文明が衰亡するとき (新潮選書)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106002212

感想・レビュー・書評

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  • 世界が変わる、そんな言葉が溢れてるけど、実際滅亡する時ってどうなのよ、っていうのを知りたかったんで。歴史には規則的なパターンがある、その規則を知る良書。

  • 文明の衰亡について書かれた本

    具体的には,ローマやヴェネツィアの衰亡過程が書かれている.
    適宜日本の現状と比較して読むと色々と考えさせられる.

    決定打となるのはエリートの精神が衰退する時だと感じた.
    当事者意識を持つためにも,多くの人に読んでもらいたい.

  • 佐藤優の講演会の参考書籍としてあげられており、読了。

    1981年の出版の本だが、ローマ、ベネティア、1970年代までのアメリカの衰退をみながら、歴史の中で財政破綻が引き金になったこと、論理守備から教条主義になって変化を認めなかったこと、1つのサクセスストーリの限界性が見えたこと、などを通じて、文明が衰退し、滅亡する時の問題を提示している。

    歴史を知っているだけではなく、歴史から学び、今の自分たちの未来に生かすという意味ではいろいろなことを示唆している。

    国際政治学者である著者の書籍を、もっと読みたくなった。

  • ちょっと古いですが、在籍していた国際政治ゼミの高坂・前教授が書かれた書ということで買った本。
    装丁は堅苦しそうだけど内容は平易な、タイトルの通り、いかに文明は衰退するかを考察した本。文明の限界点だとか、異質社会が出会ったときに受ける影響だとか。多様性を保持したがる欧州に、帝国化の様相を見せて警戒させるアメリカ。そのアメリカの、国際政治上の失敗の原因と、優越の要因。
    「NGO」も「世界化」っていう単語もなかった頃の著作だけれど、そもそも政治って歴史の部分が広いから、むしろつながりが見えてきて読みやすい。
    国際政治の本・・・というよりは、世界の見方を養う本?

    無知と情熱の組み合わせは、危険だねぇ。とか、日本このままいったら順調に衰亡するね、やっぱ積極的に外でな外!と、仕事の性質上胸にとどめておくべき視点が多いので、社会人になってから何度か思い出しては読んでる。在学中はほとんど読んでなかったのに。

  • この本のカテゴリーなんだろ?
    歴史?政治?経済?

    とりあえずビジネスにしました。

    ローマ、ヴェネツィアの衰亡を振り返り、80年代ではあるがアメリカ・日本のこれからを読み解こうとする本。
    少し古いが書かれていることは、特に現代でも通じる。
    特に日本がアメリカに追いつき追い越そうとしている成長期において、アメリカの衰亡の分析は現代日本の直面している課題に大いに参考になる気がする。

    縮こまった日本には、衰退しかまっておらず、意欲的に海外に売ってでるしかもう手がないと確信したよ。

  • ローマ、ヴェネツィア、アメリカの三つの事例から、巨大な文明がいかに流れ衰亡してゆくかをとらえた物語。

    まず、ローマの巨大さは明らかで、それが崩壊したことも明らか。しかし、どのように崩壊してゆくかという点では、議論が分かれる。その「議論が分かれる」というのがまさにポイント。ひとつに結論づけられるような、明らかな答えがひとつもでてこず、ギボンの、ウォールバンクの、モンテスキューの、とそれぞれの結論が現れ、ひとつひとつは十分に正しいように見えるが、すべてを説明しきっているわけでもないことも確か。
    ただ、それぞれの衰亡論は、それらが書かれた時代とリンクしているらしい。それを手がかりに考えると、「われわれが何を考えているか」が導けるかもしれない。

    ヴェネツィアに関しては、著者は結論をずいぶん絞り込んでいる。つまりは繁栄のときに利用できたアドバンテージを利用できなくなったこと、が根本的な原因。
    ところが彼らは、衰亡に抵抗し、ある程度は効果を収めた。繁栄も衰亡も一直線ではないということは、ローマ帝国にも現れているが、ヴェネツィアの場合は産業構造の変化という点によく示されていた。そこで次に考えるのは、その「抵抗」が「ある程度」であった理由だ。ここを見極めることは文明にとってヒントになる。

    そしてアメリカだ。アメリカとは、西欧文明の極北であり最先端である。開拓し、戦争し、常に新しくあり続けようとする国だ。彼らはヴェネツィア以上に、不透明な未来に熾烈に抵抗していたように思われるのだが、都市は乱れ、ベトナムでは敗れ、工業も福祉国家も揺らぎつつある。
    しいてアメリカの失敗を分析し、共通点を挙げるとすれば、都市計画も戦争も計画的であったこと、があるのだろう。「The Best and The Brightest」が企てたものが、現実に敗れたのだ。

    これら三つの例を考えつつ、著者は現代日本へ話を導く。その結論はさておくが、ヴェネツィアとアメリカの対比は非常にインパクトがあると思う。ヴェネツィアの前進的改革も、アメリカの戦闘的改革も、あるコンテクストでは敗北を喫したのだ。すべての問題に通用する対策はない、というのがすべての前提となる。
    そして、ローマ帝国の結果を見ると、ある時代に完成されたものもやがては崩壊することも明らかだ。これはもはや平家物語の世界に等しい。
    つまり、常に繁栄を続けること、少なくとも現状の体制を永遠に続けることは不可能ということが導かれる。あとは、どのように崩壊を遅らせるか、どのように悲劇的な破滅を避けられるか、という消極的な対策を細々と練るしかない。

    さて、積極的な結論は出るのか? それは、最後まで読んでほしいから言わない。だけど、おそらく誰もが納得すると思う。残念ながら私には、これ以上積極的な結論を公開する気力もない。

  • 政治学者高坂正尭氏の私的な文明論。自身の歴史に対する深い造詣と至高に裏打ちされた立論は、購入当時の私にとって非情に明快かつ衝撃的な内容であった。1000円(当時)は安かった。良書!

  • 高坂正堯著「文明が衰亡するとき」を読んだ。政治学者高坂正堯が1981年に出版した本で、ローマ、ヴェネチア、アメリカを順に取り上げ、最後に日本が生きる道を探る自由な思索の著.

    「文明が衰亡するとき」を読んだ:
    http://fionfion.seesaa.net/article/151669709.html

  • 日本を代表する国際政治学者がローマ、ヴェネチア、アメリカの文明の衰亡について論じた著作。学術書でないため著者の主観的評価が随所にみられるものの、文明がいかに滅びるかを考える手引きとなる。

  •  
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/4106002213
    ── 高坂 正尭《文明が衰亡するとき 19811125-19820510 新潮選書》
     

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