墜ちてゆく男

  • 新潮社
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105418052

感想・レビュー・書評

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  •  小説ラストの、テロリストからキースへの意識の転換はすごいなと思った。またラストと冒頭がしっかりつながっており、冒頭で妻の前に現れたとき〈顔も服も血まみれ〉だったキースが誰の血をかぶっていたのか、タワーで何を目撃したのか、落ちる男は誰だったのかが最後の数ページで明かされていて全部がつながり、おもしろい。
     私小説のような形で同時多発テロを描いているので、〈個人〉に襲い掛かった9.11を丹念に追えて良かった。最後に上空からひらひらと落ちてくるシャツの描写が圧巻だった。キースの中に死者ラムジーが食いこんだ瞬間だと思う。

  • 9.11後のアメリカを真正面から描き切ったドン・デリーロの問題作。冒頭、テロに巻き込まれ訳がわからないままダウンタウンから避難する主人公の描写は、脳内にその映像が浮かんでくるほどリアルで生々しい。このとき主人公は思考が停止して何も考えられない状態に陥っているのだが、未曾有のテロに巻き込まれたときの人間の反応というのは実際こういう風なのだろうと思った。
    また、上岡氏の訳者解説にある通り、旅客機がツインタワーに突っ込む瞬間テロリストと主人公がクロスオーバーする描き方は鳥肌が立つほど巧い

  • 911テロをベースとした小説。日経・朝日で同時に書評が載ったため思わず購入した。
    テロを経験した主人公は別居中の妻の元に、被害に遭った姿のまま現れる。ストーリーはここから始まる。
    この本を通してテロ後のアメリカの心境が初めてわかった気がする。
    なんとも言えぬ喪失感、所属する場所を失った虚無感、その全てがこの本を覆っている。
    あのテロを目にした人、誰もが読んで欲しい。

著者プロフィール

1936年、ニューヨークに生まれる。アメリカ合衆国を代表する小説家、劇作家の一人。1971年、『アメリカーナ』で小説家デビュー。代表作に、本書『ホワイトノイズ』(1985年)の他、『リブラ――時の秤』(1988年/邦訳=文藝春秋、1991年)、『マオⅡ』(1991年/邦訳=本の友社、2000年)、『アンダーワールド』(1997年/邦訳=新潮社、2002年)、『堕ちてゆく男』(2007年/邦訳=新潮社、2009年)、『ポイント・オメガ』(2010年/邦訳=水声社、2019年)、『ゼロ・K』(2016年)、『沈黙』(2020年/邦訳=水声社、2021年)などがある。

「2022年 『ホワイト・ノイズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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