草原の風 - 中巻

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120043024

感想・レビュー・書評

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  • 後漢を興した劉秀・あざなは文叔~舂陵で挙兵した劉繹に不安を感じて逃げた人々を引き戻す魅力を弟・劉秀は備えていた。蔡陽では叔父・劉良に決起を促し,1万数千の新市の兵,千数百の平林の兵が集まったが,平林の兵の中には死んだはずの劉玄がいた。将である王匡や朱鮪らは不遜な兄・劉繹を嫌っており,李軼が最右翼である。先陣を新市軍に任せ,唐子郷・湖陽・棘陽と進路を決定するが,馬を持たずに牛に乗った劉秀に戦闘の中で幾人もが一頭の馬を牽いてきた。湖陽には死んだ母の実家があるため先陣を劉氏が務めて略奪抜きに陥としたが,戦利品を独り占めするつもりかと責められ,劉秀の機転でこれまでの戦利品を諸将に差し出して和解した。宛へ向かう途中の霧の中で官軍と闘って破れたが,棘陽で建て直し下江の兵を率いる王常と結び,劉秀自体は輜重を奪いに出掛け,本軍は官軍の将を倒した勢いで5万の厳尤の隙を突いて敗走させた。宛を囲んだ軍は劉玄を皇帝に立てると勿論,劉繹は面白くないが,犠牲であると劉秀は兄を説得する。交通の要衝を抑えるため劉秀は王常・王鳳らと昆陽を無血開城させ,陽関で王莽の追討軍を迎え撃とうとするが,100万の兵と聞いて王常らは昆陽へ退いてしまう。更に宛に退こうとする諸将を説得し,13騎で城を出た劉秀は周辺の豪族を説得し,万の兵を揃えて昆陽を囲む王邑き奇襲を掛け,官軍を総崩れさせ,南陽郡を越えて北に進軍する。宛は陥れたが,将の軋轢は増し,天子の使いにより劉繹は矛で貫かれる。兄の死を知った劉秀は宛に戻って下手に出るとあっさりと更始帝も信用した。謹慎している劉秀は生き延びた妹を妻を失った李進の許に送り,陰麗華を呼び寄せてささやかな祝宴を催している中,各地で反王莽の軍が立ち上がり,遂に都の常安が陥落して,王莽の首と胴が切り離された。洛陽が首都と定められ朱祐と共に先乗りの劉秀は新が滅んでも降伏しなかった父城を開城させ,城を守った苗萌と馮異を伴った。更始帝が洛陽に入ると劉秀は北方平定に追いやられた。鄧禹が郎党を引き連れて合流し順調に冀州を按撫し幽州に向かうが,占い師の王郎が劉子輿を名乗り元趙王族の劉林と共に皇帝を詐称し冀州を席巻しつつあり,劉秀には懸賞が掛けられた。一行は困窮しつつ凍てつく原野を南へ逃走し,劉子輿に靡かない信都で軍勢を得ることができた~劉文叔・・・「皇帝の位に昇った者がみる光景は,みわたすかぎり草しかない原,というようなものではあるまいか。草が人民であれば,木は臣下である。木が喬くなり,生い茂れば,皇帝の視界はせばまり,天からの光もとどかなくなる。それゆえ皇帝はかならず草原をみる高さにいなければならない。いま,草原に風が吹いている。」これが解題というわけだ。身内を殺されてもそれを内面に留め外には出さない。千年に一人の人物だったのか。讀賣の新聞小説だが一気に読めるのは大したものだ。書き出してみると,意外に漢字が少ないのにも驚く。人名や地名が普段日本では使わない字だから,普段使う字をひらがなにしておかないと紙面が真っ黒になっちゃうもんな

  • 物語の中でいちばん劉秀が苦労している巻。神がかり的な能力発揮して、困難を乗り越えている。登場人物が増えてきて、頭が追いつかなることがあった。

  •  劉秀とその兄の挙兵が歴史を大いに振るわせた中巻は、非常に面白い。時代が回天する様はやっぱり面白いものである。
     ただ、やはり描写が淡白であるところは否めない。陰麗華など、もはや登場したかどうかすら定かでない(登場はしている)程度で、非常に寂しい。

     テンポ良く、戦乱を描く内容には面白みを感じたが、人臭さが足りない。それが寂しいところである。

  • 宮城谷先生の作品すべてで言えると思うが、とても面白く読後感が爽やか。

  • 反乱が起きてから、王莽が亡くなり、劉秀が窮地を脱するところまでです。劉秀の武勇もさることながら、上巻ではさほどの好人物とは描かれていかなかった兄の劉えん(糸へんに寅)の変身ぶりもびっくりです。おきまりの内紛をへて、劉秀が窮地に陥りそこから脱出しつつあるところまでが描かれています。

  • 本が読める!って幸せ。
    積読でなかなか読めなかった「草原の風中巻」読了。

    後漢王朝の始祖、光武帝 劉秀の物語の中巻。
    いよいよ王莽打倒に兵を挙げる!
    展開のすさまじさにほぼ一気読み。

    宮城谷先生の真骨頂です。
    すんごくおもしろい。

    ぼくはあまりこの時代のことを知らなかったので、
    なるほどなるほどと時には独り言ちながら読んでました。

    帯に書いてあります。

    「常識とは、大いなる虚である。虚を衝けば活路が開ける」

    まさに逆転の発想。
    読んでなるほどとおもうけど、実際その決断は下せないよ。
    天に認められた人だからこその偉業。
    そんな劉秀に惚れました。

    現代にもこんな人がいたら。
    とついつい思ってしまう。

    約二千年も前に存在した文明の凄さを改めて実感。

    さぁ、下巻。
    また一気読みしそうな予感です。

  • 名著

  • いよいよ劉秀が動き出しました。
    武将としての劉秀の才覚や兄・劉演との親交など、英雄としての劉秀を存分に楽しめる展開になってきました。
    過去の歴史に学び、決して闇雲に天下取りに向かわない慎重な人格設定は、古代中国史を専門とする宮城谷氏らしくて楽しめました。
    いよいよ下巻で光武帝の誕生を待つのみ。

  • 買ってますv

    読んでますv

    これから、また感想あげていきますvv

著者プロフィール

宮城谷昌光
1945(昭和20)年、愛知県蒲郡市生れ。早稲田大学文学部卒業。出版社勤務のかたわら立原正秋に師事し、創作を始める。91(平成3)年『天空の舟』で新田次郎文学賞、『夏姫春秋』で直木賞を受賞。94年、『重耳』で芸術選奨文部大臣賞、2000年、第三回司馬遼太郎賞、01年『子産』で吉川英治文学賞、04年菊池寛賞を受賞。同年『宮城谷昌光全集』全21巻(文藝春秋)が完結した。他の著書に『奇貨居くべし』『三国志』『草原の風』『劉邦』『呉越春秋 湖底の城』など多数。

「2022年 『馬上の星 小説・馬援伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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