- Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
- / ISBN・EAN: 9784105901226
感想・レビュー・書評
-
未成年の自己決定権について書かれた小説だと思っていたので、かなり拍子抜けしてしまった。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
初読
扱っている題材の重さのわりに
大袈裟でこれ見よがしなところがなく、とても落ち着いた筆致、
それがイギリス法曹界という本来知るはずもない世界をイメージさせて
そのムードが最後まで一貫していた。
輸血するか否かの判決に至るまでの論調は
私には現時点で完全なものとしか思えなかった。
が、しかし。
完全な倫理を不完全な人間という物に当てはめた時の
余白というか歪みというのか。
哀しいやり切れなさ。
それにしてもフィオーナと夫のギクシャクと
それが少し解けるかもしれない瞬間が
朝のキッチンでのカップの差し出し方のほんの一瞬とかね
ああ〜、なんて描写力
それが、こう、私自身にドンズバと来るタイミングじゃなかったみたいで
自分が残念っ -
60歳目前にして夫との関係がこじれ動揺するフィオーナ。裁判所の家事部の判事である彼女は、18歳まで3ヶ月足りない少年が、宗教を理由に命に関わる輸血を拒否できるかどうか判断をせまられる。輸血することは悪と信じながらも、聡明で純粋で重病でありながらも生き生きとしている少年。フィオーナは彼に、自分が持てなかった息子、さらに若い恋人の姿を見ていたのだろうか。彼女の下した判決が、少年に思ってもみなかった影響を与える。その事に戸惑い動揺し、だがそんな惑いをなかったようにふるまおうとするフィオーナがすごく人間的だ。年を取り仕事も成功し守るものが増えた人間が、純粋な美しさとどう対峙できるのか。読み終わってからもずっと考えさせられる作品だ。
-
読みにくい
-
CL2016.6.4-2016.6.11
-
人間が人間を裁くということ。人間の弱さと可能性はあらかじめ定められた宗教や法律を超える時がある。裁く人間と全知の神に翻弄される人間。
-
仕事と家庭での葛藤が人間らしさを感じさせる。ただ、少年が関わるところは興味深く、結末も考えさせるところがあったが、家庭のいざこざは少しどうでもいい感じもした。特に夫関連の話はなくてもいいような気がする。主人公と少年だけでもっと盛り上げて欲しかった。
-
2016 2.16