アーサー王伝説紀行: 神秘の城を求めて (中公新書 1062)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121010629

作品紹介・あらすじ

円卓の騎士団の武勇伝。王妃と騎士の恋物語。異界との交流-。恋と冒険、現実と神秘の織りなす華麗な伝説に秘められた遠い過去の記憶と未知の世界の魅惑に誘われて、著者はイギリスに向かう。史実と幻想の狭間に生まれ、さまざまな"霧"に包まれた英雄の実像を求めてイングランド、ウェイルズを巡り、物語に謳われた風景に接し人々と語る旅のなかから、今もイギリス人の心に生きつづけるアーサー王の世界が鮮やかに浮かび上がる。

感想・レビュー・書評

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  • 以下、非常に個人的な事情を書く。

    この本は、約25年前に私が人生ではじめて買った新書である。
    当時、アーサー王界隈にどっぷり浸かっていた学生の私は、ハードカバーの研究書(主に原書房とか原書房とか原書房)は高いので、もっぱら図書館で読み、80年代刊行海外のものを、神田ですこし入手した程度だった。
    そんな私にとって、この本は近所の本屋にもあり、まだしも廉価だったのである。
    喜んで入手し、内容もまあ大体理解していたと思う。

    先月、掃除中に、自分の当時のアーサー王メモ?が偶然目に入り、自分で噴飯ものなのは分かった上で、敢えて目を通してみた。
    自作の[関連本リスト]があり、当然この本も載っていた。そこには、高校生のころ、イギリスに旅行したとき、ずっとこれを読んでいた、とある。
    (たしかに、井村君江の岩波文庫のやつと、この本を持ってイギリスに行った気がする。しかし実際は、現地ではもっぱら井村さんの方を読んでたような。それもこれも、文庫だから、新書だから。改めて旅行中にも持ち運べる本ってすごいよな、と文庫の力を思った。この新書の内容をチラ見した姉からは「なんかこの本、自己陶酔的だね」と言われたのも覚えてる…。)

    今回、その関連本リストと、今の本棚を見比べ、ハードカバー以外の研究書は、約10年前の断捨離祭りでほとんど処分したんだなと気づいた。
    そのときには、アーサー王のことは、もう自分では黒歴史だと思った。(!)
    でも時間が経ち、蔵書スペースと時間とお金を増やせるようになったいま、これらのものを紙の本で入手できるのもそろそろ最後の時期では、と気づいた。
    というわけで、一度処分した本を再度買うという、ちょっと悲しくも意味のわからん体験をまたもやったわけ。

    そしてさっそく再読。懐かしい!
    やはり十代に読んだ本はよく覚えている。
    内容は、アーサー王伝説の成り立ち、あらましの紹介、そしてこの本ならではの、実際の場所を特定しようという記録。

    実はここまで書いてる私自身は、アーサー王伝説の史実か否かとか、実在のどこがモデルか、は全然興味がなくて。
    ふーんと思いながらまあ読んだ。
    ゆかりの土地がたくさんありそう、と、そりゃあそうだよね。
    日本でいえば、行基や義経や蝉丸や芭蕉や夢二みたいなもんか。

    今回、再読して一番ううむ、と共感できたのは、後書きだった。
    戦後1953年に夫婦でアメリカに留学したとき、物質的に豊かなアメリカに感動し、下宿の小さな白黒テレビが宝物のように思えたということ。
    アーサー王伝説ゆかりの土地を訪問したいとずっと思っていたが、仕事と家庭を持つ女性がそれを実現するのは難しくて、実現まで30年以上掛かったこと。

    この本の刊行は1992年。
    著者は1929年生まれで、現在のところ、おそらく存命なことも今回初めて知った。

    余談ながら、この本を読んで、当時うっすら、右翼っぽさを感じていたのを思い出した。
    まあ中公だしな、という程度だったけど、今回著者の他の著作物のタイトルを見て、もっとそれを感じたし、著者の父は仏教系政治保守派だったことを知る。
    こういう匂いは、どうして発せられるのかなあと、どうでも良いことを思った。
    ※本書には全然関係ない話です、すみません。
    ※※追記。ブクログでみる著者 加藤恭子 さんは、同姓同名の複数の人が混ざってしまっているようだ。少なくとも横国大出身のPR会社の人は違う人だ。早稲田卒で仏文の人でアメリカや英語や星の王子さま本を書いているのが、この加藤さんですよね。

  • w

  • 地図とか写真とかもっと載せた本にすべきだろうよ。

  • 類似書と同じく、もう少しアーサー王伝説の成り立ちや背景に踏み込んだものかと思ったら、本当に普通の紀行文だった。
    個人的にあった出来事に寄り過ぎていてあんまり資料的な価値が感じられなかった。

  • イギリスのアーサー王伝説の土地に旅行に行きたい人には必読の書。<br />
    なんたって、アーサリアンの聖地(笑)ティンタジェルもグラストンベリーも、「地球の歩き方イギリス」にすら載ってないのだ。ネットが普及する前は、マジでこの本が唯一の手がかりでした。雰囲気を伝える紀行文はすぐにでも旅行に行きたくなる。交通データは少し古いが、その辺はネットで最新情報をチェックしましょう。<br />
    旅行時に著者が熟年世代なためか、歩きの距離などすごく大変そうに書かれていた部分が、わたしにはたいしたことなかったり、といったギャップも少しある。もっとも逆にかかれてたら余計に大変だったろうから、かえってよかった。

  • とにかく面白かったです!
    ワクワクしながらいっきに
    読んでしまいました
    アーサー王ご存知の方も
    知らない方もお薦めです

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著者プロフィール

加藤 恭子 (かとう きょうこ)
1929年、東京に生まれる。
1953年、早稲田大学文学部仏文科卒業と同時に渡米・留学。
1957年、ワシントン大学修士号。フランス留学、再渡米を経て1961年、帰国。1965年、早稲田大学大学院博士課程修了。1965年からマサチューセッツ大学。
1973年から上智大学講師。専門はフランス文学。
現在 (財)地域社会研究所理事、「加藤恭子ノンフィクション・グループ」代表。
第43回日本エッセイスト・クラブ賞、第11回ヨゼフ・ロゲンドルフ賞、
第65回文藝春秋読者賞受賞。
著書『英語を学ぶなら、こんなふうに』(NHKブックス)
『アーサー王伝説紀行』(中公新書)
『「星の王子さま」をフランス語で読む』(ちくま学芸文庫)
『やさしい英語のリスニング』(ジャパンタイムズ)
『日本を愛した科学者—スタンレー・ベネットの生涯』(ジャパンタイムズ)
『老後を自立して』(NHKブックス)
『田島道治—昭和に「奉公」した生涯』(阪急コミュニケーションズ)
『昭和天皇「謝罪詔勅草稿」の発見』(文藝春秋)
『ニューイングランドの民話』(共著、玉川大学出版部)
『直読英語の技術』(阪急コミュニケーションズ)
『昭和天皇と田島道治と吉田茂—初代宮内庁長官の日記と文書から』(人文書館)など

「2006年 『昭和天皇と田島道治と吉田茂』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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