きよしこ

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104075041

感想・レビュー・書評

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  • 【伝えたいことを伝える難しさ】

    吃音を抱えている少年「きよし」は自分の思っていることをうまく話すことができません。本当に自分がほしいものを伝えられなかったり、緊張すると吃音がひどくなったり、吃音をまわりの同級生達に馬鹿にされたりします。

    うまく喋れないということは、自分の言いたいことを伝えられないということなのですね。吃音がなくても伝えるのは難しい時がありますが、さらに難しくなる。でも「本当に伝えたいことは、伝わる」と著者は伝えたかったようです。

    初めて読んだのは10年くらい前でしょうか。その時はなんだか暗い印象を受けて、読むのが辛いなあと思った記憶があります。

    久しぶりに手に取って読んでみたら、確かに少年が苦しんだり悲しんだりしているのは辛いのですが、「きよし」は引越ししてきた友達に優しくできたり、ちゃんと東京の大学に行きたいと自分の言葉で言ったりしているのをあらためて読んで、少年の成長物語で暗いお話ではありませんでした。

  • 読んで思い出したけど、そういえばうちの兄は吃音だった。
    明るくて友達の多い人だから、そんなの忘れてた。
    どもるけど、それをおかしいと思うこともなく、うちの兄なんだよなとだけ思って生きてきた。

  • 優しくてほんのり心があたたまるストリーでした。
    伝えたいことがあるのに、言葉にできない思い。

    大切な人にぜひ読んでほしいと思える小説でした。
    嫁や、わが子(もうちょっと大きくなってから)に…

    「それがほんとうに伝えたいことだったら……伝わると、きっと」

  • 久しぶりの重松作品!

    重松作品のパターンを踏襲してるといえば
    してるんだけど、
    この作品は 重松さんの自伝的小説なので
    そうだったんだ〜なんて思いながら
    読みました。


    以前 脳科学者の先生と重松さんの対談の
    本を読んだときに
    この作品が 文中によく出てきたので、
    気になっていました。


    途中 どうしようもなく涙が出て
    仕方ないところがありました。

  • 7つの短編小説。

    心がほんのり温かくなります。
    自分の大切な人に読んでもらいたい
    そんな一冊になりました。

  • これも受験中に読んで感想放置・・・
    忘れちゃうからこれからはちゃんとすぐ書こう・・・

    印象に残ってるのは
    小学校の時のしゃべらない友達のとこと
    高校の主人公がどもっちゃってでも周りが あ、しゃべらせちゃって悪いな っていう雰囲気をだすとこ

    高校のときのほうは悔しいのがぎりぎり分かってつらかった

    うまくしゃべれないってほんとにつらいと思う
    私は吃音ではないからあんまりわからないけど
    しゃべるとどもっちゃったりするから恥ずかしいような気持ちする
    けどそういうことじゃないのかなー・・・とか
    うーん

  • 子どもが吃音症で悩んでいる、という手紙をもらった作者が、その子どものために書いた作品。とても良かった。不器用だけど優しくて温かい登場人物が多かった。これは最高のプレゼントだろう。

  • 目的とメッセージがしっかりと込められた物語なんだと思います。
    そのせいか、すごく心に染み渡りました。

    この物語は、ある少年のお話。
    少年は、怒り、悲しみ、憎しみ、自分自身と闘い、成長していきます。

    きっと誰もが、この少年と同じように、様々なことを経験し、様々な感情を抱いて生きてきたはずです。

    そうした経験から、人は、コンプレックスに打ち勝ち、人の痛みがわかるようになっていくのではないでしょうか。

    だから、気にすることなんてないんだ。
    みんな同じように誰にもわからないコンプレックスを抱えているんだから。
    みんなその痛みをわかってくれるんだから。

    僕は清少年から、そんなメッセージを受け取りました。

  • 吃音のある少年に寄り添いたいと書かれた、吃音をかかえた少年のお話。小学校から大学入学前までの少年の成長と周囲の人たちとのエピソード。からかい、憐憫、仲間はずれ、友情。どもりのために言いよどみ、言いかえられ、発せられない言葉。それでも本当に伝えたいことなら、きっと伝えられる、受け止めてくれる人はいつもいるということを信じさせてもらえた。
    12-84

  • 大学生の時に読みました。私の人生に大きな影響を与えた本。

    あらすじを知らずに読み始めた私は、子供の独特な感情を豊かに再現されたこの作品にただただ感心しひきこまれました。

    すべて読み終え私の中に残ったのは、ほっこりした気持ちと、キヨシみたいに吃音の悩みを抱えている子の存在でした。

    恥ずかしながら吃音者の生の声を聞いたのがはじめてだったので、そのことが私に強い印象を与え終には私自身が言語聴覚士をも目指しはじめました。

    今まで関心のなかった介護や障害者介助に関心をもつきっかけになった私にとってかけがえのない作品です。

    リハビリを必要としてる人とリハビリの現実。実際キヨシがことばの教室に期待をしてないところもやるせなくて印象的でした。

    その後も何度も読み返し、一度読んだ本を数えきれないほど読んだのはこの作品がはじめてでした。

    私の読書人生に読み重ねることの楽しさを教えてくれた作品でもあります。

    文庫を持っているので、いつかハードを手に入れたいです。

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著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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