バビロンに帰る: ザ・スコット・フィッツジェラルド・ブック2

  • 中央公論新社
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本棚登録 : 67
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120025617

作品紹介・あらすじ

ようこそ、フィッツジェラルドの世界へ。「特上クラス」の名作から「シングル盤B面」的佳品まで、村上春樹が愛してやまない作品群から選んだ5短編を訳し、ゆかりの地アッシュヴィルを訪ねて記したエッセイ「スコット・フィッツジェラルドの幻影」を付す。

感想・レビュー・書評

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  • 「ある作家の夕刻」を読んで、キラキラしてたころのフィッツジェラルドを読みたくて再読。南部特有の思想と成り行きが描かれる恋模様、「ジェリービーン」。怨念のこもったカットグラスの鉢が引き起こした顛末。彼女が離れていったのは自分に金がないからだと思ってたのに、金を手に入れてなお彼女を手に入れられない男の物語、「結婚パーティ」。狂乱の酒浸り生活をあらためて、事業を立て直し、娘を引き取りに来た男が、あと少しのところで、その狂乱時代のしっぺがえしの形で横槍をくらい、その機会をふいにしてしまう、「バビロンに帰る」。あり得ないほどハンサムだけど、あり得ないほどの悪評を一ダース以上も背負った男に、一度は心惹かれた女性の幸福と失望、新緑。村上春樹のノートと宮脇俊文「ジャズ・エイジは終わらない」を読んだおかげで、よりよく読めた感。そう、キラキラしてただけではなく、苦みもたたえて。中でも、個人的には「バビロンに帰る」の宴のあと感、あと少しで手に入るはずだったものがすり抜けて行く感、悲しみと少しの希望が印象に。◆ディックという人間の弱さが、彼の愛する娘の幸福を脅かしていたのだ。でも彼は相手の男に対して心から同情した。人生に対する不適合性を、様々な品行に転換させる必要があったのだと理解さえした。(新緑)◆人生とは天気と同じだ。すべてを捨て鉢にさせてしまう熱気に耐えながら、疲弊した額に置かれる女の手のように柔らかく心地よい涼しさを待つのだ。それこそが南部の最大の英知である(ジェリービーン)

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  • 2016/2/18

  • 破滅への行動に惹きつけられるのかな、と思う。
    『新緑』と『結婚パーティー」がおもしろかった。

  • ハッピーエンディングで終わるのかなぁ、と思ったらそうでもなかったり。
    何だろう、この不思議な世界観。
    村上春樹の翻訳の仕方にも何か吸い込まれる感じでした。

  • 旅日記のような感じです。短編小説は村上さんの解説もあるように小金稼ぎに書かれたような清涼飲料水のようなものでした。

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著者プロフィール

1896~1940  1920年、処女長篇『楽園のこちら側』がベストセラーとなり、妻のゼルダと共に時代の寵児ともてはやされるが、華やかな社交と奔放な生活の果てにアルコールに溺れ、失意のうちに死去。『グレート・ギャツビー』『夜はやさし』等長篇数作と数多くの短篇を残した。

「2022年 『最後の大君』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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