自分だけの一冊: 北村薫のアンソロジー教室 (新潮新書 345)

著者 :
  • 新潮社
3.45
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感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106103452

作品紹介・あらすじ

高校の国語教師の経験もあり、人気作家にしてアンソロジーの名手である著者が教えてくれるのは、ベストセラーに振り回されるのではなく、ゆったりとした気持ちで好みの作品を見つけ、自分だけの本を編む愉しみ。好評を博した特別講義を完全再録。

感想・レビュー・書評

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  • これを読んだならば、とりあえずアンソロジーを作ってみよう、などと決意してしまう。まあ、そういう本です。

    小学生の時に自分の好きな作品を1番にもっていきたいがために、わざわざノートに書き写してアンソロジーを作った作者です。「(アンソロジーは)もちろん収録されている作品を読むものですが、同時に、あるいはそれ以上に、選者を読むもの」(47p)なのです。

    それから、作品の並びには連句の付け合いのようなものがあるという。だとすれば、時々アンソロジーを飛ばしながら読んでいたのは邪道であった、ということなのだろう。

    さて、以下私もアンソロジーを組んでみました。北村薫よりは「独創的」なのではないかと自負します(^_^;)。同じ作者の本は取り上げない、順番に注意する、ということを意識しました。題して「もしも私が弥生時代晩期をテーマに小説を書いたら」です。

    1.「戦争の考古学(佐原真の仕事4)」(岩波書店)
    2.「女の平和」アリストパネス 岩波文庫
    3.「ヤマト王権はいかにして始まったか」(学生社)
    4.「日本と朝鮮半島2000年(上)」日本放送出版協会
    5.「古代の日本と加耶」田中俊明 山川出版社
    6.「前方後円墳と吉備・大和」近藤義郎 吉備人出版社
    7.「吉備の弥生大首長墓・楯築弥生墳丘墓」福本明 新泉社
    8.「進化考古学の大冒険」松木武彦 新潮選書
    9.「もののけ姫」ジブリ
    10.「日御子」帚木蓬生 講談社
    11.「火炎 北の耀星アテルイ」高橋克彦 講談社文庫
    12.「水滸伝」北方謙三 集英社文庫
    13.「三酔人経綸問答」中江兆民 岩波文庫
    14.「獣の奏者 4 完結編」上橋菜穂子 講談社文庫
    2012年12月3日読了

  •  ワークショップのワクワク感が伝わってくる語り口。
     小学生の頃、すでにアンソロジーを編んでいる。恐るべき子ども。

  • 面白かった~! 読書量が足りないのは百も承知だけど、自分でもアンソロジーや全集を考えてみたくなる。アンソロジーを編むのって楽しそう、と思う。

    北村薫さんの講義は大好きだ。むしろ、作家としてよりエッセイストやアンソロジストとしての北村さんが好きなくらい。
    「読む」ということの楽しみと奥行き、そして可能性を感じる。まるで、一枚の折り紙から無限の物が形作られていくように。「読む」という行為は立体的になり、ぬくもりが生まれ、美しく形作られる。柔らかな手触りの中に、確かな折り目正しさを感じる。

    「アンソロジーを編むこともひとつの作品」「アンソロジーはほかの作品への呼び水」など、うんうんと頷くこと多数。私も、アンソロジーで出会わなければ、きっと出会うことはなかっただろうな、という作品・作家がたくさんある。信頼できるアンソロジストがいるということは、読書の水先案内人を見つけるに等しい。
    ちなみに、私の「これぞ」というアンソロジストは、赤木かん子さんである。児童向けの、彼女が編んだアンソロジーに出会わなければ、あの作家にもあの作品にも出会っていなかったであろうと思うと、ひたすら感謝感謝。

    それにしても、小学生の時に北村さんが編んだという、アンソロジーの素晴らしさよ。。恐れ入りました。

    • nejidonさん
      抽斗さん、はじめまして。
      読もうと思いつつなかなか読めないでいる一冊です。
      素敵なレビューに惹かれて、これはやはり読まねばと決意を新たに・・...
      抽斗さん、はじめまして。
      読もうと思いつつなかなか読めないでいる一冊です。
      素敵なレビューに惹かれて、これはやはり読まねばと決意を新たに・・

      【作家としてよりエッセイストやアンソロジストとしての北村さんが好きなくらい。】
      はい、私もそう思います。
      ずいぶん前に買った【詩歌の待ち伏せ】を、何度読み返してきたことか。
      「赤木かん子さん」のお名前もあって、もう驚くやら嬉しいやらです!
      かん子さんの著書に背中を押され励まされながら、今日まで子供たちに接してきています。

      また読ませていただきますので、今後ともどうぞよろしくです。
      2013/06/29
    • 抽斗さん
      こんにちは、初めまして。
      はい、アンソロジーの楽しみを、改めて教えてもらえる本でした。
      『詩歌の待ち伏せ』もいいですよね! 私はまだ文庫の一...
      こんにちは、初めまして。
      はい、アンソロジーの楽しみを、改めて教えてもらえる本でした。
      『詩歌の待ち伏せ』もいいですよね! 私はまだ文庫の一巻目しか読んでいないのですが(汗)。

      こちらこそ、これからどうぞよろしくお願いします(⋆^^⋆)。
      2013/06/30
  • ブックガイドかと思いきや、さにあらず。自分なりのアンソロジーを編んでみようという、趣向としては珍しい一冊。そもそも短編があまり好きでないのも相俟って、全然興の乗らない一冊でした。

  • 文学

  • アンソロジーは編者を読む。
    文学的には才能が必要。

  • 北村作品の中でも、各種アンソロジーや詩歌の待ち伏せが楽しめた方にお薦めの一冊です。

    p.68からp.77の、「吾子は…」の句の件が特に素晴らしいと思いました。

  • 2009年 新宿 朝日カルチャーセンターでの講座、『アンソロジーの楽しみ』(3回)をまとめたもの

    筆者のアンソロジーに対する思いと、実際にアンソロジーを編んだ時の経験、そして書物、作家への愛がつめこまれた一冊。

    本好きな方は、どんどん本が読みたくなるだろうし、逆にあまり読まない方は、ここで紹介されているアンソロジーから手に取れば、好きな作家を見つけ、読み継いでいきたくなる、という楽しみを味わうことができることと思う。

  •  2009年に行われた北村薫さんの講演を再録したもの。自分の好きな小説や詩歌などを、自分の好きなようにまとめると面白いよ、という内容。北村さんは小学生の頃から、自分だけのアンソロジーをノートに書く遊びをしていたらしい。

     自分を振り返ってみると、カセットテープに好きな曲を詰めるのだってアンソロジーだし、ビデオテープにどの順番でアニメを録画するか悩むのだって立派なアンソロジーだった。僕もアンソロジストじゃん!
     最近ちょこちょこやってる、iTunesのプレイリストで「ラスボス戦っぽい曲集」とか「もしも願い事がひとつ叶うなら系歌詞」とか作る遊びもアンソロジーだな。

     ラノベとかアニメとかでも出来そう。これから意識してやってみようと思った。

  • 自分だけのアンソロジーを作ろうという1冊。
    その時の自分の好みを振り返ることもできるという特典もある。それが自分の歴史を振り返ることにもつながる。

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著者プロフィール

1949年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。大学時代はミステリ・クラブに所属。母校埼玉県立春日部高校で国語を教えるかたわら、89年、「覆面作家」として『空飛ぶ馬』でデビュー。91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞を受賞。著作に『ニッポン硬貨の謎』(本格ミステリ大賞評論・研究部門受賞)『鷺と雪』(直木三十五賞受賞)などがある。読書家として知られ、評論やエッセイ、アンソロジーなど幅広い分野で活躍を続けている。2016年日本ミステリー文学大賞受賞。

「2021年 『盤上の敵 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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