- Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120055119
作品紹介・あらすじ
新央出版の編集者・葛城梨帆の元に突然、原稿が届く。それは以前新人賞で落選した志村多恵からのもので、学生時代の友人が時を経て再会するところから物語は始まっていた。立場の違う二人の会話はすれ違い、次第に殺意が募っていく。「いっそのこと、最後にこの女を殺してやろうか」――。そんな物語の女たちの苦境に思いを馳せるうち、梨帆自身も忘れられない出来事と原稿内容がリンクし始める……。
私たちのシスターフッドがここにある、著者渾身のミステリー。
感想・レビュー・書評
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★5 悲しく、苦しく、それでも美しく生きる女性達 世相を抉る社会派ミステリー #ロングアフタヌーン
■レビュー
この作品、めちゃくちゃ面白いぞ。
結構ヘビーなテーマにも関わらず、最初から最後まで、読ませる読ませる。プロットが上手だし、文章も丁寧だし抑揚もあって流れるようです。
300ページ程の長いお話でもないですし、起承転結もバッチシだし、何から何まで小説としての完成度が高すぎ。
ミステリーとしては決して派手ではない。しかし物語全体として美しくまとまっており、読み終わった後は、ゆっくり紅茶でも飲みたくなるような作品です。
本作の魅力は、何といっても登場人物の主人公の二人の女性。
心情描写が秀逸なんですよ、心に刺さったセリフに付箋を付けながら読んでたんですが、20か所以上付箋を貼ることになってしまいました。
特に作家の多恵。追い詰められたギリギリの叫びが「小説」の中に表現され、悲痛な叫びが聞こえてくるんです。溢れ出る情念の引力が強烈で、男性として心を大きく揺さぶられました。
そして物語の終盤です…二人の主人公の行動に、私はマジで涙を流してしまいました。ぜひ読んでみて、感じた思いを体感してほしいです。
よく小説は映像化がされることがありますが、本作は小説でないと良さが伝わらないと思っています。読書が趣味で良かったな…と思える、最高の作品でした。
■推しポイント
かつてスイミングに通っていた息子が、初めての水泳大会を迎えました。
毎日毎日つらい練習を重ね、ここ一番の大舞台。ガチガチに緊張した彼に、ひとこと声をかけたことがあります。
「胸を張って、いってらっしゃい」
人生、どんなに努力を重ねても辛いことばかりで、上手くいくことなんて少ない。それでもギリギリのところで一歩踏み出す人間にだけ、未来がやってくる。
試合結果は十分ではありませんでしたが、堂々と試合に向かった彼は、誰よりも輝いて見えたんです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
パソコン復活しました。今日午後イチでK‘s電気さんにきてもらいました。10分少々で直ってしまい。あーよかった!
私はパソコンが壊れるとパニックになって体調おかしくなります。
ご心配くださったゆうママさん本当にありがとうございました!
初読みの作家さんです。ずっと勘違いして、葉真中顕(あきら)さんという男性作家さんだと思ったら、葉真中顕(あき)さんという女性だったの?どう考えても女性の作品なので思ったのですが、あとからレビューを拝見すると男性?って書かれていて2度びっくりしました。
葛城梨帆という小説の編集者のところに送られてきた、『犬を飼う』という短編小説からこの作品は始まります。『犬を飼う』は近未来小説で人間の野蛮な男性が犬になってしまい、人間は女性だけになるというストーリーです。
梨帆は志村多恵という50歳の女性が送ってきたこの小説を強く推しますが落選します。
梨帆は多恵に「また作品を送ってください」と言います。
多恵は7年後『長い午後』という私小説にしか見えないものを送ってきます。
それは人生の選択を要所要所で間違えた女性の話で、離婚経験のある梨帆は深く共感します。
人生のいくつかあった女性としての選択をもし、あの時、ああしていたら、していなかったら…。
主人公のター坊は望まぬ妊娠をして、その相手の男に愛されていると無理やり思い込み、望まぬ結婚をします。
この話に救いはないのかと思いながら読みつづけました。
編集者である梨帆も、この作品にまた違った意味で共感します。
なんて淋しい話だろうと思いながら読みました。
そしてミステリーだと思って読んでいたのに全然ミステリーじゃないなあと思いながら。
そしたら、最後に震撼する話でした。
それにしても、この作品や作中作に登場する女たちはなんて哀しいんだと思いました。-
良かった!\(^_^)/
なによりです。
これで、私のようにスマホでちまちまハハハ・・・・
私はスマホになれているので、ちまちまとは思いませ...良かった!\(^_^)/
なによりです。
これで、私のようにスマホでちまちまハハハ・・・・
私はスマホになれているので、ちまちまとは思いませんよ(*^_^*)
とにかく新しく買わずに済みましたね!
~~(m`´)m2022/04/16 -
ゆうママさん。こんばんは!
おかげさまで、復活できました。
買わずにすんでよかったです。
スマホは私はまだ歴1年半で使い方がよくわ...ゆうママさん。こんばんは!
おかげさまで、復活できました。
買わずにすんでよかったです。
スマホは私はまだ歴1年半で使い方がよくわからないのです。
でも、スマホはコメントがくるとすぐわかっていいですね。
スマホとパソコンの良い所を使っていきます。
ご心配ありがとうございました!2022/04/16
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新央出版で編集を担当している葛城梨帆が主人公、彼女の元に7年前に新人賞に応募して落選した志村多恵から新たな原稿が届く…。その原稿「長い午後」は7年前の「犬を飼う」からその後のリアルなのか…。「長い午後」の主人公ター坊と友人の亜里砂から呼ばれている女性は志村多恵なのか…。
この7年前の「犬を飼う」が、面白かったなぁ~村田沙耶香さんの作品を読んでいるのかと錯覚しちゃうくらい(^_^;)。「長い午後」を紐解きながら、葛城梨帆のこれまでの人生をも重ねていく…。今まで読んだ葉真中顕さんの作品とは、ちょっと違う印象も受けましたが、一気読みしちゃいました。作中の夫と息子、嫌な奴だったなぁ…!!エンディングが曖昧だと少し思いましたが、これも曖昧にすることで余韻を持たせたのかと感じました。-
ヒボさん、こんばんは!
ヒボさんも「エヴェレスト」の読了、お疲れ様でした(^^)
この「ロング・アフタヌーン」は
今まで読んできた...ヒボさん、こんばんは!
ヒボさんも「エヴェレスト」の読了、お疲れ様でした(^^)
この「ロング・アフタヌーン」は
今まで読んできた葉真中顕さんの作品とは
ちょっと違った感じを持ちました。
ミステリーだったから、なのかぁ~!!
そういう言われれば、うん、そうか(^^ゞ
すごく面白く読めたんだけれど
ラストがなんとも言えず、もうちょっと踏み込んでほしかったので
評価は4にしました(^^)
ヒボさんとおんなじですね!
「赤い月の香り」は本屋さんでは売ってないので
お取り寄せすることにしました!
読める目処がつきましたぁ~
ただ、借りている図書館本をまず読んじゃわないと(^^ゞ2023/05/07 -
「赤い月の香り」お取り寄せにしたんですね♪
GWで全然減らせなかったので、私も頑張って積読減らさないと^^;
「赤い月の香り」お取り寄せにしたんですね♪
GWで全然減らせなかったので、私も頑張って積読減らさないと^^;
2023/05/07 -
ヒボさん、こんにちは!
家から一番近い本屋さんは、規模が小さく
週末の度に覗いてみましたが、「赤い月の香り」がなくて( ;∀;)
お取...ヒボさん、こんにちは!
家から一番近い本屋さんは、規模が小さく
週末の度に覗いてみましたが、「赤い月の香り」がなくて( ;∀;)
お取り寄せしました!!
読める目途がつき、今からわくわくしています(*^^)v2023/05/08
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なんの情報も頭に入れないで読んだ「犬を飼う」。
これは何なのだ…という驚きのまま本文へ。
それは、公募型の新人賞に応募してきた50歳の主婦の作品だった。
最終選考まで残ったものの受賞は逃したのだった。
それから7年後の送られてきた「長い午後」。
凄いなぁ、と。
引き込まれてしまった。
現実と小説とが交錯しながらも「長い午後」が気になって仕方なかった。
編集者である梨帆自身の出来事と絡めながら進めていくのだが、圧倒的な比率は「長い午後」のなかのもしかしたら多恵ではないかと思わせる内容なのである。
フィクションなのに。
思わず多恵を重ねてしまう。
これが小説をテーマにしたミステリーなのかと納得してしまう。 -
出版社に勤める葛城梨帆と小説家になりたい志村多恵の物語
ん〜、わたしの中では何か不思議な感じになる作品でした
何が不思議な感じか…?
読んでいくうちに、葉真中顕さんが書いた『ロング・アフタヌーン』なのか…?
志村多恵が書いた『長い午後』なのか…?
どちらを読んでいるかわからなくなる感じ…
両方が同じ小説?そんな風に感じた作品
ちなみに志村多恵が書いた『犬を飼う』
これはおもしろい!★5です♪
中高年男性による自分をモデルにした自伝的小説『おじさん武勇伝』ちょっと読んでみたいかもw -
戸惑う一冊。
作家の描く世界と編集者の世界の交じり合いはまるで時計の長針と短針が時に重なり、また離れていくような物語。
序盤から戸惑いを感じ、ただ時が刻々と過ぎるように読まされていき、ジャンルは何だろう⁇と終始、骨格が見えない、掴みどころのない作品という印象がつきまとう。
ロングアフタヌーン。
このタイトルは好き。
誰もが一度は感じる人生のロングなため息の時間っぽい。
そのため息は回想やもう一つの世界を彷徨える時間みたい。
そんなことを考えながら連れて行かれたラスト。
これはどう捉えれば良いのか。今回は戸惑う葉真中さん。 -
30代の女性編集者と50代の作家志望の専業主婦の人生がシンクロしていく物語。
何だか凄い作品だったな…というのが正直な感想です。前情報なしで読み始めたので、冒頭の作中作に驚かされ、どういうことなのかと気になって引き込まれてしまいました。
二作目の作中作「長い午後」は私小説のような作風で、女性編集者は虜になっていくのですが…
終始不穏な空気が漂い、ドキドキしながらもページをめくる手が止まらない。現実とフィクションの間で揺れ動かされました。
特筆すべきと思うのは、葉真中さんの女性の心理描写の秀逸さです。社会派ミステリーで世相に切り込むのが巧い印象はありましたが、こんなに深く繊細に女性が描けるとは。世代の違う二人のヒロインの生きづらさや心の叫びがダイレクトに伝わってきました。 -
スゴい本を読んでしまった。読み終えた今、私の頭の中を占めているのはそんな漠然とした想いだ。
編集者の葛城梨帆の元に、かつて新人賞に落選した志村多恵から小説が届く。小説の私と現実の梨帆がリンクしていき、梨帆はこの小説に自分の〝ほんとう〟に触れ、世に出したいと強く願うようになる。
まず、冒頭に物語があって、この世界観のまま物語が進むのは辛いなと思っていたら、それは志村志帆が応募した作品だとわかる。その後、また志村志帆から作品が送られてくるわけだが、それがどんどん面白くなっていき、やがて現実とフィクションの区別が付かなくなっていき、この物語の行く末が気になって仕方なくなってくる。それと同時に葛城梨帆の現実が並行して進んでいくのだが、それも読ませてくれる。
欲しくない子どもを生むことへの葛藤や、息子がレイプ加害者になるなど、大いに考えさせられる内容が盛りだくさん。
読者に考えさせるようなラストも秀逸。文句なしの⭐︎5。