もう別れてもいいですか (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社
3.72
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感想 : 279
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  • Amazon.co.jp ・本 (297ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120054884

感想・レビュー・書評

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  • 私はこの本、好きだなあ。
    どちらかと言ったら私は澄子の周りの友達タイプだ。
    勇気を貰った者もいるだろう、感銘した者もいるだろう、もう一度、頑張って見るかと思って読んだ者もいるだろ、こんな夫婦ばかりじゃないと思う者、うちは夫婦円満よと思う者。
    飽きたと嫌いになったとは違うかあ…

  • うぅううん、下手なイヤミスよりイヤ度の高い小説でした。ヒロイン澄子の旦那が。
    だが、まんまニコの父親だし、若干、ニコの夫にも共通するものがありました。
    「女は格下なので男に従属すべきである」という前提?設定?の社会。
    あと、田舎特有の「なぜだか全部筒抜けになっちゃう」世界。生きづらい。

    夫の無意識の束縛や圧迫や搾取に耐え忍んできた澄子でしたが、娘二人が成人し、独立し、夫と二人の生活を送るうちに、もう限界が近づいてきて。体に異常を来すようにまでなってしまう。が、周囲の目や自身の経済力の無さがネックになって、離婚を切り出す勇気が持てないまま、暗澹とした暗い日々を送っていました。が、夫の横暴ぶりは全く衰えず、澄子の鬱屈はいや増す一方。

    いや、澄子の夫がマジでクソで最低で。もう我慢できないと思い始めた澄子の葛藤がじれったく感じるくらいでした。なまじ、澄子はちゃんとしてるからこその不幸だとも思えるんですが。バックれて、家出しても無理ないレベルですわ。

    様々な軋轢や葛藤を乗り越えて、離婚を勝ち取り自由を手にした澄子。
    もう、還暦は目の前。でも、大丈夫、まだまだ数十年は生きるから。

    「いつも偉そうに妻を抑圧するくせに、日常生活では幼い子供のように妻に世話を焼かれて当然と思っているゲス野郎がいない暮らしは、口では言い表せないくらいハッピーです。」

    安直に夫婦が歩み寄って、結婚生活を再生させる話でなくてよかったっす。
    人生は短い。我慢している時間はないんですよ。

  • 特に日本の主婦は大方同意するお話。なぜ結婚した途端、個人ではなく「妻」や「母」という役割を押し付けられ、我慢が美談とされるのか…最近は変わって来ていると思いたいなぁ

  • 離婚したい。
    でも、お金がないーー
    女を奴隷扱いする男たちとの決別を描く、
    ベテラン主婦のハッピー離婚戦線!
    決断は、幸福のはじまりだった。
    五十代、女の再出発物語。
    (書籍説明より)


    垣谷さんの本は12冊目。
    2020年3月以来だから、久々だったわ。

    いつもながらにインパクトのあるタイトル。
    で…
    この内容は…
    この主人公のような状況に直面すると、現実はなかなか厳しい…
    のだろうなぁ…

  • わたしは50代男ですが、この本をしみじみ読みました。最後は感動で胸がジーンとしてます。人生の残り少なさが実感できる年齢だからこそ、ストーリーの全てが胸に沁みました。友人、親戚、子ども、そして夫。どれもがリアルでハッとします。

  • いわゆる熟年離婚がテーマ。
    かなりリアル。いやリアルすぎる!
    50代の男性諸氏は妻には読ませてはならない本、我が身を振り返る必読書として認識しなければ...(笑)

    ここまで思うかはその人の環境によるのかもしれませんが。
    夫婦とは結婚とは、そもそも生きていくとはを考える・考え直す良い本です。

  • 主人公に共感しまくりながら読了しました。
    話の中の夫は、浮気も暴力もギャンブルもなく傍目には「離婚するほどではない」夫。ですがその対応で主人公の心がいかに傷付き弱っていったのか、それを切々と語ります。タイトルの「もう別れてもいいですか」がまさに心の叫びになっています。

    対象として描かれるのは、夢と希望に溢れていた18歳の自分。それを本当の自分とし、離婚して少しでもその自分を取り戻すため徐々に強くなる主人公を応援しながら読みました。

    明確な暴力などがなくても、お互いの痛みや喜びを共感できない相手と無理に暮らす必要はない。

    そうですよね。私も別れたい…

  • 澄子や孝男世代にあるあるな夫婦関係。この世代の一つ上の世代は、戦前の古い教育を受けた人たち。親にもよるだろうけれど、子供たちにそのまま教えた人もいたのでは。孝男の男尊女卑な考え方など時代遅れも甚だしいし、澄子もまた経済的な心配を拭いきれず夫の機嫌を損ねないように従ってしまうから悪循環は終わらない。根深い世間の考え方もまた然り。澄子の一つ上の世代の女たちはそれを当たり前に感じるか、従っている振りで賢く夫をかわすかのどちらかだったのかもしれないが、性別による人間の価値は有り得ないしばかばかしい。

    離婚を決意、今まで怖じ気づいて出来なかった事も一人で出来るようになり、自立する意欲を見せている澄子。本の最後の四行と言葉がそれを象徴している。

    “人生短いんだから楽しまないとね。
    最後にひとこと。
    離婚は私の勲章です。
    なんか文句ある?”

    文句などありません。そんなケチで横暴なモラハラ夫とは別れて大正解です。

  • あまりに極端なトンデモ親父。頻出する下女、奴隷、家来。途中で気持ち悪くて本投げ出しそうになったが、噂好きの小夜子さんに救われた。初出は婦人公論でターゲット明確だけど、99%が自分のことしか考えないクズだなんて…男には…。高齢化社会テーマに次々面白い問題作出す垣谷さんだけど…こんなオヤジにならないよう自戒しなくては。“夫原病”初めて聞いた。

  • ズバッと切り裂いていて、爽快な読後感。
    『この女は俺の言うことなら何でもきく』ってところを見せて威張りたい男。最低。
    感想を書きたいが、文字数の際限なく自分のグチになりそう(笑)
    自分も、離婚したくなる!(誰もが思うのではないか?)
    だって、この本の中の離婚した登場人物達が、幸せそうだから。
    別居と離婚は全然違う。実家に避難していた時も爽快な気分だと思ったが、離婚後の晴れやかさとは比べようもない。 
    自由って素晴らしい。
    1人で強く生きていこうと思った。(笑)

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著者プロフィール

1959(昭和34)年、兵庫県生れ。明治大学文学部卒。2005(平成17)年、「竜巻ガール」で小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。結婚難、高齢化と介護、住宅の老朽化などの社会問題や、現実に在り得たかもしれない世界を題材にした小説で知られる。著書に『リセット』『結婚相手は抽選で』『七十歳死亡法案、可決』『ニュータウンは黄昏れて』『夫のカノジョ』『あなたの人生、片づけます』『老後の資金がありません』『後悔病棟』『嫁をやめる日』『女たちの避難所』『四十歳、未婚出産』などがある。

「2023年 『うちの父が運転をやめません』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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