- Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120046216
作品紹介・あらすじ
母親に置き去りにされた純矢があずけられたのは、正体不明の「絵に描いたようなデブ」である歌子のもと、落ちこぼれの大人ばかりが居候するボロ家だった…。
感想・レビュー・書評
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母親に置き去りにされた小5の純矢。
歌子さんという親戚の家で暮らすことになる。
その歌子さん、見た目が強烈個性的で、何も聞かない反面、余分なことは話さずの謎の人。
家にはなぜか「ダメな大人の見本」のような居候たちまでいる。
小5にして公務員志望、食べたものをいちいちお金に換算する妄想貯金、ものの見方も俯瞰的でドライな純矢。
そういう考え方になった背景を想うと悲しくなるのだけど、防風林の花子さん(幽霊)を怖がったり居候の太助が出ていくことに怒ったりするところに子供らしさが見えて少しだけほっとする。
居候たちや、歌子さんにライバル心(?)を抱く実留久ちゃんの抱えてきたそれぞれの過去とこれから。
どのお話も痛みを伴うものだけれど、歌子さんの隠された秘密・雅江さんとの関係がなんとも辛い。
純矢とは親戚だからというよりも、お互いの母親への感情や関係がシンクロしているからなんだか似ているのかもしれない。
純矢の母親のカレンは、ただただひどい母親だなぁと思うけれど、彼女の年齢が衝撃的でひっくり返って驚いて、そんな感情も飛んでいった(笑)
純矢にとって、母親を赦さなくていい選択の提示は救いになっただろうけど、きっと字面の通りにはならない。と思う。
大人になって母親を想う時、彼もまた迷子の顔になるのだろう。歌子さんのように。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
終始閉塞感を覚えながら読んでいたが、捜し物は図書館までの後に読んだので「残りの人生なんてない」ってコトバを思い出すと、それぞれが味わいある人生を生きてるんだって温かい気持ちで読了できました。
こんな人生のはずじゃなかったって心の底で現実を受け入れられないまま生きている人は実際多いのではないかと思う。年齢、性別を超え、自分の現状を受け入れ、この現実世界に新たな一歩を踏み出す大人の物語でもある。
また、自己肯定感について考えさせられた。歌子と美留久の違いも自己肯定感の違い。世間の規格で自分を測る必要はない。歌子の寛大な母性と表現されている魅力もそういったところから生まれている。そんな歌子だが、母を赦すか赦さないか決めかねているとこが人間らしくてかわいい。
途上なやつらに囲まれ、いずれ歌子も母を赦すことにより母性に慈愛が加味され、ド派手な慈母観音的な存在(決して優しそうに微笑んだりしない)になっていくのではないかと勝手にそんな想像を膨らませてます。 -
母に捨てられた少年と風変りな大人たちの奇妙な生活。
書き下ろし。
第一章 夏
第二章 秋
第三章 冬
第四章 春、再び夏
母に捨てられた純也は、親戚の万知田歌子の家に身を寄せることになるが、歌子は巨漢でファンキーなマッサージ師で冷徹、しかも歌子が拾ってきたろくでもない居候と、魔女のような歌子の母親・政江
人生に挫折し、途上な大人と、世の中を達観しつつ、母親への恨み、愛に餓えた10歳の純也が交わることで、化学反応が起こる。
歌子と政江の秘密を知ったとき、家族のひとつの形と、新たな一歩を純也は踏み出す。
今年一番良かった。
各キャラが交わるときのドラマが楽しい。 -
母親に捨てられた主人公が
同居する事になった変な人達。
それぞれにコンプレックスみたいなものを抱えていて、
まさに途上なやつらだけれど、
少しずつ成長して行く姿が良い。
流れが面白く一気に読めたし、
何より冒頭部分がとても良く惹き込まれた。
以前、フォロワーさんが読んでいて
面白そうと思い読んでみようと思ったが、
それがなかったら手に取らなかったかもしれない。
自分だと出会う事の出来なかったであろう
本に出会えるのがブクログの素敵な所ですね。 -
母親に捨てられた子供が、ひょんなことから面白い人たちが住む家に住むことになって、楽しくたまにホロリとさせられながら成長していくようなお話。
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「あの日、君は何をした」「きわこのこと」「祝福の子供」
と読んできて、全部読もう!と思った作家さんだけど、これはずいぶんテイストが違って、楽しく読めたw
よし!少年よ、我が子を置き去りにした愚かな母親を許すな!それでいいのだ!!www -
毒親に捨てられ、知らない親戚の家で新たな試練に襲われる小学五年生の純矢。
どうなるんだろう、何で歌子さんは凄いなりでもモテるんだろう、花子さんて誰なんだ、など、様々な人の要素が盛り込まれ、なかなかに奥深い群像劇になっていた。
著者の作品は初めて読んだけれど、思いのほか面白かった。 -
どうやら僕はあの女に捨てられたらしい。
キャンプから帰るとアパートはもぬけの殻だった。ふざけた置き手紙に導かれ、初めて会う親戚の家を訪ねたが
その家でまず目にしたのはデブとしてのバランスが完璧な、そして派手すぎる格好で直視できない女の人だった…。
母に捨てられた少年と、変わり者の親戚のオバサン、その家に住み着く変わり者の居候達。
誰も彼もが“途上なやつら”で、優しく寄り添うなんてとんでもない。
自分と同じ所を見つけそれに苛立ち、こうはなりたくないと冷ややかに見つめる。 けれども彼等なりに一歩でも半歩でも進もうとする気持ちが持てて、それだけでも良かったと思えた。
イラっとするけど憎めない、不思議と応援したくなる。もてる理由は謎のままだったなぁ…。 -
ただ一緒にいて
衣食住を提供する
それだけのことで胸を張って
子育てしてるわ私
と勘違いしそうになりました