- Amazon.co.jp ・本 (355ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120046070
感想・レビュー・書評
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2016.03.03
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ヴォイド・シェイパ・シリーズ四作目。
守るものの有無と強さについて。
ちょっと切ない感じ。 -
ヴォイド・シェイパシリーズのなかでもいちばん読みにくい作品だった。事情が込み入っている。人を斬りたくないが刀を極めたいという矛盾。女性と暮らすということ。という二つが軸かもしれない。
刀をふるか、刀をすてて人と暮らすか。
キクラさんが言っていた、愛しい者がいるということは、傷があるのと同じ、という言葉が心に残った。 -
『悔いているのか、憎んでいるのか、悲しいのか、それとも嬉しいのか、涙ではわからない。まして、口から出る言葉は、もっと信用がおけない。人は、いつでも、どんな言葉でも、簡単に口から出せるのだ。』
「ゼンさん。来てくれたんだ。嬉しい」
「琴の音を聴くためです」
「そういうときはね、ノギさんの琴が聴きたくて、と言うの」
「そうか。ああ、気がつきませんでした。覚えておきます」
「大丈夫なの? 鈴屋が襲われたりしない?」
「それは、その、たぶんですが、解決しました」
「え、どんなふうに?」
「また、あとで、えっと、チハヤ殿が説明してくれるかと」
「ゼンさんが、今説明したら良いじゃない」
「いえ、今は、ノギさんの琴が聴きたいので」
「あらら、なんか、ちょっと変な気もしますけれど、まあ、ええ、だいたいそれで、よろしいと思いますよ。そんな感じです」
「刀のほかに、二つある ー 一つは場数。もう一つは知恵だ」
「人は、じっと待つことができない。それはまるで、息を止めることにも似て、苦しく感じられるものだ。痺れを切らし、つい動こうとしてしまう。戦いというのは、そうして始まるのではないか。」
「拙者が果てたときには、フミは自害しようとするでしょう。そのときには、どうか止めないでいただきたい。私が願うのは、それだけです」
「俺はな、フミさんのために刀を抜く。それだけのことだ。なにか不足があるか?」
『とにかく、自分の刀を、自由に振ろう。
それだけだ。』
「まさに今、大勢の人を殺そうとしている者がいて、それを止めねばならない、という場合には、その者を殺し、多くの命を救おうとするかもしれない」
「救う命のために、命を奪って良いことになります」
「そうなりますな」
「それは、正義ですか?」
「いえ、正義ではない。ただ、しかたがないことです。さきほど貴方が言ったように、正義とは、そのような悪人がこの世に生じないように導くことではないでしょうか」
「少しくらいの濁りは、あった方がよろしい。この世にあるものは、いかなるものも、必ず無駄なものが混ざっております。なにも溶けていない水はない。なんの匂いもしない風もありません。それでも、それを綺麗な水といい、澄んだ空という。おそらくは、正しい剣、正しい刀も、そのようなものと想像いたします」
『いくら考えても、答えのない問題ばかりだ。答がないことが自分でもよくわかる。それなのに考えてしまうのだから、困ったものだ。こういうのは、人の質なのだろうか。』
『チハヤは、また声を上げて笑い、リュウがつられて笑った。何が面白いのか、よくわからなかったが、自分の心も温まった。酒のせいではなかったはずだ。』
『みんなが同じではない。それぞれが、自分の命を持っている。なにかを楽しみにして、生きているのだ。苦しみだけで生きている者は、たぶん少ないだろう。それでは生きていけないように思われるからだ。』 -
山中でゼンを襲った山賊。その用心棒たる凄腕の剣士には、やむにやまれぬ事情があった。「守るべきもの」は足枷か、それとも……。若き侍は旅を続けながら少しずつ変化していく。
BOOKデータベースより
刀筋を通して、自分の内にある考え方を分析していく、ゼン.何のために強くなりたいのか、社会の有り様はなぜそうなのか.
頭は未だ靄の中にある.刀を交えるたびに、人と接するたびに、一つひとつ答えに近づくときもあれば、さらなる疑問が生まれることもある.
人は人と関わることで成長することができるのだなぁと改めて思った.でも成長するには考えることが必要であるね.
追記
このシリーズをアニメ化すればいいと思う.その時の主題歌は米津玄師の「海と山椒魚」がいいと思う. -
20
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前作(スカル・ブレーカ)に比べると狭間の一冊、間延び感が否めないけれど、つい引き込まれて読んでしまうのが森博嗣の偉大さである。
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『ヴォイド・シェイパ』シリーズ4作目。
ゼンの旅はまだまだ続くらしい。
1話目に比べるとゼンがずいぶん世慣れてきていて、一方で世慣れた自分を「そういうことも近頃はわかるようになった」と自己評価しているあたりが何だか可愛い。
3作目でゼンの正体が明らかになってきたのに、今回はほとんどそちらの方へは話が進まなかったので、ちょっと欲求不満。