- Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106104725
感想・レビュー・書評
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文系の僕には難しかったが、知ることも多かった。
植物の成長には窒素が必要で、窒素を取り出すためにアンモニアを作るとか、メタン・ハイドレートがメタンガスが凍ったものだとか。
「宇宙全体で見ると物質は増えておらず、形を変えて存在しているだけ、つまり我々の体も元は別の物質だった」という話を過去に聞いて「なるほど。そういう意味では輪廻転生もありか」と考えたことがあったが、本書を読んで地球レベルでも物質は回転していることを改めて考えさせられた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
新書文庫
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この地球上で人類が生きていく上で、エネルギーの確保について再考させられる本。大河内直彦の本は読みやすく分かりやすく楽しい。
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「いいから、読んでみろ」と言いたくなる、圧巻の語り口。エネルギーに関する史実、科学的事実を興味深いエピソードを交えながら書き上げた本書は、今年読んだ中ではいまのところ、最も面白かった。特にエネルギーの変遷について、大きな流れ以外について、一応は専門である私も知らなかったことも紹介されており、網羅的に、しかも、楽しく知ることができる(私もこういう授業や執筆ができるようになりたい…)。同じ著者の「チェンジング・ブルー」も評判がよいのでこれから読むのが楽しみだ。
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地球物理学のようなタイトルだが、中身は地球上(地球内部も含む)のエネルギー収支のからくりにフォーカスしている。実質的にはエネルギー問題、環境問題の本であろう。最終章を除けば、歴史的・科学的な事実を淡々と散文的に----ただし問題の存在はきちんと指摘している ---- 述べているだけだが、非常に理解しやすい。ありがちな政策提言などはなく、ニュートラルな立場だ。これらを読み、原発再稼働やホルムズ海峡封鎖等の諸問題をどう捉えるかは読者次第である。
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大河内さんの新書。
エネルギーを主軸に人間生活・産業活動の推移を描写。
控えめながら「あとがき」には科学者論も。 -
エネルギーの収支という面から、地球上の現象や人類の活動の移り変わり、歴史についてトピックス事に考察。
食物連鎖によりバランスをとっていた地球の中で農耕によりそのバランスを崩した人類。窒素固定によるその回避。
薪から石炭、鯨油、石油から原子力へとエネルギー利用方法の進展やこれらの資源のエネルギー利用以外の利用方法などについても言及。
色々と話題を提供するが、惜しむらくはだからどうだと言うような提言は見られない。 -
科学者,技術者の紹介を交えながら,地球のエネルギー史を俯瞰した一冊.エネルギー開発の歴史(農耕のための固定窒素利用,石油,石炭,天然ガス,原子力)は,人類の歴史(政治,経済,戦争)の背景そのものともいえる.最後に,生物による炭素サイクル(年1回)と地球の炭素サイクル(数億年に1回;分解されない有機物の堆積,火山等による噴出)の差を,人間が活動のために化石エネルギーを使用することによって壊しているとまとめている.
<キーワード>
太陽エネルギー,光合成,窒素固定による酸素生成(シアノバクテリア),石油:有機物由来,石炭:植物由来 -
2014/2/1読了。
エネルギーの視点から歴史や現代社会を支える仕組み、人間社会と自然界・地球との関わりが表現された一冊。
震災と原発事故が発生して以来、日本のエネルギー問題はリスクと経済の二面性に政治を加えた形で語られることが殆どであろう。
大多数の人にとって、エネルギーといえば身近な電気(もしくは発電の為に必要なもの)とガソリン、灯油といった燃料であり、原発の経済性とリスクは家計事情と不安感情だと思われる。
本書の窒素固定の章では、食糧生産の為の肥料の製造に、大量のエネルギーを消費する事実が語られる。これは、身の回りに溢れる工業製品や食糧もエネルギーを土台としており、その議論から逃れられないことを示唆している。
本書を読んで、目先の経済と感情、政治の議論に付け加えるべきは、生活の土台としてのエネルギーの存在であり、社会の在り方そのものであると感じた。 -
書名から想像してたのとはちょっと違って,人類とエネルギーと地球の話。雑誌連載の書籍化で,一章ごとに区切りがつくので読みやすい。内容もしっかりしてる。
しかし70億人は殖えすぎた感ある。一億倍も周期の異なる炭素の生物サイクルと地球サイクル。この間をバイパスすることで人類はここまで急速に肥大してしまった。食糧生産のための窒素固定に,原発150基分のエネルギーを費やすようなやり方が,いつまで続くんだろうか。ちょっと先行きが不安になってしまう。