「十二国記」30周年記念ガイドブック

制作 : 新潮社 
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103540243

作品紹介・あらすじ

累計1280万部突破。小野不由美による大河物語「十二国記」の30年を辿る! 1991年に誕生した大人気シリーズ「十二国記」を様々な視点から辿る、初のガイドブック。30周年を祝したアートギャラリーでは、萩尾望都・藤崎竜・芥見下々・羽海野チカ・清原紘・いとうのいぢ・遠田志帆・THORES柴本・千景の超豪華9名による描き下ろしイラストを掲載。巻末には“幻の短編”「漂舶 十二国記外伝」を特別収録。

感想・レビュー・書評

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  • 私には珍しく予約した。レビューが遅れたのは、年表の確認に取り掛かるのが遅れたためである。ただ、届いた日にざっと読んで、私は直ぐに重大な欠落に気がついた。今までのどのレビューをよんでも、そのことに言及している人がいない。何故気がつかないのか?読者子敬は所与の物語を有り難く受けとるのみの民なのか?

    怪奇幻想ライターという肩書きの朝宮運河氏が、「作品紹介」「主な登場人物」「用語解説」「十二国記物語年表」「十二国記物世界地図」という冒頭の最重要事項を一手に引き受けている。ネタは、おそらく我々と同等の刊行された本以上のものだ。私の知らないインタビューなのか、編集者なのか、著者本人なのか一切わからない。所々重要な事をさらっと書いていたり、重大な欠落があったり、私は大いに動揺している。もちろん、萩尾望都の投稿再録や、小野不由美ロングインタビューなども面白かった。

    気がついたことを全部載せると大変迷惑な長文になるので、端折って載せたい。

    ⚫︎先ずは「重大な欠落」について。
    「主な登場人物」欄には約40人もの主役、準主役、脇役の紹介があり、耶利という謎の少女さえ載せているのに、ある意味「白銀の墟 玄の月」の影の主役というべき琅燦(ろうさん)が紹介されていないのである!もちろん彼女の紹介は「謎めいた人物」だけでは済まされない。記述が難しいのは予想されるが、無視は酷い。朝宮氏の意向だとすると、あまりにも乱暴だし、編集者の意向だと、その秘密主義には同意しかねる。小野不由美女史の深謀遠慮だとしたらわかるが、実際ハッキリしてもらいたい。

    ⚫︎コラム欄で朝宮氏は、「(天の在り方に疑問を抱いた陽子のシーンを紹介し)この先おそらく重要性を増してくるはずだ)」と述べている。琅燦を記述しなかったことと併せて、この人「何かを知っている!」。

    ⚫︎「用語解説」において、なぜか最重要事項の「天帝」について、さらっと書いている。即ち「十二国を創造し、天綱を定めたとされる至高の存在。王は天帝に代わって各国を統治する。王京で神々を束ね、世の中を調えると伝えられるが、人と交わらないため不明な点が多い」いやあ見事に誤魔化している。「とされる」とか「不明な点が多い」とか。同時に「天綱」についても書いている。「天帝が定めたとされる十二国全体の摂理。第一は「天下は仁道をもって治めること」(略)」第一項目って、何処かに書いてあったけ?でもこれは明らかに四書五経の世界観だと思う。重要な指摘である。

    ⚫︎「十二国記」物語年表を載せてくれた。大変ありがたい。私が今まで作ってきたマイ年表を若干訂正しました。しかし、大事なところは訂正しなくてもよかった。少し嬉しい。

    公式ガイドブックでは、中嶋陽子の登極年を〈基準年〉としている。それを0年としているので、西暦は使っていない。私は、中嶋陽子が登場した「月の影 影の海」公刊年の1992年を基準として年表を作った。そうなると、泰麒が十二国に戻り、戴国で驍宗の捜索を開始するのは「黄昏の岸 暁の天」(2001)「魔性の子」(1991)とは違い、1994年になるのだが、その方が良いと思う。「魔性の子」は、当然だが、どう考えても携帯は無い世界であり、そのように設定しないといろいろな齟齬が出てくるからである。公式は最新世界の(こちら側の)年代を明らかにしていないが、90年代とするべきであろう。

    才国、芳国の年代は、公式ガイドブック年表とはかなりの違いがあった。当然公式の方にすり寄せた。私の読み間違いだと思う。

    〈公式では〉「(神話の時代)天帝、一度世界を滅ぼした後、十二国の世界を作る」とあった。朝宮氏は、この記述の「根拠」を明らかにしていない。これがホントだとすると、十二国創成は少なくとも5000年くらい遡ることになるが、私はそれに与しない。私は「白銀の墟 玄の月(3)」において、「十二国創成」の物語を自ら創作した。また、「白銀の墟 玄の月(4)」で、十二国の構造について自説を開陳した。マイ年表は、当然それに依って書いている。


    十二国マイ年表(92年を基準年とし、西暦に置き換えた)

    BC212年  十二国創世

    1000年ごろ 戴国の代王、捨身木に火をかける。その罪により戴国の国氏が代から泰に変わる。
    1400年ごろ 奏国宗王先新が登極 
          才国遵帝「覿面の罪」により斃れる
    1500年ごろ雁国延王尚隆が登極
          元州の乱 斡由誅殺
    1700年ごろ 範国氾王登極
    1870年 柳国劉王露峰が登極
    1902年  恭国供王珠晶が登極
    1942年 巧国で塙王が登極
    1952年 舜国の王登極
    1957年 芳国峯王仲韃登極
         才国采王砥尚登極
    1977年  泰麒 胎果として蓬莱国に流される
    1981年 才国采王砥尚崩御
        才国采王黄姑が登極
    1985年 慶国予王が登極
    1987年 泰麒 2月蓬山に戻る
    戴国泰王驍宗が登極
    1988年 戴国阿選の乱始まる
         泰麒 鳴蝕により戴から消える
    1990年 芳国峯王仲韃崩御
         芳国の麒麟卵果が触により流される
    1991年  慶国予王崩御
    1992年 陽子蓬莱国より来たる
         慶国景王陽子が登極
    1993年 功国塙王崩御
         慶国で和州の乱 
    1994年  泰麒 蓬莱国より帰還
    1995年  戴国 阿選の乱収束

    • kuma0504さん
      ひまわりめろんさん、おはようございます。
      「守り人シリーズ」良いですねー♪
      大好きです。
      レビュー楽しみにしてます。
      ひまわりめろんさん、おはようございます。
      「守り人シリーズ」良いですねー♪
      大好きです。
      レビュー楽しみにしてます。
      2022/09/22
    • bmakiさん
      こんにちは(*^^*)

      私もこの本、綾辻先生のTwitterで紹介されているのを見て、すぐにAmazonでポチりました。
      kuma0...
      こんにちは(*^^*)

      私もこの本、綾辻先生のTwitterで紹介されているのを見て、すぐにAmazonでポチりました。
      kuma0504さんはいつも頭の良い方だなぁと思っていましたが、読み込まれ方が半端ないですね。
      このkuma0504さんの感想が私のバイブルになりそうです(*^^*)

      さらさらさらとまだ目を通しただけですが、kuma0504さんの感想を読んで俄然興味が湧きました(*^^*)
      2022/09/25
    • kuma0504さん
      bmakiさん、こんばんは。
      過分なお言葉、恐縮です。

      bmakiさんは全巻読んでいらっしゃるんですよね。
      出来たら、私の「創世記」の感想...
      bmakiさん、こんばんは。
      過分なお言葉、恐縮です。

      bmakiさんは全巻読んでいらっしゃるんですよね。
      出来たら、私の「創世記」の感想も教えてください。
      2022/09/25
  •  本当に小野さん、30年間ご苦労様でしたという言葉しか出ませんね。

     ゆっくりでいいので、続きを書いてもらえればと思う反面、私も同年代だしなぁとか、今年は○○関係で検査続きだしなぁと思ったりもしますね。

     柳国の事は気になりますよねぇ。こちらも書いていただければ嬉しいですねぇ。

     そして、山田さんのイラストの美麗なこと。陽子も泰麒も美しい!

  • 十二国記30周年ガイドブック。私自身はこのシリーズを四半世紀ほど追いかけているだろうか。ファンタジーにあまり興味のない男子学生だったが、ご多分にもれず、山田章博さんの美しい挿画に惹かれて、ホワイトハート版を手にした。明らかに女性向けの文庫だったので、レジに持って行くのを躊躇したことを覚えている。

    これがよくある剣と魔法のファンタジーなら興味を覚えなかっただろうが、当時は中国の古代史にはまっていて、ペラペラとページをめくるといかにもそれっぽい単語がいっぱい…。読んでみて、その芳醇な物語性に度肝を抜かれた。

    30周年と謳っているが、実際には30周年は去年の話。出るとされていた短編集が出せず、苦渋の選択で作られたのではないかと想像してしまう。内容はガイドブックというには程遠く、用語解説も人物紹介も薄いし、使い回しも散見される。とはいえ、もちろん買わずにはいられない!なぜなら、それはファンだから。

    小野先生のインタビューを読むだけでも買う価値はある。楽俊のモデルが『ナルニア国物語』のあのキャラだったとは!なるほど確かに、と深く納得した。設定地図の存在などは興味深い。

    次なる楽しみは新作の刊行だが、これは座して待つしかない。小野先生の体調が第一だ。既刊本を再読しつつ、布教活動に励もうと思う。十二国記を未読の方、それは何とも幸せな方だ。あの感動をこれから味わえるのだから。

  • 祝30周年!ついに出ました念願の「十二国記」ガイドブック。
    ・「十二国記」の作品、主な登場人物、物語年表、世界地図
    ・特別エッセイ・・・萩尾望都、沖方丁、阿部智里等、10名。
    ・祝30周年「十二国記」ART GALLERY
      ・・・羽海野チカ、藤崎竜、芥見下々、いとうのいぢ等、9名。
    ・「十二国記」と人・・・編集、校閲、装幀、イベント
    ・「十二国記」の30年史
    ・小野不由美ロングインタビュー
    ・山田章博インタビュー
    ・特別収録『漂舶』十二国記 小野不由美/作
    思えば、講談社の文庫ホワイトハートで激ハマり。
    異世界ファンタジーと云えど、心情その他の奥深さに
    惚れ込み、新潮文庫も画集も揃えてしまいました。
    そしてついに、ファン待望のガイドブック登場!
    「十二国記」の基礎知識から、思い入れ溢れる作家たちの
    寄稿エッセイ、マンガ家やイラストレーターの個性たっぷりで
    描き込まれた作品の素晴らしさ、関わった方々のインタビューの
    思いの丈、そして小野先生のインタビューの中での驚きの事実。
    あの『漂舶』まで掲載されて、もうお腹いっぱいです。
    柳国の話は気になるけど、健康に留意して、ゆっくりと
    執筆いただければ幸いです。
    ともあれガイドブックのおかげで、再読したくてウズウズ。
    あ、画集「青陽の曲」も購入しなくちゃ!

  • タイトルの通り公式のガイドブック。巻ごとのあらすじやトピック、登場人物&用語解説、著名人によるエッセイを収録しているのでより理解が深まるし復習になる。掲載されているエッセイはどれも熱量が高く、改めて愛されているシリーズなのを実感した。他に小野不由美のインタビュー、外伝である短編「漂舶」も収録。

  • 特別収録 漂舶 十二国記外伝

    このシリーズに少年少女時代に出会える人は幸せだと思う。
    特別収録の短編は、六太と尚隆の話で、クスッと笑えつつ、しみじみする。

  • 独特のファンタジー世界を繰り広げる『十二国記』。
    そのエピソード0に位置づけられる『魔性の子』が1991年の刊行されてから30周年を記念してのガイドブック。
    十二国記シリーズの舞台、登場人物や各国と、作品との相関関係、年表の基本データの他、著者ロングインタビュー、関係者へのインタビュー、エッセイ等などが掲載。中には魔性の子のタイトル由来が明かされていたりして気が抜けない。
    巻末には、外伝の短編小説『漂舶』が特別掲載。まあこれが、この本のメインディッシュなんだけど。
    『白銀の墟 玄の月』から早3年が経ち、『漂舶』にて久しぶりに十二国記の世界に触れてしまった今更、新作を渇望している。

  • この本を買う時点で相当のファン。
    なのでどれに対しても結構興味深く好意的に読んだと思うのですが、編集者インタビューは不覚にもジーンとしたし、校閲の方のお話は興味深かったし、辻村深月のエッセイはわかりみしかなかった。


    2022.9.4
    125

  • 涙が出るね。

  • すっかりハマってしまい、記念本の購入に至る。過去の振り返り、関係性の確認、見落としの再発見など、身悶えする内容。著名な小説家の解説や評論も、目線が変わって面白いし、特別掲載の短編も十二国記を堪能できる。未読はあと3冊。前回から最新刊まで年単位で待たせられることを考えると、読みたいが勿体無いような、複雑な気持ち。

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