動物農園 (単行本)

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (162ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120055669

作品紹介・あらすじ

最低限の食料しか与えず、幼い命を死に追いやり、自分たちだけ温かく安全な家に住む人間を追い出すため動物たちは謀反を起こした。

動物たちは文字を覚え、「動物農園」を営んで、自らのために働く喜びを手に入れる。

しかし一部の豚が君臨し始めると、動物たちが掲げた普遍の戒律は改竄され、恐怖と残酷な死が支配する世界に変わっていく――。



非人間的な政治圧力を寓話的に批判したジョージ・オーウェルの世紀を超えた衝撃。発掘された名訳を描き下ろし装画とともに。



装幀・本文デザイン 名久井直子

感想・レビュー・書評

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  • オーウェルが語りかけてきた気がします

    「な、おっがなかっぺ?」

    はい、『動物農園』です『動物農場』のほうが一般的な気もしますが、まぁ別にそこはいいか

    先日『1984』を読んで、スゲー!ってなったので、こちらも是非読むべし!と思って読みしたが、こっちもスゲー!
    スゲーばっかりだけど、そこはもうスゲーからいろいろ読み取りなさいよ!もう読む側の責任だわこうなったら
    もうスゲー!

    圧倒的だわ
    圧倒的だわオーウェル
    16階建てのビルディングが両サイドから倒れてくるくらい圧倒的だわ

    本当にさねじ伏せてくるんよなー
    もうほら怖いでしょ!こんなん怖いでしょ!
    ってすっごい顔近付けてくるのよ
    近いわ!顔近いわ!って
    すご腕のセールスマンか!っていうね

    もうこんなん読んだら、誰だってスターリンは豚野郎!って思想に染まっちゃうよね
    ある意味洗脳ですわ
    いやスターリンは豚野郎で間違ってないんだけど
    なんかもう有無を言わせない感じがして、小説としてはスゲーんだけど、このスゲーを何にも考えずに受け入れちゃうのもどうなのよ?ともちょっと思うんよなー

    でもロシア革命の風刺をこの物語に仕上げちゃうのって本当にスゲーなー
    スゲーしか言うてないレビュー

    あとオーウェルなんで茨城弁なん?(知らんわ)

    • みんみんさん
      こちらは「こわい」は食べ物が固い時にも使うわ
      おっかないって普通に使ってるからなぁ
      こちらは「こわい」は食べ物が固い時にも使うわ
      おっかないって普通に使ってるからなぁ
      2024/02/12
    • 1Q84O1さん
      最近、こわっぺ過ぎます…
      疲れがとれません…
      使い方合ってるのかな??w
      最近、こわっぺ過ぎます…
      疲れがとれません…
      使い方合ってるのかな??w
      2024/02/12
    • ひまわりめろんさん
      Σ(゚Д゚)
      なんで食べ物が固くて「こわい」のよ!
      まぁ方言なんてなんで?ってのばっかだがw
      Σ(゚Д゚)
      なんで食べ物が固くて「こわい」のよ!
      まぁ方言なんてなんで?ってのばっかだがw
      2024/02/12
  • いろんなバージョンがあるけれど、これは吉田健一訳、ヒグチユウコさんのダークなイラストがふんだんに使われている。吉田健一氏は名前こそ知っていたものの、1912年生まれで吉田茂の長男、暁星中学を卒業後ケンブリッジ大学に留学と、元祖インテリ貴族みたいな人なのだった。まったく時代を感じさせない読みやすい訳で、すごいなあと感心、氏の随筆など他の著作も俄然読みたくなった。お話はまあ予想どおりで、動物の身になって腹立つやら悔しいやら。この本には解説がないので、追ってハヤカワ版もチラ見してみようと思います。

    追記、ハヤカワ版の序文と解説読んだらオーウェルの慧眼ぶりにビックリしたし、今の時代と重なることも多くて震えた

  • 人間の支配に対して反旗を翻したある農園の動物たち。彼らは人間を追い出すことに成功、動物たちの自治が始まる。リーダー格は二匹の豚、スノーボールとナポレオン。二匹は意見を違えることも多いものの当初は上手くやっていたが、やがてナポレオンの巧妙な策略にはめられたスノーボールが失脚・逃亡。農園は、いつしかナポレオンという独裁者の意のままとなり…。

    登場するのがほぼ動物たちだけなので、序盤は牧歌的な雰囲気だったけれど、革命に成功するやいなやそのリーダーが結局は独裁者として民衆を支配下に置き、自分とその取り巻きだけで利益を独占、結局他の動物は人間に支配されてた頃以上の奴隷状態となっていく経過にとてもリアリティがありどんどん怖くなった…。

    まあベタだけれど、つまり動物たちのコミュニティで起こったことはそのまんま人間社会の縮図。ナチスが勃興したときもこんな感じだったんだろうなと思った。ナポレオンはライバルを陥れ、口の上手い豚の仲間スクイーラーをスポークスマンとして他の愚鈍な動物たちを丸め込み、自分たちで決めたルールのみならず過去の出来事までも、どんどん自分に都合よく改竄していく。そして子犬から育てた犬を手懐けて、暴力で威嚇=つまりこれは人間でいうところの軍隊であり独裁者の親衛隊。

    ナポレオンを信じてひたすら働き続けた力持ちの馬ボクサーの最期が悲しかった。そしてそれすらもナポレオンは嘘で塗り固め隠蔽する。自分たちだけが食料や嗜好品を独占、ほかの動物たちは飢えながら働かされ、反抗すれば粛清され…。さすが『1984』のジョージ・オーウェルだけあって、とんだディストピアでした。翻訳は吉田健一。

  • 社会主義や全体主義を風刺したジョージ・オーウェルの名作。ソ連のスターリンを風刺したものだと言われている。
    敵や悪の存在を作ることで全体主義を浸透させやすくしているところや、理想主義がどんどん独裁政治に発展していく様がこの世でも起こりうる感じでゾッとします。
    7つの戒律が、独裁政治を行う豚の都合に合わせて少しずつ修正されていくのが怖いです。1番の働き者だった雄馬のボクサーが屠殺業者に連れて行かれたシーンは一番しんどかったです。

    まだ『動物農場』は動物たちが登場人物になっているおかけで、少しソフトになっているのですが、『1984』では人間の世界で同じようなことが展開していくので読む前からビビってます……名作なのでそちらも早く読みたいと思います。

  • 装丁はかわいい。人間を追い出しても皆がハッピーとはいかないのがなんとも皮肉な作品。

  • ややダークな世界観で動物たちの自治農場がどうなっていくのかを書いた物語。
    各動物のキャラクターがよくあっていて、且つ人間とも共通点があり、引き込まれます。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/781973

  • 本作品もテーマが著者オーウェルの代表作「1984年」の中で描かれる「ニュースピーク」に重なる。

    それは「全体主義の恐怖政治」において、法(作中では7つの掟)や歴史の解釈(作中では追放された元リーダーのスノーボールが活躍した事実)がこっそり政治の中枢で改訂され、それが知識人らによって流布され、大衆が簡略化されたスローガンを連呼して全体主義が浸透していくという流れ。

    資本家の象徴として描かれる元荘園主を追い出して動物による動物のための農場を作ったリーダーのナポレオンだったが、最後は隣接する農園主の人間と密会を重ねるうちに豚のナポレオンが2本足で歩くようになり、服を着るようになり、人間と見分けがつかなくなっていく。
    これは労働者のリーダーのはずのスターリンが資本主義国家の英国や米国首脳と会談を重ねて彼らに同化していく様子を風刺している。

    オーウェルは言う。
    【現代の戦争】とは、支配集団が自国民に対して仕掛けるものであり、戦争の目的は領土の征服やその阻止ではなく『支配構造の保持』にある、と。

    そして法や歴史的解釈、ニュースの真相といった政治的教養は、いかにマスコミやフェイクニュース、プラットフォームのアルゴリズムによって自在にプロパガンダに変貌しうるのかを示している。

  • 岩波文庫と併読。書下ろしの挿絵が気になり読んだ。あとがきもなく、純粋に動物たちが人間から農園を奪取したが、のちに豚が支配者となり恐怖政治に変わっていく物語として読みやすいし挿絵があることで物語に没頭できた。個人的には岩波文庫の単語の選び方(食べものを入れたバケツの王者(中央)/残飯桶の主(岩波))、訳注、付録により、オーウェルの執筆背景と人生を知ることが出来てよかった。しかしなぜスノーホワイトに加担したと自白し処刑される動物が続々と出て来たんだろうか? はめられたのかな? と登場動物の一生を想像しながら読むとゾッとする。恐怖がちりばめられているのに改めて気付く。

  • 相当面白かった!ヒグチユウコさんの挿絵がまた世界観にピタリと合っている。
    直接関係ないけど働きアリと働かないアリの対比は8:2で働きアリだけにしても、やっぱり8:2で働かないアリが出現する話を思い出してしまった。

    登場人物(動物)には世界的有名な独裁者をはじめとしたモデルがいるらしいけれど、人が集まるコミュニティには大なり小なり似たような事が起きてたりもする。そんな事を重ねると豚が読み書きをしたり、馬や牛が草取りをしたりするファンタジーさを通り越して、そんな事はどうでも良くなるくらいリアリティがあり怖い作品。

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著者プロフィール

1903-50 インド・ベンガル生まれ。インド高等文官である父は、アヘンの栽培と販売に従事していた。1歳のときにイギリスに帰国。18歳で今度はビルマに渡る。37年、スペイン内戦に義勇兵として参加。その体験を基に『カタロニア讃歌』を記す。45年『動物農場』を発表。その後、全体主義的ディストピアの世界を描いた『1984年』の執筆に取り掛かる。50年、ロンドンにて死去。

「2018年 『アニマル・ファーム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ジョージ・オーウェルの作品

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