- Amazon.co.jp ・本 (462ページ)
- / ISBN・EAN: 9784105056056
作品紹介・あらすじ
ヨーロッパの教養豊かに育ったハンバート・ハンバートは、幼い頃の最初の恋で心に傷を負っていた。理想のニンフェットを求めながらも、パリで結婚するが失敗。離婚を機にフランス語教師としてアメリカに渡った彼の下宿先には、一人の少女がいた。ロリータ。運命のいたずらから、ロリータと二人きりとなったハンバートは、彼女とともに車で全米を転々とすることになる-彼らを追跡する、謎の男が登場するまでは。少女愛というタブーに踏み込んだがためにスキャンダラスな問題作として広く知られる一方、本書が幾多の「謎」を重層的に含み込む、精緻極まるパズルのような名品であることは意外と知られていない。その緻密な「謎」ゆえに、今もなお世界中の読み巧者たちを引きつけてやまない文学の逸品、「言葉の魔術師」ナボコフの最高傑作が、発表50年を経て待望の新訳。
感想・レビュー・書評
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個人の心情を吐露する小説というものは、どうしても語り手に引きずられるので、読み進むにつれて疲労感が増していくものが多いが、これもその1つだった。第2部は少し中だるみしている印象もあり、ページをめくる手が止まらなかったとは言えない。しかし手に入れることができないニンフェットへの愛の告白(または独白)は憧憬に満ち溢れるせいか、詩的に感じるから不思議だ。おかげで序盤と終盤は面白く読めた。また、読後に表紙の女の子を改めて見ると、作中で語られるニンフェットの魅力が見事に写真の中で表現されているのがすごい。題材が題材だけに問題視されたのだろうが、中身はある意味純文学系かなと思う。
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主観ですが、どこまでも詩的な文章で、文学的という印象。こういう文章は一見書きやすそうに見えて、そこに意味を持たせたり、精神を投影させるのが非常に難しいだろうに、とても完成されていて圧倒される。ぜひ原文を読んでみたいけれど、かなり癖のある文体だと予想されるので、まずは訳の読み比べなどしてみたいと感じた。
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『ロリータ』にはたくさんの仕掛けがあるらしい。そう言われなくてもそれは判る。でもそれはこの際どうでもよいことのような気がする。そういうミステリー的な謎ではなく、この小説に挑まれていること、そのことだけで充分に頭の中は埋め尽くされている。
自分には、その問いに対する答えが、露ほども湧いてこない。
そのことが、少し恐ろしい。『テヘランでロリータを読む』を読む前に、と思って読んだのだけれど、そういう不埒な気持ちが悪かったのか。
それにしても、この小説をエロティックだとは全く感じられない。船酔いに耐えて大西洋を渡り切るような、そんな感覚で読み終える。
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読み終わるのにかなり時間がかかった…
どうしてか目は字を追っていても内容が頭に入っていきづらい感覚。古典あるある。
主人公が殺人を犯すまでの半生が主人公視点で描かれるが、その大部分がニンフェット・ロリータへの執着心が占めていた。怖かったなぁ…当時衝撃の問題作となったのも納得。 -
小樽商科大学附属図書館蔵書検索OPAC
https://webopac.ih.otaru-uc.ac.jp/opac/opac_link/bibid/BB10264022
幼い頃の初恋で心に傷を負ったハンバート・ハンバート。
理想の「ニンフェット」を求めながらも結婚に失敗し、アメリカへ渡る。
下宿先には一人の少女が住んでいた。ロリータ二人きりになった彼は彼女とアメリカを転々とすることとなる。
<Lolita>の語源になったアメリカ文学の傑作。発行部数5000万部を誇るベストセラー。 -
いやあこまった。なにもかもが合わずつらいだけの読書だった。普通なら早々に投げ出してしまうのですが、古典となるとそうも行かずダラダラと読み続けたが、やはり何がいいのかさっぱりわからない。52
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読み終わるまでに1か月かかった。
ナボコフの文体には癖があって飲み込むまでに時間がかかる。そのうえ隅々まで読まねば物語が理解できない。それゆえ物語を読み解けた時のパズルがはまったような快感がものすごいのだ。 -
キツかった…キツかったよ…。
性別背景問わず、受け付けない人には受け付けない内容だと思うけど、読んでいる傍らに幼い娘がいるのは心底苦しい…。
せめて産む前に読めば良かった…。
もちろん、十代前半の女の子への性愛だけのセンセーショナルさだけでこの本が何十年生き残って来たわけではないのは、読んでよくわかった。
吐きたいくらいなのに、先が気になってしまう、悔しいけれど物語の作り方の巧みさ。
そして文章の面白さ。
確かに名著だよ。
けど、けど、再読は出来ないと思う…。
解説で、日付のトリックにおお!と思い、検証したい気持ちにはなったけど…やっぱり無理…。
「あんたは人生をめちゃくちゃにしただけ」は最高だった。あんな奴に心はやらない! -
読み込むと一読しただけでは気づかなかったことがいろいろ発見されそうで、推理小説のように伏線が散らばっているのを感じる。
それでも一番強い印象は「きもちわるっ」だった。
ナボコフはこれを発表したとき大学の先生だったというからなお驚き。
先入観を持たずに読もうとしたものの、序盤で嫌悪感から読み続けるのが苦痛になった。
文学の世界をますますわけのわからないものにしてくれた一作。