もう別れてもいいですか (単行本)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (297ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120054884

感想・レビュー・書評

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  • 58歳の主婦澄子は定年間際の同い年の夫と二人暮らし
    長年、夫のモラハラに苦しみ、夫源病になってしまう
    横暴な夫に耐えながらもパートに家事に励んでいたが、元同級生の離婚を知り、気持ちが傾いて行く

    もう、しょっぱなから『(夫が)早く死ねばいい』と身も蓋もない表現があるのには思わず笑ってしまったけど、読み進めて行くうちに笑い事ではないなと痛感した
    これは世代によって共感できる世代と全くできない世代に分かれるだろうな
    私世代から上の世代は少なからず共感できる人が多いんじゃないかな
    程度の差はあれ、こういうモラハラ夫…いるよ!!
    妻を家政婦か何かと間違えてるんじゃない?という夫は昭和生まれにはそこそこいると思う
    私くらいの世代は結婚してからも働き続けるということがまだ難しい時代でもあったから結婚と同時にキャリアもストップしてしまう
    だから、離婚を考えた時に澄子と同じように経済的不安を感じる気持ちはよく分かります
    今、離婚率が上がってるのは女性が一人でも生きていける経済力を身につけたからだと思う
    やっぱり夫婦は対等じゃないとうまくいかないよね

    不安を抱え悩みながらも澄子が下した決断には勇気をもらえます

  • 冒頭の友人の旦那さんが死んで、羨ましいとは強烈でした。昔は結婚を永久就職と呼んでいた、女は就職しても腰掛けで、寿退社が普通。男子は技術、女子は家庭科に振り分けられた授業にも何の疑問も持たず、公立高校の普通科には男女別2対1の定員があった。etc
    コロナ禍で分かったことは、日本は先進国ではない貧しい国。田舎は恐ろしい程の村社会。
    垣谷さんの本は読み終わった後、清々しい気持ちになるのですが、これはいろいろ考えてしまった。

  • 子育ても終わった田舎のパート主婦がモラハラ夫に下女のように扱われる日々に見切りをつけ、新たな人生を歩み出す話。自分のまわりには澄子みたいな人がいないせいか、共感できる部分とできない部分があった。結婚が早い人の方が共感できそう。

  • 男の立場からすると、ヤバいこんな事を
    思ってるだと言う気持ちでした
    気を付けなきゃなと思いました
    読んでみてよかったです

  • 思い当たること多数あり。妻の内面を見ているようで、納得の六十一歳 夫でした。

  • この年齢にしては考え方が古いような、田舎はまだそうなのかな。

  • 離婚したい。でも、お金がない。決断は、幸せのはじまり-。

    初めての垣谷美雨san。

    面白いっ!というか、もう別れても・・いいです。

    58歳の妻・原田澄子と夫・孝男、独立して都会で暮らす2人の娘と、澄子の地元の高校時代の元同級生たち。

    ダンナさんが亡くなったという元同級生からの喪中のはがきを見て、、羨ましい と。

    夫の初めてのエピソードは、澄子が休日に子育てをしながら用意した昼食を見て、”また月見かよ。俺はもっと豪華なうどんが好きなんや。”と。この一言で、夫の全て分かりました。許せないというか、正直、こんな感覚を持った人がまだ存在するんだという驚き。

    とにかく妻がすることに文句を言い、自分が一番偉い。世間体を常に気にするプライド高男。こんな人は、きっと会社でも仕事ができていないと思います。

    同級生のリンダが教えてくれた言葉、「日本人は自分が幸せかどうかよりも、人から幸せそうに見えることの方が大切なんだって」。これにはハッとさせられました。

    娘の望美、香奈、同級生の千鶴、美佐緒たちに協力してもらって、何とか離婚が成立して良かった。短い人生、手に入れた勲章を持って楽しんでください!

  • 読み進めれば進むほど、あるある、そうそう、なんでこんなに心のうちの呟きが主人公、澄子と同じなのかと。これを言ったら…言えない言葉、溜め込む不満、妥協点を見い出し、自分の気持ちに折り合いをつけ、自分が出かけることすら相手に気を遣い、24時間、自分一人で気ままに過ごせず、結婚ってなんなんだろうって思ったり。20代の頃は、次々と周りが結婚し始め、自分も早く、早くという気持ちだったのに。恋人と会えない週末と夫のいない週末、この違いたるや。それならなんで一緒に暮らしているのだろう。千鶴のように夫から暴力を振るわれてもいないが“常に厚い雨雲が垂れこめていたような重苦しい結婚生活だった”という澄子。“夫というのは自分の人生を気兼ねなく生きるけど、妻は自分を殺して、夫に気兼ねして生きていかなきゃならない”“人生の残り時間が少なくなった今、楽しんだ者勝ちだと本気で思うから”と、澄子が高校時代の親友、美佐緒に手紙で書く。ホント、そうね、自分の人生なんだよね、誰の支配下にもなる必要は、ない。でも、だからこそ、自分の足で立っていく、立てるだけの力(経済力も含め)を努力してつけていかないといけないんだなぁーと。自分で生活費を稼ぐ、自由に使えるお金を得ること、何においても自立していないとがんじがらめの状況を打破する事はできない。澄子が夫に対して甘えもあったと言えるなんてすごい進歩だ。不満を抱えつつそのまま結婚生活を続けていくのもいいし、離婚したってそれが不幸だとは思わない、澄子の本来の澄子に戻った言葉がよかった。澄子の“離婚は私の勲章です。何か文句ある?”ないよー、と澄子に叫びたくなった。面白かった!!

  • やばい。リアルすぎる。

    これはいったい、誰のための物語なのか。
    痛いほどわかってしまうことが、なんでこんなにもしんどいのだろう。

    読み始めてまだ、たったの7ページ。でも、、、

    「これは、母たちの物語だ」。


    そして、同じ境遇を感じるひとが、きっと少なくないという事実に、とても救われている娘がひとり、ここにいる。


    『彼女は頭が悪いから』の次に胸くそ悪くて悲しくなる本!笑 これに似たような現象が、実際に日本のどこかしこで起きていること、本当に理解できない!

    勇気でる。

  • 「夫に死んで欲しいと思っている」というところ以外は、うんうんって盛大にうなづくくらい共感の嵐。だけど、文字にすると自分がこんなふうに思っていることが怖くなる。話にでてくる離婚した妻たちは、浮気されたからとか突発的なことではなく、結婚生活を送ってきたなかでどんどん溜まった不満、それはこの先解消されそうにもない、何十年これが続くのだろう…我慢の限界。はやく見切りをつけたい、そのタイミングはいつ?一人でやっていけるかな?という不安もつきまとうけど…でもこのままで一生終えるよりは。

    めっちゃ離婚したいと思っている人にあとひと押しの一冊としておすすめできる。

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著者プロフィール

1959(昭和34)年、兵庫県生れ。明治大学文学部卒。2005(平成17)年、「竜巻ガール」で小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。結婚難、高齢化と介護、住宅の老朽化などの社会問題や、現実に在り得たかもしれない世界を題材にした小説で知られる。著書に『リセット』『結婚相手は抽選で』『七十歳死亡法案、可決』『ニュータウンは黄昏れて』『夫のカノジョ』『あなたの人生、片づけます』『老後の資金がありません』『後悔病棟』『嫁をやめる日』『女たちの避難所』『四十歳、未婚出産』などがある。

「2023年 『うちの父が運転をやめません』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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