しんせかい

著者 :
  • 新潮社
2.58
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本棚登録 : 857
感想 : 140
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  • Amazon.co.jp ・本 (163ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103503613

作品紹介・あらすじ

十代の終わり、遠く見知らぬ土地での、痛切でかけがえのない経験――。19歳の山下スミトは演劇塾で学ぶため、船に乗って北を目指す。辿り着いたその先は【谷】と呼ばれ、俳優や脚本家を目指す若者たちが自給自足の共同生活を営んでいた。苛酷な肉体労働、【先生】との軋轢、そして地元の女性と同期との間で揺れ動く思い。気鋭作家が自らの原点と初めて向き合い、記憶の痛みに貫かれながら綴った渾身作!

感想・レビュー・書評

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  • 富良野塾ってどういうものなのか、意識の中にちょっとはあって、それが題材という事で私は読みやすかったです。

    文章の流れが私にはなぜか心地良かったし。

    試験を受けに行く前日の話も変わってて面白かった。

  • ネタ頼り感を払拭できず、他作品も読みたいとは思えないクオリティの作品かな、と。寝ている時のもう一人の自分も、中途半端な印象を与えただけで、意味を見出せない。
    芥川賞受賞作品ゆえのハードルの高さも、あるだろうが。

  • もう少し起伏が欲しいところ

  • 倉本聰主宰の富良野塾の2期生である山下澄人が、塾での生活や入塾前の自身を描いた自伝的小説。スミトの定まらぬ思考や思考なき行動が描かれ、20歳前後の青年の精神的幼さや危うさが表現されている。しかし、読み手の興味関心によるが、少なくとも読みやすい小説ではない。単語や擬音レベルの非常に短いセンテンスの連続で説明不足感が続くかと思えば、接続助詞でつないだ長文で混濁した思考状況を表現したり、なかなか理解しにくい。芝居の台本の余白を詰めたような小説だ。そう考えてアングラ芝居の脚本のつもりで読めばいいかもしれない。

  • 読み終わったあと
    あれはなんやったん!となった箇所がいっぱい残っていた
    夢の話とか、足元にいた人とか、夜見た人影とか。

    まあ確かに現実世界で伏線が回収される事はないよなあと思った。
    日記みたい

  • 北のソレといえばアレしか思い浮かばないので勝手にあの方をアテて読んでしまいましたがいいんですよね。

  • バスで読んでて圧迫感と閉塞感に潰されそうで息ができなくなって気持ち悪くなった。

  • 山下澄人の本はすでに何冊か読んだけれど、これがいちばん「ふつう」で読み易かった。ある程度作者の経歴を知っていればこれが実体験であり、【先生】は倉本聰のこと、【谷】は富良野塾のことだとわかるからでもあるけれど、単純に語り手が一貫していて時間が一定方向に流れているだけで十分読み易かった。つまり今まで読んだ他の山下澄人作品ではそうではなかったということ。

    じゃあ読み易いから好きかというと、逆になんだか物足りなかった。なんだふつうの話じゃん、という。たまたま新聞記事で二期生募集の広告を見て漠然と「高倉健になりたい」「ブルースリーになりたい」と思った19才の青年が応募したら受かってしまい北海道で農業やらの過酷な手伝いをしながら【先生】の授業を受け、大勢の仲間たちとちょっと仲良くなったりモメたりしつつ、なんかちょっと成長したようなしないような、わりとストレートなお話で。

    文学としてどうかということより、富良野塾って結構ブラックだな~(失敬)みたいな感想しか出てこなかった。もちろんこれはフィクションなのだけど、これじゃ農業しにきたのか演劇の勉強しにきたのかわからないしこんなに過酷な目にあっても卒業生けっこういるけどそんなに成功者出てないじゃんとか(こら)受賞するなら作品としては「ギッちょん」のほうが良かった気がする。文壇的にも話題性的にも倉本【先生】の名前が重要なのだろうけど。

    ※収録
    しんせかい/率直に言って覚えていないのだ、あの晩、実際に自殺をしたのかどうか

  • 大きさごとに仕分けされた玉ねぎがベルトコンベアーに乗って流れ出てくるのを、ただただパレットに積んでいくだけの仕事で、ベルトコンベアー人間の都合とは無関係に荷物を無慈悲に流してくるから、時にはパレットに積み損なって零れ落ちたりした。ベルトコンベアーのような単純な機械に翻弄され悔しさから泣いている人まで出てくる有様。一種独特の新世界で起きる日常が淡々と描かれる。単調すぎて欠伸が出てくるも目を離すことができない。何なんだ、この感覚。何ともいわく言い難い不思議な魔力にすっかり魅せられた。

  • 徐々に主人公が【先生】に感化されていく過程が表現されていた。
    特にラストシーンは、【先生】の描くドラマを見ているような錯覚を覚えた。

  • 面白くないという人も多いけど、個人的には嫌いではない。
    しかし、脚本ならいくら言葉が少なくてもセットや音響や照明や役者の演技で物語を深めることができるけど、これは。純文学は書かれていないところを読み取るのが重要だとわかってはいるけど、もうちょっと書き込んでもいいんじゃないかと思わずにはいられない。
    これに比べれば『火花』なんか、同じ実体験ものではあるがかなりちゃんと書いてあったなあと思う。
    かなりあちこち端折って書いてあるけど、当時の倉本聡のドラマの人気は相当なもので、ものすごい倍率を勝ち抜いて入塾できたわけだから、せめてオーディションの様子くらいは書いても良かったんじゃないか。
    まあ、こういう作風なのだろうから、これほど世間に知られた場所での体験でなければこんな風には思わないのだから、適した材料で書けば、もっと魅力が際立つのかも。賞も売れるかどうかは大いに関係するから、この材料なら倉本ドラマを見ていた人は買うだろうという計算が働いたのではないか。
    会話のテンポは面白いと思う。
    しかし、大御所の作家って、こういうアカデミックな教育を受けずに書いた人の文章には弱いよね。批判できないというか。そこは、つまらないと思う。

  • 第156回芥川賞受賞作。
    山下澄人さんの本初めて読んだけどこんな風な作品なんだ、予想してたよりずっと面白かった。淡々と進む中で言葉のリズムが良いからか読みやすい。
    自身の富良野塾での実体験をもとに描かれているようで、深い。最後に装丁の題字が倉本聰と書かれていてジーンとした。そっか、この時は倉本聰さんの字なのか。
    何度もなんども候補になってやっとの受賞、おめでたいですね。選評を読むとかなりの賛否両論でもめてたっぽいけど笑。
    個人的には他の作品も読んでみたくなった。

  • 面白いか面白くないかと言われれば、つまらないんだけど、なぜか読み進めてしまう不思議な小説。主人公の心情が全くと言っていいほど描かれず、読んでいてこいつは人として大丈夫なのか、と心配になるような不思議な不安感に襲われる。それを、どこか突き放すようでいて愛のある様子で見守る天との文通の雰囲気がいい。その彼女が最後、結婚したと報告するハガキが来る場面、まったく主人公の心情が描かれないのになにかストンっと落ちるような、そんな気分になった。

  • 言葉遣いのリズム感は好きなんだけど、物語としては「卑怯」だと思う。倉本聰の私塾の2期生だったという自身の経歴を描いたということを「売り」にして、読者にもそういう風に想起させる様な描き方をしてて、でも最後の最後であの「どんでん返し」をしてしまうのは、巧い気もするけど、曖昧にして逃げた風にも思えてしまって、卑怯に感じてしまった。

  • 独特の文体を芸術的とみるか、奇をてらい過ぎているとみるかで、印象は随分違う。私は、一文がとめどなくつながっていたり、ぶちっと切れたりするところに、リズムを感じていた。
     そのほかに、人々の台詞のあとで「といってみた」、「というから」などと、いちいち説明しているところが少々うざく感じながらも、面白かった。
     主人公に関しては、流れに身を任せているようで、実は確固とした自分を持っていると思った。
     こちらの方が流されるように最後まで漂っていた。

  • ファー!って感じ
    題字倉本聰が書いたんかい

  • 芥川賞受賞作。

    倉本聰さんの富良野塾の2期生。その富良野塾での1年目を書いたのが、「しんせかい」なのかな。

    そして、その試験に行く前日を描いたのが、後半の「あの晩、実際に自殺をしたのかどうか」なのかな。


    農家の手伝いや、丸太小屋を作ったり…集団の北の国からの世界で、やっていることは面白そうです。

    ただ、ちょっと読みにくいです。
    何を表現したいのかもわかりません…。



    ブクログ内で、小説読了206冊。

  • 桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/volume/1174946

  • 昭和を代表するあのテレビドラマを書いた、あの有名な脚本家のすぐそばで生活するというのがどういうことか、とてもよくわかった。

    あの押し付けがましい「反文明的」世界観にニュートラルな立場を取り、尊敬でも軽蔑でもない、珍しいものを見るような視線が印象的。

    しかし、よく2年間も耐えたなあ…

  • ▼福岡県立大学附属図書館の所蔵はこちらです
    https://library.fukuoka-pu.ac.jp/opac/volume/288958

  • 集団生活の知恵と工夫
    都会の生活から田舎での生活は、生きていく為のさまざまな作業含め苦労も肉体的疲労度も全く違う。日々の食費・食糧を稼ぐだけと言えども農作業はコンビニで商品を買うような生活はできない。自然環境を知り、日々の成長を確認しながら農作物を育てるという、時間と手間暇をかけなければ生まれないのだ。「人vs人」が「人vs自然」で何が変わるのかよく知り弁えることが必要だ。 また「勉強」は一見何も目的とは関係ない事でも「行動」そのものが心体にさまざまな力を得ることができるのだ。

  • 北にある谷と呼ばれる場所で過ごした1年間。

    馬の世話や農業の手伝いをしながら、先生と呼ばれる人から演劇や脚本について学ぶその施設で、スミトは過ごした。

    先輩の1期生のいうことに従って、2期生たちとの交流。
    時々手紙を送ってくれる天とのあいまいな関係と、同期に思われる気持ち。

    先生の文句を言ったことで叱られたり、面白がられたりして
    栄養失調で倒れたり、喘息の発作が出ても
    暑くても寒くてもそこで過ごした日々。

    他短編。
    試験前日に都内のホテルと浮浪者と喫茶店をうろうろした話。

  • 人を描くということ
    『コンビニ人間』の後ではそれ以外の作品はどれも陳腐に思えてしまう。

  • わりと好きな世界。
    文の書き方も独特で読みやすかった。
    が、内容がはっきりとしない。ところがやましたスミトなのかもしれない。
    かもしれない。
    そうだろう。

  • 芥川賞受賞(2016年下半期/第156回)

  • スミト〜だいすき♡ちゅ♡

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/665752

  • よくわからん

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著者プロフィール

1966年、兵庫県生まれ。富良野塾二期生。96年より劇団FICTIONを主宰。2012年『緑のさる』で野間文芸新人賞を、17年『しんせかい』で芥川賞を受賞。その他の著書に『ギッちょん』『砂漠ダンス』『コルバトントリ』『ルンタ』『鳥の会議』『壁抜けの谷』『ほしのこ』がある。

「2020年 『小鳥、来る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山下澄人の作品

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