- Amazon.co.jp ・本 (460ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106036996
感想・レビュー・書評
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日露戦争における外債発行の裏側、高橋是清の役割など、これまでと違った視点で分析している。クーンローブ商会とシフ。モルガン、ロスチャイルドの役割、当時の国際関係が垣間見ええる。良書。
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大掃除の合間になんとか読み終わった。
日露戦争時、日本は大幅に足りない戦費を外債によって賄ったわけだが、この本では、そのいきさつを詳細に描いている。日露戦争といえば、奉天会戦や日本海海戦が思い浮かぶが、本書では、派手なドンパチの描写は一切ない。
全編を通じて印象深いのは、100年前の国際金融市場が、現代から見ても違和感ないほど高度に発達しているということと、その市場で、高橋是清が驚くべきセンスを発揮し、資金調達を成し遂げたこと。また、実はロシアも資金調達に悩み、ギリギリの線で戦争をしていた事実は、僕の従来の日露戦争感に修正を与えてくれる。
それにしても、涙ぐましいまでの繊細さで世界に相対していた日本が、わずか40年後に対米戦争で破滅してしまうとは。司馬遼太郎が述べていたように「信じがたいこと」だ。
ちなみに大掃除はまだ終わっていない。 -
良書。
NHKドラマの「坂の上の雲」を別視点(金融サイド)で見たらという感じで楽しめました。 -
Must Read
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歴史モノは苦手だけど、比較的仕事に近い金融の視点で日露戦争を読み解くとのことで読んでみたら、すげー面白い。公債の金利・値段は新聞や一般大衆以上に情勢を把握・反映しているものなんだなぁ。調達にあたって、国際的な金融資本に翻弄されるが、回を重ねるごとにうまくこなしていく高橋是清も見事。
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個人的に日露戦争にまつわる日本の動きに関する本を多く読んできた。その多くは歴史や世相に関するものだが、この本は「資金調達」に焦点を合わせた本であるが、逆に歴史の解釈に新たな切り口を垣間見せてくれたという点で優れた論考だと思う。私が「日露戦争」に惹かれるには、今の日本において決定的にかけている「資本政策、資金調達、外交戦略、パワーバランス、そしてそれらを背景とした軍事戦略・戦術」が、明治維新後わずか30年余りの間に高度に成立させた当時の日本の成長に、素朴に驚嘆しているからである。この歴史から学べることは、まだまだ、ある。