反省させると犯罪者になります (新潮新書 520)

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  • 新潮社
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本棚登録 : 1982
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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106105203

感想・レビュー・書評

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  • タイトルの言わんとしているのは問題行動の直後に反省を強要しても形ばかりの反省の態度、言葉でその状況を乗り切るだけで根本的な解決にはならないということ。いわゆる「すいません、って言えば済むと思ってるんですか。現象、症状への対策、根本原因の確認と再発防止策の実施が大事でしょ。」という状況に似てる。安易な「反省してます」は同じ失敗の温床だ。それ自体は日々実感するところではあるので共感する。
    しかしながら、著者は刑務所における更生支援を行っておりその経験からの意見なのだが本書全般を通じて経験に基づいて主観を語っているだけでその効果を検証している形跡がない。また重犯罪者をみて理屈を構築しているがそのような人に共通する事が原因であるとするのは誤りだと思われるので注意が必要だ。

  • 刑務所での受刑者公正を担当している著者。
    反省を強要するのは無意味で、なぜ事件を起こしたか、被害者への謝罪ではなく、本音を語らせることに意味がある。
    被害者へはそもそも怨恨があったから、殺したり傷つけたりするわけで、その本音を吐き出させ、
    元をたどってどういう生い立ち、成長過程、親への恨み、そして自身へと向かわせる。
    反省は単に刑務所を早く出たいから、反省してるふりをするだけ。
    男性の受刑者はたいてい「強くないといけない」「人を頼れない」「自分を受け入れてもらえない」という固定概念を強度に押し付けられて生きてきた。
    人に頼れないと、また犯罪を犯すことになる。弱い自分を認めないと強がりで悪い連中に漬け込まれる、そういうことを断ち切るためには、反省文を書かせることは逆効果。
    弱い自分、子どもの部分は誰しもが持っていて、それを外に出せる人は周りが助けてくれる、というところが心に残った。
    自分の子どもたちに接するときにも、心がけたい。

  • 紹介された本。

    タイトルの主張が、筆者の経験に基づいて、語られている。
    価値観の発生源を考えろとのこと。

    自分の経験とも一致するので、感情的には理解できた。
    モノがない(と思ってた)生活をしていたから、モノにこだわって、全て揃わないと満足しない。
    自由がない(と思ってた)生活をしていたから、決められたカタチにこだわって、あるべき姿しか許さない。

    ただ、論理展開が筆者の経験でしかつながらない。
    もう少しデータが欲しいと感じたが、ないとのこと。
    本当に?海外の研究は?

  • 自分を押し殺してしまうと自分が自分でなくなる・・・
    ゆえに・・・
    とても興味深い本だと思います。

  • 過激なタイトルだけど言わんとすることは理解できる。 反省はしないといけないけど周りが反省を強要すると表面的な反省しかしなくなり根本的な解決にはならない。 本書は美達大和氏への反論という目的もあったようだけど「表面的に反省しても実際は反省の気持ちなんてない」というのは両氏とも同じ意見だし、それをどう対処すべきかということに対して専門家としての視点なのか受刑者としての視点なのかの違いのようにしか見えなかった。 著者のやり方だと反省まで至るらしいが、その反省が表面的でないとなぜいえるのか不思議。

  • 衝撃的な本の題名につられて手にとりましたが、目からうろこの内容でした。確かに、指摘をされると「そりゃぁ、そうだ」と納得できるのですが、今までまったく気がつきませんでした。
    犯罪に手を染めるにまで追い込まれる心理的要因を生い立ちにまで育って探ることの大切さを説いているのですが、ほとんどの事例が本人は「親(他人・社会)から迷惑をかけられて育って」きているので、まずは必要なのは、どれだけ自分が虐げられてきて辛く悲しく寂しい思いをしてきたかのネガティブな気持ちを吐き出して向き合うことだという。
    そのためには、犯罪を犯したことへの「反省」というのは「(真に犯行にいたった原因に至るものへの)妨げ」にしかならない。自分が本当に抱く本心を向き合わないため、うわべだけの「反省」=「謝罪文を書くことだけ」がうまくなるという。そして、原因が解決されていなから、再犯につながっていくという。その意味では「反省」は「再犯を加速させるもの」でしかない。

  • 反省文なんて、無意味。加害者がその行動に至った背景や動機を見つめ、内省させることが重要。納得!!!
    たしかデンマークでは学校で喧嘩すると、喧嘩を報告に行って話し合う部屋があって、上級生が仲裁に入るとか。根本が解決されない限り、問題は違う形で噴出するだけなのだろう。

  • 矯正プログラムのような反省を促しても、表面的に反省したフリをすることになるだけで、やがて過ちを繰り返す事になるという話。過ちを起こすまでの内面的な問題を吐き出し、自らがその問題に気付くまでは、内発的な反省に繋がらない。そして、そうしないと捕まってしまったミスを反省するような間違った反省になり再犯をしてしまうという話だった。
    内容に同意できないような話はないが、数字があまりないので、プロセスを変えた場合どれくらい再犯が減るのか、書いて欲しい気もする。

  • 自分が悩んでいなければ手に取ることはなかったであろう本。刺激的なタイトルだが、刑務所での矯正指導に携わる著者の本音でもある。そして、私の子育ても反省すべき点が多いことに気付かされた。「ありがとう・うれしい」と「寂しい・悲しい」そして「しんどい」が素直に言える自分でありたいし、家族も含め周りの人達にもそうあってほしい。

  • 散々、テレビで不倫だなんだと問題を起こした芸能人がカメラの前で頭を下げているのが不思議で不思議でしょうがなかったのだけど、その理由がこの本で一発解決した。常日頃から行動に対して謝るのは簡単だけど「なぜその行動を起こしたのか」分からないと何の意味もないよね、と言ってきたが、やはりこの考えは間違ってなかったのだと再認識。非常に残念なのは、著者の岡本先生が50半ばという年齢で一昨年亡くなられていること。

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著者プロフィール

立命館大学教授

「2012年 『ロールレタリング』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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