい雑魚釣り隊」シリーズ、「そらをみてますないてます」「国境越え」など多数。また写真集に「ONCE UPON A TIME」、映画監督作品に「白い馬」などがある。

「2012年 『水の上で火が踊る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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