ふたたび、時事ネタ

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 71
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120041310

作品紹介・あらすじ

安倍首相のもと自民党が参院選で大敗した2007年、福田・麻生政権迷走の2008年、鳩山連立内閣が誕生した2009年、そして…ニュースは最終回のない連続ドラマだ。激動の3年を斎藤美奈子が一刀両断。『婦人公論』人気コラム、単行本化第二弾。

感想・レビュー・書評

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  • いささかフェミニズム、と言うかアンチミソジニーに偏っているきらいはあるものの、上下左右容赦なくぶったぎって、哄笑して、でもしっかりと裏付けのある評論を加えているところは本当に気持ちが良く信頼ができる。
    こうした立ち位置だとどうしても反権威主義に偏ってしまうものだろうとは思うけどこの人にはそれが感じられない。非常に慎重だ。
    何よりともかく面白いのだ。四半世紀前からプチ鹿島の新聞雑誌読み比べの遥かに先を行っていたのだ。テレビから全報道メディアに突っ込む場所を広げたナンシー関みたいだ。

  • 304再読

  • 面白かったですよ。ここ10年来も見直した方が為になります。この本は5年以内のものですが、振り返ると参考になる事が沢山有ります。

  • ちょい久し振りに読んだ斎藤美奈子。あー、おもしろい!あー、かゆいところに手が届く!
    こう言ってはシツレイなんですが、私のレベルに斎藤さん、豊崎由美さん、鈴木淳史さんてどんぴしゃなんだよなー。適度に鋭く、適度にひねてて、適度に理想主義者で、適度にマイノリティー派って感じ?ビシバシやられると、凹んじゃうけど、この方たちの本読んでると非常に私は安心してられるって言うか・・・て言うと、なんかすんませんなんですけど・・・(汗)

    2007~09年の時事ネタ中心に集めた本だけど、新聞すらとってない私は、あんまりよう知らんかったこととかもあって(・・・)、ほへー、そういえばそんなこともあったなーレベルだったりするんだけど、当時を思い出してみたり・・・。この頃は民主党の政権奪取に期待が高まってたのねえ、と(笑)今(2011年5月)現在から考えると、むずむずするような心持ちですが・・・w
    あと、東電が多少の(?)不祥事をやらかしたところで、超大手企業だからマスコミも全く叩かないでスルーする、と。うん、そうだったそうだった。そして、浜岡原発を「東海地震が起こっても全く問題なく安全です!」と判決下した静岡地方裁判所。ほんとにね・・・。

    そういえば、こん中で、あべしんぞーさんの「美しい国」スローガンを、全くもってイミフで、国民総ポカン、結局あべさんの敗因はこれのせいだろ、と書いてはりますが・・・うん・・・w ま、まあ総理大臣だもんねー☆一般人(?)じゃないもんねー☆
    関係ないけど、私は某Tくんって、使う言葉の印象とかからJ民党ぽいなーとか思ってたんだけど、こないだお友だちにそう言ったら、「え、私はM主党ぽいと思ってたけど・・・」と意見がぱっくり割れました。どういうところをとらえるか、とかもともとの政治信条とかで変わってくるのかな・・・。興味深いです(笑)(どっちと見てる人が多いんだろー、気になるなーwww)

  • 「過去は未来への糧」。たしかに。(^^ゞ

  • 2007〜2009年は
    こんな風に過ぎて行ったのか
    最近は
    まったくいつのことだったか
    わたしは時事ネタを忘れがちです
    読み返せば
    首相が変わり過ぎたし
    宮崎県知事は任期満了
    のりぴーのことも忘れてました
    何かが変わるには時間がかかるようです
    ダメ出しばかりの時事ネタでした

  • 時事ネタが得意なのか不得意なのかわからないが、斎藤美奈子が何を言うかはもうわかっているともいえる。

  • 『たまには、時事ネタ』(たまじじ)に続く、斎藤美奈子の時事ネタもの。こんどのは、「婦人公論」の連載だけでなく、「DAYS JAPAN」の連載と「共同通信」配信のものを加えて編んである。本になるにあたり、今年の春の時点での追記がほうぼうに書き込まれている。

    収録されているのは2007年~2009年。ほんの2、3年前のことやのに、2007年て…と自分がどこで何をしてたか、それもちょっとぼんやり。で、後ろから(時間的に近いほうから遠いほうへ)順に読んでみた。

    そういやそんなこともあったなー

    2009年の政権交代のことも本の最後のほうにチラと出てくるが、さかのぼっていくと、以前の政権党であった自民党の動きがおもしろいというか、おかしいというか。

    政権交代後、野党となった自民党が民主党に対して述べるコメントを新聞などで読むと(あんたら、それを言うなら我が身をかえりみろ)とよく思った。「どの口が言う~」と。それとともに、政権につく、権力をもつとはこういうことなんやなーー、野党であるとはこういうことなんやなーーーとも思った。良かれ悪しかれニュースに出てくる頻度が全く違う。

    「ふたじじ」では、政権交代に至る(今からいえば)末期の自民党の姿が何度もとりあげられている。こないだの民主党の代表選では、何を内輪で騒いどんねんというようなご意見もあった。2008年や2007年の自民の総裁選もようを斎藤美奈子のツッコミで読んでいると、もし、仮に、政権交代がなかったならば、この代表選びは役者違い・劇団違いでおこなわれてたんかなあと思ったりもした。

    時事ネタは、「そんなこともあったなー」というだけではなくて、メディアが報じること・報じないこと、とりわけ報じないことに対する斎藤美奈子の叱咤激励でもあるのだった。このネタを針小棒大にじゃんじゃん報じておいて、こっちのネタをとりあげないのは何なのさ、どうなのさ、と。

    斎藤の「中央と地方の新聞格差をチェックせよ」によると、都会が革新で地方が保守てなことは新聞社説を見る限りないようだ。むしろ逆。都会の全国紙の社説は、むしろ「ぬるい」。

    ▼55年体制下(というのもすでに大昔の感じがするけれど)においては、地方は保守、都市は革新と、ほぼ相場は決まっていた。しかし、いまや国政選挙の一人区でも野党が勝つ時代である。現状において、権力の暴走を監視するジャーナリズムの役割は、むしろ地方紙によって担われているかのようである。
     問題はこのような全国津々浦々の声を、東京在住の新聞人や言論人、あるいはテレビ人がわかっているかどうかだろう。
     わかってない気がするんだよな。だってほら、東京では二つの異なる意見が「拮抗」「二分」しているように見えるから。これもまた一首の「井の中のカワズ」現象。
     今後も何かコトがあるたびに、各紙が社説の競作を行うだろう。お読みの新聞に目を通した後は、ぜひ他紙の社説やコラムも覗き見することをすすめたい。権力の監視は新聞の役目だが、新聞を監視するのは市民の役目だ。(pp.132-133)

    ↑これは2008年に書かれたもので、与党が自民党の時代。

    そして、たまじじも続けてさかのぼって読みたくなるのだった。こっちで扱うのは2001年~2006年…私は何をしてたっけな。

  • 読みはじめると止まらなくなる。なぜこんな大事なニュースを次々と忘れてしまえるのだろうと記憶をつつきまくられること必然だ。 著者の小泉嫌いは『たまには、時事ネタ』のときから顕著だが、総理大臣に与党までコロコロと変わっても連綿とそれは変わらない。あの経済的恐怖政治と彼女が言う政策の落とし子が船場吉兆だとは眼からウロコだった。 眼からウロコつながりで、小学生のころホームレスをルンペンさんと呼んでいたのはマルクス経済学の最下層労働者ルンペンプロレタリアートからとっていたのだ。格差社会どころか階級社会だし、資本論でも読まなくちゃ?! 世界有数の豊かな国で、貧困層が多い。いま民主党の総裁選で盛り上がってる人たちもそれを知ってはいるのだろう、知識として。 国会議員は年収200万円で最低1年は生活するとか老人施設でボランティアが義務付けられてるとか、市民感覚を養ってほしいと思った。

  • 面白かった!!(#^.^#)やっぱり斎藤美奈子さんって好きだなぁ、と、一つの話題を読むたびに。大局を見据える目にも、文章の構成にも、もう、ガッツンとやられちゃうんですよね。それに、経済学部出身を生かした、数字と理論を自在に駆使した日本の経済論がまたいいんだ・・・。時事問題っていつも思うことだけど、リアルタイムではなくて、二・三年経ってから、あぁ、そんなことがあったよ、とか、あんな風に時代に踊らされてたけど、全然ピントがあってなかったんだ、私、とか思うのが、ちょっと痛くて面白い。斎藤美奈子さんの根底には、森達也さんと共通するものが多々あると思うのだけど(お二人とも新潟高校での同窓生だしね)、むしろ斎藤さんを、男!と思ってしまうのはなぜだろ。斎藤さんの文章のほうがスパッと意地悪だからかも、なんて。^_^;国家権力VS市民、とはよく出てくる図式だけど、その国家権力に検察+ジャーナリズムと書いてあるところに、もう大拍手!!!そうなんだよね、ジャーナリズムって右へ倣え、のまさに国家権力。戦時中の大本営発表は政府だったけど、それを、より音楽や大活字で煽ったのはラジオや新聞だった、なんて言われると、いかにも!だったし、今のマスコミって、もう節操がない、の一言と言ってもいいと思う。斎藤美奈子さん、好きです!と、もう一度言わずにはいられないじゅんでございました。(#^.^#)

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著者プロフィール

1956年新潟市生まれ。文芸評論家。1994年『妊娠小説』(筑摩書房)でデビュー。2002年『文章読本さん江』(筑摩書房)で小林秀雄賞。他の著書に『紅一点論』『趣味は読書。』『モダンガール論』『本の本』『学校が教えないほんとうの政治の話』『日本の同時代小説』『中古典のすすめ』等多数。

「2020年 『忖度しません』 で使われていた紹介文から引用しています。」

斎藤美奈子の作品

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