レンブラントの身震い (新潮クレスト・ブックス)

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105901691

作品紹介・あらすじ

あのレンブラントが「新作」を発表!? AIは創造性を獲得できるのか。人工知能は、アートや音楽、文学、そして数学などの分野で「創造性」を発揮しつつある。何世紀も前の巨匠たちの作品を学習したAIが「新作」をつくり、数学の証明を代行するようになったいま、機械は私たちを感動させることができるのか? 『素数の音楽』で知られる数学者による知的好奇心に満ちたサイエンス・エッセイ。

感想・レビュー・書評

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  • 著者がAIを前にして人間の能力を改めて考え直し、迷いながら書いている感じが伝わってくるところはよかった。

    ただ、創造性や価値とかは人間側に判断の基準があるので、AIが作ったとわかっているものに対してあれこれとケチをつけて魂が無いだとか言うのは簡単だろうと思った。

    AIが人間のように振る舞う作品について、AIが言わされているだけで、本当はAIの製作者の野心だ、といった記述があった。しかし、作者自身の野心とは何か?
    他人が心から言っている言葉か言わされている言葉かどうかなど本当のところ分かりようがない。AIが人間のように振る舞うのを見るのと同じように、人は他人が人間のように振る舞うのを見て、心の中がどうとか想像してみるだけである。もちろん、自分自身に対しても。

    機械同士がコミュニケーションをとるようになり機械の世界における価値が生まれれば、機械にとっての価値がある数学や芸術を作れそうな気もする。

    総じて色々考えるきっかけにはなった。

  • 模倣と少しの創造性、という話を読んでいて、建築学科に入ってはじめてのスタジオ課題の講評会打ち上げで、私は先生たちに教えて頂いた参考事例を真似して繫ぎ合わせているだけなんですけど、果たしてそれでいいのでしょうかと相談したときに、みんなそうやって創ってるから大丈夫と励ましてもらったことを思い出しました。それから、私はあらゆるジャニーズコンサートを見るときに自分のDNAたる嵐アルゴリズム(笑)と比較しながら見ている自覚があるので、私もそうやってジャニーズライブを見ながら学習・アップデートしているんだろうなと思った。
    囲碁ゲームの話がめちゃくちゃ面白くて、うわーAIこえー!と思いながら読んだけど、AIが偉大な芸術家たちの作風を完璧に模倣するためには彼らの人生の起伏を経験しなくてはならない、その情感は真似されないという話を読んで、きっと人の創造物に触れたときに生まれる私の感情は私だけのものであり続けるのだなと勝手にほっとしたりもした。

  •  人間にあって機械にないもの、それは「創造性」であり、機械と人間との間の越えられない壁であると考えられてきました。ところが機械が自身で学ぶ機械学習という概念が生まれたことにより、これまでになかった可能性、つまり創造的な、より人間的な機械が生まれる可能性が出てきているようです。人工知能がチェスの世界チャンピオンに勝利したのが1996年、囲碁の世界チャンピオンに勝利したのが2016年。もはやAIはレンブラントやバッハの「新作」を作れるほどの域に達しています。人工知能について考える時に私たちが考えさせられる「人間とは」という問題。コンピュー
    タが最も得意とする数と論理を扱う数学という分野で、数学者として実存の危機を抱えた著者による、AIの最前線をめぐるサイエンス・エッセイです。#アルファ碁 #文系にもおすすめ。

    京都外国語大学付属図書館所蔵情報
    資料ID:646113 請求記号:007.1||DuS

  • 難しくて一旦休止(苦笑)

  • 数学者マーカス・デュ・ソートイが、自身の職業さえ奪うかもしれない人工知能と、創造性との関係について論じた書。
    いろいろと考えさせられた。

    人工知能どうしが、人間にはまったく理解できない新たな言語でやりとりを始めた場合、それは一種の言語が「創造された」といえるのか。

    人間の芸術の特徴のひとつは、人間は有限で誰もが死を避けられず、またそれを自覚しているがゆえに、必ず死の刻印がある。人工知能に死を自覚させるようプログラムすることができるのか。今のところ人工知能は意識を持ち得ないからそれは不可能なのか。

    また、人工知能が作り出した音楽(My Duddy's Carとか)は人間が聞くと平板でどこか気持ちが悪い。でもそれは人間の基準で判断しているだけであって、他の何者か(たとえばほかの宇宙人)にとっては創造的でありうるのか。

    人工知能は数学の証明もできるようになりつつあるというが、これもまた味気ないものだという。物語がないから。著者は証明にも物語が不可欠だという。物語のない発見は発見ではないのか?わくわくするものでなければ創造的ではないのか。
    なにか人間の本質がもう少しで見えそうな気がする。

  • 2016年、「失敗から学ぶコードに基づくアルゴリズム」ディープラーニングによって造られたAIが世界一の囲碁棋士を打ち破った。ゲーム、絵画、音楽、文学、そして数学のように創造性が必要とされてきた分野も、AIの領域となる未来がくるのか。数学者が楽しく解説。


    いま話題のAIとクリエイティヴィティーの問題をドンピシャで捉えた一冊。とはいえ、タイトルと表紙から連想する画像生成AIの話はそこまで大きなトピックではない。本書で大きく取り上げられるのはアルファ碁と音楽と数学である。
    特に、ともすれば一番AIと互換性があるかのように思われてしまう数学が創造的な行為なのだと説く章は、数学者であるソートイの熱が伝わってくる。ここを書きたくてこの本を書き始めたんじゃないかと思うほど。一方で、音楽理論や囲碁も数学に近しいからこそAIの活躍が見込める分野でもある。
    読んでいて思ったのは、人間には人間らしい考え方のクセがあり、AIにはAIのクセがあるということだ。今は"異文化"であるそのクセが新鮮に見えている段階。そして、人間のなかにもAIに近い考え方のクセを持つ人びとがいて、それが数学者なのではないだろうか。
    たとえば今、スマホで撮影・編集が簡単にできるようになったことで、カメラマンや映像編集の仕事は変容しつつあるのだと思う。アルゴリズムによる変化もそれと同じく、「AIに仕事を奪われる!」と単純に騒ぐのとは違うかたちで現れてくるのだろう。Spotifyがフェイク(というか虚無)のアーティストを創りだし、プレイリストに混ぜてまんまとヒットさせていたという話は知らなかったし面白かった。AIが作った「○○っぽい曲」が巷に溢れたら、それをまたアルゴリズムがボトムアップで学んで「○○っぽい曲っぽい曲」を作るんだろうか。でもそれって人間もやってることだよな。

  • AIの現状の進化を紹介した一般書。芸術とかゲームとかは消化されているけど、産業の応用の紹介がなくて残念。

  • #科学道100冊/未来エンジニアリング

    金沢大学附属図書館所在情報
    ▼▼▼▼▼
    https://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BC04128627?caller=xc-search

  • 科学道100冊 2021 テーマ「未来エンジニアリング」
    【配架場所】 図・3F開架
    【請求記号】 007.13||DU
    【OPACへのリンク】
     https://opac.lib.tut.ac.jp/opac/volume/457700

  • AIが「創造性」の角度からアルゴリズムを使ってどこまで何をできそうなのか、について、興味深く読んだ。ただ、オックスフォード大学でRichard Dawkinsの後を継ぐ教授職に就いた筆者の書と言うことで、もっとインパクトを期待したが、エッセイ、と言う感じの本だった。紹介に偽りはないのだろうが、少し期待外れだったので★四つ。だがAIについてよくわかり、創造性についても考えさせられる書。

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