きよしこ

著者 :
  • 新潮社
3.74
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本棚登録 : 920
感想 : 131
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104075041

感想・レビュー・書評

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  • わたしが好きそうな本 と言われて薦められた1冊。

    ビンゴです。
    これ,好きです!

    連作の短編になっているので読みやすい。

    父の転勤で転校ばかりだった,吃音のきよし少年。
    転校するたびに自己紹介をしなければならない。でも,きよしの「き」はカ行だからうまく言えなくて・・・
    そんな少年の成長物語。

    「ほんとうに伝えたいことは伝わるよ」
    と“きよしこ”の声が聞こえる。

    伝える術はあるのに,「伝える」ことは難しい。
    でも,伝えたいのに伝えられない“きよし”は
    もどかしくて,はがゆいのだろう。

    わたしはどれだけ伝えたいことを伝えられているんだろうか?
    そう思いました。

    「北風ぴゅう太」という話では涙でした・・・
    先生のあの明るさがよけい涙を誘いました。
    とてもあったかい物語です。

  • 作者への期待が大きすぎるのか、読了後不完全燃焼のイメージが強く評価は3とさせていただいた。きよしこと僕の関わり合い。個人的な好みになってしまうが、もっとそこら辺に焦点があてられていれば印象深い作品になっていたように感じられた。

  • 劣等感は切ない。でも切ないからこそ愛おしい。劣等感上等。

  • 中学生や高校生向けかな?って感じはしたけど、でも良かった(*´∀`*)
    最後じんわり&ほんわか♪

  • 最初は吃音という著者と同じ症状がでてしまう子供を持つ母親から 自分の子供に手紙を書いて励まして欲しいというお話から手紙ではなくこの小説を書いた。
    やはり子供の頃の多感な時期はみんなあるんだと思える作品。

    一人の子供のために書いた作品のようだけど、読者も著者と一緒にその子に余裕や勇気が出たらいいなという気持ちをその子に送るのだった。そういった風に読んでしまう本で今までとは違った作風だった。

  • 吃音障害のある少年の小学高学年から中学生への数年間を追う短編集です。

    私は余り吃音障害について詳しくなかったのですが、この1冊で色んなことを知ることが出来ました。

    例えば、吃音障害とは全ての単語をどもるわけではなく苦手なカ行タ行濁音半濁音から始まる単語にのみどもること。(この少年だけかもしれませんが)
    どもる単語が無ければするするとスムーズに喋れること。
    どもる単語を別の単語に置き換える努力をしていること。
    吃音障害はその多くが幼少の頃に精神的なストレスによって始まること。

    私も小学校へ上がる前の一時期吃音が出ていたそうです。
    母は病院へ相談に行き「お子さんが話している時は先を急がず最後まで我慢強く話を聞いてあげてください」とアドバイスされ母はそれを実行し、1年足らずの間にいつの間にか吃音は無くなっていたそうです。
    小4の時に離婚して出て行った私の父はかなり強い亭主関白でこどもの私にも高圧的な態度で長時間の説教(体罰は無し)だったこと、3勤2休のフェリー勤務の父が家に居る2日間と居ない3日間では母も私も心の自由度が違ったこと、時に母に頭を叩かれる程度の体罰を受けていたことくらいしか小学校前の私にかかるストレスらしきものは無かったと思います。

    吃音があった自分を覚えていないのでその原因もわかるわけがないのですが、もしも私の吃音がずっと治らないままだったら。
    私の人生は大きく違っていたでしょう。
    看護士という職業を選んだかどうか・・・いや選ばなかったでしょう。

    この物語の主人公の少年には、吃音であるが故に読書家になったことと、吃音であるが故にどもらない単語へ置き換える努力をした結果語彙が増え読書感想文が得意になります。
    この得意科目があることに救いを感じました。
    そして、毎年のように転勤する父のために転校を繰り返す彼に、時に親友と呼べる人が現れることも救いでした。

    吃音を嘲笑しあげつらい囃し立てられるのは小学生まで、中学生になるとみんな気づかないふりをしてくれる。
    無口になりがちな少年に恋心が芽生えるけれどやはりそれは口には出せない。

    重松清は少年とおじさんをとてもリアルに描きますが、この吃音に関しても本当にリアルで作者自身もしくは家族に吃音障害をもつ人がいなければここまでリアルには描けないだろう、と思う程です。

    こどもに関わる仕事をしている方に是非読んで欲しい1冊です。
    吃音は決して珍しいものでは無いから。

  • 読み終わってホロリとさせられる。重松氏の体験がもとになっているらしいが野球がよく作品の中にあり興味深い。
    地域の小学生にソフトボールの指導をして30年くらいなるが新学期になるとチームを去る子、新しく入部する子がいる。 親の転勤で泣く泣く離れていく子は次の学校で友達が出来るか心配だろうし、親御さんはいじめに合わないかと心配なことでしょう。
    今まではソフトが上手なら次の学校でもすぐに友達が出来るから自信を持って行けと送り出してましたけど、「交差点」の章のように入部してすぐにレギュラーになればそれもいじめの対象になるみたいだから難しいもんだ。

  • 作者の幼少期をもとに、吃音の少年に贈られたお話し。
    あまりにも、私自信に当てはまる部分が多く、幼い頃の自分に寄り添うようでもあった。なにしろ、小さいときほど吃りの酷かった私は、主人公のきよし少年と同じように、小学校に6校通った転勤族で、苦手な「か」は名前の先頭の文字だったのだから。苦手な言葉のピンチヒッターの出し方だって心得ている。
    慰められた感じはないけれど、認めてもらえた?そんな感じ。何度も何度も頷いた。

  • つらい時に出会った一冊。吃音症をもつ作家、重松きよしの自伝的小説である。主人公の男の子に感情移入して読むことができた。人見知りのような所も共感できたのですっと心に入っていった。

  • 少年の繊細な心の動きがリアルに真っ直ぐ伝わり、胸が締め付けられるような思いで読みました。挿絵も素敵だし、読後感もよかったです。子育ての参考にしたいです。

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著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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