本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
- Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106006524
感想・レビュー・書評
-
つい先日テレビで放送されていた山田太一の回の「おやじの背中」。
たまたま見ていたけれど最後まで見られなかった。
台詞とか間合いとか今の時代にはそぐわない感じがして。
そういや、昔のドラマってこんな感じだったかな。
一世を風靡した人気脚本家でもこんなもんかぁ。
そんなことがありつつもこの小説を読んでみた。
角田さんのエッセイで力を入れて書いてあったからだ。
いやいや、なんのなんの、面白かったですよ。
一気に読んじゃった。
山田太一の自伝的な要素もあるのかずいぶん時代も遡るけれど、それがかえって良かったのかも。
駆け出しの助監督と、中年の大根役者、可憐な新人女優が主な登場人物。
物語は一貫して助監督の石田の目線で描かれているのだが、若者特有の青臭さと傲慢さがにじみ出ている。
その上に自分でも持て余すほどの自意識。
周りにも振り回されっぱなしで痛々しいほど。
で、良くある青春ものなのかと思って読み進めて最終章。
いきなりの33年後。
いやー、やられました。
なるほどね、タイトルの意味がここに来て分かった。
個人の記憶なんてあいまいなもの。
良くも悪くも自分の中でかきかえられて次第に肥大していく。
一体真実はどこにあるのか。
いやはや空恐ろしい小説だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示