音楽は自由にする

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104106028

感想・レビュー・書評

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  • 作曲家坂本龍一の自伝。
    才能はもちろん必要だが、自分がどうしたいか、それがハッキリしている人でないと、芸術の世界では成功は難しい。
    周りの人は、大変かもしれない。(購入)

  • ●読書録未記入

    初出『エンジン』2007.01月号〜2009.03月号(新潮社の「クルマを中心とする男性誌」)

    p.41 【「ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番」:中学1年生後半に、
        「ドビュッシー弦楽四重奏曲」:中学2年生の時に夢中に。

    p.18【《表現と言うのは結局、他者が理解出来る形、他者と共有できるような形で無いと成立しないものです。》】

    p.24【徳山寿子先生:小学校時代の坂本龍一のピアノ指導をし、小学5年生の時に作曲の勉強をする事を進めた。夫は徳山 ?(たまき)(声楽家。「とんとん とんからりと となりぐみ」を歌った。)】
    p.32【松本民之助先生:芸大作曲家の先生。小5から中3までの坂本龍一を作曲指導。】
    p.68【ゴダール:好きな映画監督。高校1年生の時「気狂いピエロ」を観たのが最初で、それ以降の者はほぼリアルタイムで見ている。「中国女」・「ウィークエンド」・「東風」。「中国女」は5月革命を予言した作品。
    ★《5月革命:五月革命(ごがつかくめい)とは、1968年5月21日にフランスのパリで行われたゼネスト(ゼネラル・ストライキ)を主体とする民衆の反体制運動と、それに伴う政府の政策転換を指す。》wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/5%E6%9C%88%E9%9D%A9%E5%91%BD

    p.90【「作曲とコンピューター」:クセナキス(電子音楽の先駆者)】
    p.135【「アメリカで受ける曲」:矢野顕子の曲・「ビハインド・ザ・マスク」(後にマイケル・ジャクソンやエリック・クラプトンがカヴァー。ロンドンでは「ジ・エンド・オブ・アジア」が受ける。】
    p.208【「エナジー・フロー」:1999.05.26リリースの「三共リゲインEB錠」CM曲。『ウラBTTB』収録。5分くらいでサラサラと書いた曲だが160万枚売れ、坂本龍一自身も「何が売れるのか」分からなくなった。(坂本龍一のファンは「固定客」でポップ・クラシカルなど内容を変えてもアルバムの売り上げはそれ程変化が無いそう)】

    p.220【「無音の日々」:2001.09.11の「9.11」直後のニューヨーク。《人は非常時には、普段なら切り捨てていたようなレベルの情報も全て拾うようになります。全方位に過敏になるんです。そうすると、音楽と言うものは出来なくなってしまう。感覚の許容量を超えてしまうんですね。音楽が消えただけでなく、あの騒々しいニューヨークで、音がしなかった。誰もクラクションを鳴らさないし、ジェット機も飛んでいない。物凄く静かでした。針が落ちただけで人が振り向くぐらいのぴりぴりした完治が、ニューヨーク全体を覆っていた。そんなときにもし誰かがギターなんか弾いたりしたら、殴られかねません。ああ、こういう風になるんだなと思いました。やがて歌が聞こえてきたのは、諦めからです。テロから3日経って、もう生存者はいないと言う事をみんなが理解した時、ヴィジルというも余おいがありました。ろうそくを持って町のあちこちに立って、黙祷をする。音楽が現れたのはそれからでした。喪に服する為に、葬送という儀式の為に、初めて音楽が必要になる。芸術の根源を見た様でもありました。》】
    p.221【「非戦」《テロの後は、恐怖の中で必死に情報を集める毎日でした。人間、どうしても知りたくなるんです。情報を集め、状況を解釈してその意味を考えないと、次に何が起こり同行動すればいいのか分からない。どうやって生きていったらいいのかわからない。恐怖が本当に極限にまで達すると思考停止になってしまうかもしれませんが、その一歩手前の段階では、人は必死で思考するんですね。多々追えば雷が隣家に落ちたら、次はどこに雷が落ちるかという事を必死に考える。きっと、そこから科学になったり、芸術が出来たりするんだろうと思います。(中略)その中で集めた情報をEメールで交換する輪をまとめた本が◎「非戦」(坂本龍一,sustainability for peace
    幻冬舎(2001-12-20)。(中略)しかし、アレだけ多くの人々が世界各地で、おなじおもいをもってすとりーとにでたのに、アメリカは結局イラクに侵攻してしまった。あのときのアメリカに対する深い失望が、現在の世界の状況につながっていると思います。》】

    p.231【《「レコード輸入権」や「PSE法」の問題は音楽に関わる人間にとってはとても切実な問題。》】
    p.238【《年を取って良かったと思います。ポーリ・ニザンじゃないですが、若さなんて、全然いいものじゃないですよ。声を大にして言いたい。》(YMO結成時は他メンバーとの対立もあったが、2008頃の再結成では面白い事も出来るようになって)】
    p.243【「アウト・オブ・ノイズ」:2009年リリースの5年ぶりの坂本龍一のソロ・アルアム。茶道や華道に通じるような日本的要素あり。】
    ★「レコード輸入権」=音楽レコードの還流防止措置。《日本の著作権法に基づく権利者保護制度の一つであり、日本の著作権法の下での著作権者または著作隣接権者が、日本国内外で同一の商業用レコードを発行している場合において、日本国外で発行された商業用レコードを日本国内に頒布目的で輸入する行為などを、一定の要件下で著作権または著作隣接権の侵害とみなし、禁止しようとする制度をいう。本制度は、著作権法113条5項に規定され、2005年1月1日に施行された。その立法経緯に由来し、「レコード輸入権」、「レコード輸入権制度」の俗称でよばれることも多い。》(「音楽レコードの還流防止措置」wikipedia
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%89%E8%BC%B8%E5%85%A5%E6%A8%A9
    ★「PSE法」:《PSE問題(―もんだい)とは、日本の電気用品安全法に基づく表示(PSEマーク)がついていない電気用品の販売を認めないことにより生じた問題。

    旧来の電気用品取締法(電取法)が改正、改題され、電気用品安全法(電安法)として2001年4月1日に改正施行された。製造事業者や輸入事業者の自主性を促すために手続を大幅に緩和する改正であったが、同法第二十七条は、PSEマークが付されていない中古電気用品の販売をも規制するものとの解釈も可能なものであった。新法移行のための猶予期間切れが直近に迫った2005年末から2006年初頭にかけて、経済産業省が突如として中古品も販売規制の対象となるとの解釈を打ち出したため、これに対して、消費者や一部の中古品販売業者などが反対運動を展開、社会問題化した。

    これを受けて経済産業省は、2006年3月24日に至り、PSEマークがついていない電気用品の販売を事実上容認する方針を表明。その後、2007年12月21日より施行された改正電気用品安全法により、旧電取法上の表示をもってPSEマークとみなされることとなり、旧電取法上の表示が付されている電気用品の販売が法律上も合法化された。》
    →PSE法施行以前の中古のシンセサイザー入手が困難になってしまうため、反対運動を要した。
    wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/PSE%E5%95%8F%E9%A1%8C






  • 坂本龍一の曲については、『戦場のメリークリスマス』と『ラストエンペラー』の曲、大ヒットした『Energy Flow』くらいしか知らないけど、戦メリなどは大好きなので、こんな音楽を作る人がどういう育ち方をしたのかってことにもともと興味はあった。
    でその後、坂本龍一がアップルストアで公演をしたのをネットの記事で読んで、とんがった人だなーと思った覚えもあって、この本は絶対に読んでみたかったのだ。読んでみると、実際おもしろかった。
    特に少年時代〜YMO結成くらいまで。ピアノのレッスンや初めての作曲、バッハやベートーベンの勉強、ドビュッシーの生まれかわりと信じ込んだこと、作曲の勉強、ビートルズやローリングストーンズとの出会い、ジャズ、前衛音楽、現代音楽、実験音楽、フォークミュージック、ポップス、学生運動、ストライキ、民族音楽、映画、芸術、美術、演劇・・・などなど。すごく文化的に豊かに成長した人だということがこれらキーワードからも伺える。中でも私が衝撃を受けたのは、武満徹の演奏会で抗議のビラを撒いたという逸話。武満徹といえば、当時からも有名で高名な作曲家であったはずなのに・・・なんて向こう見ずな若者なんだと思った。でもそういうところが面白い。そういえば、村上龍の自伝で、彼も高校生の頃に佐世保で学生運動をしたり、かなりハチャメチャな青春時代をすごしたことが書かれていたが、ちょっとそれに重なるところがあるなぁと思った。ゆとり教育の今では考えられないような時代だなぁと思いつつも、何かしら主義主張があったり、社会全体でアツいムーブメントがあったこの時代がうらやましいような気持ちになった。この時代に生まれてる人って、個性的で面白い人が多いんじゃないかというのは気のせいか?とにかく、幼少期から色んな文化に触れて、土台を作るというか、素養を作ることは重要そうだと感じた。さらにまたその成長過程でより異質の文化を吸収していく・・・。とにかくのびのびと育つということが大事なのかもしれない。

  • 一読した後はやっぱり天才と呼ばれる人は才能にプラスしてバイタリティがすごいし運も強いんだなと思った。
    しかし何十年にもわたって第一線でいるにはやはりつらいことも多いのだろう。「ラストエンペラー」での
    苦労もさらっと書かれていたが本当は裏には考えられないぐらいの苦労があたことと思う。別のところでラスト
    エンペラーの音楽をめぐるどたばたを少し目にしたが書いてあることと大きくかけ離れた話だった。このことからも
    本には書かれていないが周りのスタッフなども多大な苦労をしていることが伺われた。YMOの他の二人との音楽
    をめぐる確執が最近になってやっとほぐれてきたと最後の方に書かれていたが表面上仲良くやっているように
    みえたメンバーとも喧嘩ばかりしていたようではまわりのスタッフの苦労はいかばかりだったろう。
    カリスマの天才物語を読んでいるうちになぜかその他おおぜいの人たちの苦労に思いをはせてしまった。

  • ツアーは4月末で終了しましたが、
    評判高。
    I-tunesで全公演ダウンロードできるなど、
    新しい試みを続ける彼の自伝的内容
    個人的には面白い本です。

  • 坂本龍一の自伝。
    坂本教授の曲の中で特に好きな「サウザンドナイフ」がデビュー曲だと知り感慨深くなる。
    やはり世の中には天才が存在するのだと思った。もちろん相応の努力も必要だけれど。

  • 坂本龍一の自伝、自著ではなく2年の歳月の間に半生を振り返るインタビューに答えたものをまとめたものです。読めば読むほどスゴい人だなーと恐れ入ります。若い頃、どん欲なくらい沢山のものを吸収し、多くの文化人との出会いを血肉とし、時代の先端で活躍したのでしょうし、面白いと思ったことにはとことんのめり込んでいったそのパワーや強運ぶりにも感嘆します。凡人には近付き難いほどの芸術家であり、なんだか遠い遠い世界の出来事のようです。プライペートなことや個人的な感情などの記述はほとんどありませんのでその辺は期待しない方がよいです。それでも読後感は意外と良かったです。日々の生活に追われる自分のような庶民でも、思いをはせることは自由であるし、自分も圧倒的な自然のなかの一人間だということをあらためて意識させられた。自由な心で生きようと思える強さを分けてもらった。

  • 嫉妬と羨望と憎悪をないまぜにして読んだ

  • 2009年3月11日(水)読了。

    NO MUSIC, NO LIFE.

  • 読み物としては面白いのですが、内容のほとんどは既にインタビューなどで語られているもので、コアなファンである僕には物足りなかったです。

    教授の音楽を聴いたことはあるが、教授の経歴や人間性についてはよく知らないというかたにお勧めです。

    音楽語法などにはまったく触れていないので、作曲家を志すかたが読んでもあまり勉強にはなりません。

    ランクはあくまで僕の満足度で、本自体のクオリティが低いわけではありません。

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著者プロフィール

さかもと・りゅういち:1952年東京生まれ。3歳からピアノを、10歳から作曲を学ぶ。東京藝術大学大学院修士課程修了。78年にソロ・アルバム『千のナイフ』でデビュー。同年、細野晴臣、髙橋幸宏とともにYMOを結成し、シンセサイザーを駆使したポップ・ミュージックの世界を切り開いた。83年の散開後は、ソロ・ミュージシャンとして最新オリジナル・アルバムの『async』(2017)まで無数の作品を発表。自ら出演した大島渚監督の『戦場のメリークリスマス』(83)をはじめ、ベルトルッチ監督の『ラスト・エンペラー』(87)、『シェルタリング・スカイ』(90)、イニャリトゥ監督の『レヴェナント』(2015)など30本以上を手掛けた映画音楽は、アカデミー賞を受賞するなど高く評価されている。地球の環境と反核・平和活動にも深くコミットし、「more trees」や「Stop Rokkasyo」「No Nukes」などのプロジェクトを立ち上げた。「東北ユースオーケストラ」など音楽を通じた東北地方太平洋沖地震被災者支援活動もおこなっている。2006年に「音楽の共有地」を目指す音楽レーベル「commmons」を設立、08年にスコラ・シリーズをスタートさせている。2014年7月、中咽頭癌の罹患を発表したが翌年に復帰。以後は精力的な活動を続けた。2021年1月に直腸癌の罹患を発表し闘病中。自伝『音楽は自由にする』(新潮社、2009)など著書も多い。

「2021年 『vol.18 ピアノへの旅(コモンズ: スコラ)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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