王国 その2 痛み、失われたものの影、そして魔法

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (141ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103834052

作品紹介・あらすじ

泣きたい気持ちだった。不安でいっぱいだった。生きることの輪郭が日々ぼやけていくようだった。退屈にも似た淋しさから抜け出すにはどうしたら…震える魂を抱えた「私」は、光を探し求めていた。そしてそれは都会暮らしの、さりげない隣にあるようだった。忘れかけていた胸騒ぎよ、よみがえれ!魂の色つやを守り抜け!ライフワーク長篇、待望の第二部。物語の奥深くから、今、最初の光が届く。

感想・レビュー・書評

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  • もうこれは、サブタイトルに全てが集約されている、と思う。
    そしてその3へつづく、のだけど。

    物語に大きな動きはない代わりに、少し観念的な内容だった。
    一行一行、学校の国語の授業みたいに読み解いていけばいいのかもしれないけれど、今はそういう感じじゃなかったから、ひとまず感覚で流れるように深く考え込まないようにして読んだ。

    ここにいること、今していること、に不満や不安を抱くことは多々あるけれど、自分の力や判断で現状を変えるつもりがないのなら、ここにいて今自分に出来ることを全力でやるしかない。
    受け入れること、そして自分を高く見すぎないこと。
    色んな流れがあって、今ここでやっていることにも意味があるということ。

    環境がもたらす影響は強大だから、意識して、無意識に支配されないようにすること。

    何だかぼんやりした感想になってしまった(笑)
    そしてその3へ進みます。

  • おばあちゃんの老いを目の当たりに
    「じっと見れば見るほど、淋しくなってきた。ここには私には決して届かない宇宙がひとつあって、そのはじまりも終わりもそれぞれ別にやってくる」
    「その淋しさは、私をぐっとひきしめ、背筋をのばし、苦しいけれど目をはっきりと覚まさせた。いつまでもこれは続かない、全部変わっていく。でも、今、目の前にあるんだ。それだけは確かなことなんだ。だから、目をしっかりと開けて、頭をはっきりとさせて全部おいしくみずみずしいままで飲み込んでしまおう」p57

  • 読んでいて痛く。辛い。
    私はどんな匂いがしてるんだろう、とか考えてしまう。

    ストレスを感じている人は、歩いているだけで害を発散する。
    絶対、そうだと思う。その逆ももちろんあると思うし。
    ピカソの独特の精神エネルギーで、周りの人に影響を及ぼしたと言われてるけど
    それはピカソが物凄い人で、エネルギーも強くて、周りの人も意識的にそう思うし
    結果も見つけ易いというだけで、人は誰でもそういうものなんだと思う。

    テレビのくだりなど、一人暮らしをしていた頃を思い出した。
    同じように足掻いていた。

    おばあちゃんの手紙、特に最後の方に載っていたメールはとても良かった。
    「ごちゃごちゃと大人っぽく断っていた」という言い草もとても良かった。
    じんときた。愛が溢れていて。

    小さく輝いて消えていくだけ 小さな物語をつくって
    そういう命の、自分の、捉え方がとても素敵だと思った。ずきんときた。
    だから、光を持って漕ぎ出していく。
    そういう終わり方もとても好きだった。
    心が温かくなった。

  • 休日の昼下がりに読みたい本です。

  • 片岡兄貴ー!!楓と一緒に早く雫石のところに帰って来て欲しい…次巻が楽しみです

  • テレビに振り回される主人公にネット依存してしまう自分が重なった。
    おばあちゃんの言葉はワタシにも沁みる。

    あとおでんの甘い出汁の香りがぷんと香ってきそうで、こんな真夏の最中なのにおでんが、ちくわぶが、食べたくなりました。

  • 2022.1.25読了。
    今年6冊目。

  • 【読んだ目的・理由】社会人になったら買うと決めていたから
    【入手経路】買った
    【詳細評価】☆4.7
    【一番好きな表現】
    それぞれが無理しないで、自分の才能をちゃんとケアしていけば、それでいいのではないでしょうか。もしもそれで食べていけないなら、それは世の中のほうが悪いんです。そう思えれば、絶対になんとかなると思うんです。(中略)自分以外のものになんて、一生なれるわけないんです。
    (本文より引用)

  • 王国1~4をまとめて。

    ばななさんらしいスピリチュアルな小説だった。
    でも、人間や環境についてのややお説教臭い雰囲気が
    鼻について、他の作品よりは好きになれないかも…と思っていたが、
    最終巻4巻のラストで、パパ2がノニに対して語る場面ですーっと氷が溶けるように
    それまで物語にまとわりついていたぎこちなさが消えていった。

    そして、あとがきのばななさんの言葉も素直に腑に落ちた。
    「彼らの奇妙なライフスタイルをまねる必要はない」とあったけれど、
    物語に登場する人たちは妖精の域に達しそうな超越ぶりなので、
    読んだ瞬間に無理でしょ、と思わず苦笑いしてしまった。

    そのあとに続く「ただ、自然とともに常にゆれている心、そこだけ読んでもらえれば。」という言葉には素直に共感できたけれど。

    「これからしばらくは大変な時代が続くだろう。
    直感と本能を信じ、自分を保つことをたえず続けていかないと、
    生きていくのが困難になるのではないか」
    というあとがきの言葉は2010年春に書かれたもの。

    そのばななさんの慧眼にぞくりとしたが、
    どんな状況でも人は適応して生きていくんだと思う。
    そのときに必要なのが物語なんだと、実感できる小説だった。

  • シリーズ二作目。
    主人公の内面描写が多く、物語はあまり進行しない。
    よしもとばななさんの作品は、読むときの精神状態によって、共感できたり心にしみたり、様々な感想を抱くような繊細さがある。

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著者プロフィール

1964年07月24日東京都生まれ。A型。日本大学芸術学部文藝学科卒業。1987年11月小説「キッチン」で第6回海燕新人文学賞受賞。1988年01月『キッチン』で第16回泉鏡花文学賞受賞。1988年08月『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞受賞。1989年03月『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞受賞。1993年06月イタリアのスカンノ賞受賞。1995年11月『アムリタ』で第5回紫式部賞受賞。1996年03月イタリアのフェンディッシメ文学賞「Under 35」受賞。1999年11月イタリアのマスケラダルジェント賞文学部門受賞。2000年09月『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞受賞。『キッチン』をはじめ、諸作品は海外30数カ国で翻訳、出版されている。

「2013年 『女子の遺伝子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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