- Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
- / ISBN・EAN: 9784105090098
作品紹介・あらすじ
落葉の喧騒が吹き過ぎた町に、重く、虚しく残された「死」がひとつ。生の明滅を見つめて、物語の可能性をさぐり、かの蜃気楼の町。マコンド創造に至る、若き日の作品群。ガルシア=マルケス全小説、1947‐55年に発表された12の短篇と、長篇。
感想・レビュー・書評
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「わたしたちは自分の魂を救済しようと努力しているのですよ」
息苦しさに満ちている。生きていても死んでいても(きっと)満たされることのない、願い。死の向こう側にある果てしもない宇宙。眠れない夜にひろがってゆく、ひとつの宇宙。そして意識だけが浮遊してゆく奇妙で美しい永遠の世界。逃れられない死を前に、観念と絶念が渦をまく。そこにはいまだたどり着いてはいけない(たどり着きたくない)パンドラの箱のもとにすすんでむかってゆくものたちの姿がみえた。そして孤独と愛がどうしようもなく追いかけてくる。
11の短篇と「落葉」からは、おなじ におい がした。文字どおりの"におい" が。臭くて大きなトランク。咲き群れるジャスミン。腐ってゆく死体。ナフタリン。寂しさと荒廃が滲み、そしてひとの優しさと残酷さと美しさがつむじ風のように踊っていた。
その他の短篇は、「落葉」の象徴的なモチーフから生まれた、あるいはそれを象るような、惑わすような物語たちだった。
このあたりの国のひとびとは、シエスタでみた夢のつづきを、生きているのだろうか。
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マルケス最初期の作品集。
『百年の孤独』を読んだ上で、この作品にふれると、すべての作品が『百年の孤独』に通じているということはすぐに感づくだろう。
死や孤独、異常気象といったモチーフは、これ以降の彼の作品にもよく登場するおなじみのものだった。
その中でも特に「死」を取り扱っている作品が多い。すでに死んでいる人間の独白や、ひとりの人間の死から思い出される過去など、作品の中心にはつねに「死」が横たわっている。
語りや文学的手法、話の面白みといった点ではもちろん後期の作品には劣るであろうが、彼の小説家としての試行錯誤が伺えるという点で、ファンなら必見だろう。 -
「百年の孤独」で知られるガルシア・マルケスの初期の短編集。収録されているほぼ全ての短編は、死の匂いが纏わりついているものが多い。そしてその死の匂いは、コロンビア等、ラテンアメリカのうだるような暑さの描写と共に、恐らく耐え難いものになっていくだろうという不吉な予感を読者に感じさせる強い筆力。
うだるような暑さの中で腐敗していく死体とその予感。そのリアリズムを容赦なく描き、ラテンアメリカという土地の独自性を読者に植え付ける。それはエアコンが発達した現代では考えられない現実であるということに。 -
長編の落葉はいつものかんじ、よかった。でも短編集はタブッキさんを匂わせる何かがあってすきだった。全体に漂う真夏の昼間、暑さ、だるさ、どんよりした日の暑さ、水気、何も無さ
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【誰かが薔薇を荒らす】のための再読。
毎晩、眠るために意識を手放している。睡眠とは死の近似であり、亜型ではないかと思う。目覚めるたびに、自分が何者であるかを思い出す。それが生きている証なのかもしれない。
けれども、体はなく、形はなく、俤はなくとも、心は大気中にこまやかに拡散することなくそこにあり続け、コオロギが部屋の片隅で鳴き、庭で薔薇が芳香を放つように、死者も生者と同じように呼吸をしている。やがて過去と現在が擦れ違う空間は裏返り、現在と未来は縒り合わされる。そのとき彼らの行路は再び交差するだろう。
祭壇を通る風の音に耳を澄ませ。 -
著者の代表作『百年の孤独』のマコンド村を舞台にした物語。3世代(祖父、母、息子)の話者が、時代をさかのぼって回想していくので、理解が大変でした。。。マコンド村の繁栄と衰退、それに対応していく一族の繁栄と滅亡といった、入れ子構造のストーリーは『百年の孤独』のほうが分かりやすく面白かったです。
あと個人的な意見ですが、バブル時代に作られた全国の新興住宅地(自分の出身の神戸市北区も)のほとんどは、まさに、見捨てられたマコンド村と同じだなぁと思ってます。。。 -
ガルシアマルケス若かりし頃に、これほど「死」を描いていたことに驚いた。
時系列で収録されているので、徐々に「百年の孤独」っぽい感じに近づいていくのが見て取れて、ついにマコンドが登場し、語りもザ・マジックリアリズムに変容し・・・そのプロセスを見るのが楽しい。 -
前に読んだことある。
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最初のほうの短編は、正直つらかった。ところが表題作の「落葉」の不思議な展開と描写には驚いた。というのも、ガルシア・マルケスを読んだのが初めてだったので。これからいろいろ読んでみよう。
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うむ...この事実のまとまりのない羅列系の文章...苦手だ。字が上滑りする。