イノベーション戦略の論理 - 確率の経営とは何か (中公新書 2260)
- 中央公論新社 (2014年3月24日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121022608
作品紹介・あらすじ
日本経済再生の鍵とされるイノベーション。だが、膨大なお金と時間をつぎ込んでも革新的な技術やサービスが生まれるとは限らず、現実には失敗に終わる可能性が高い。イノベーションを生みやすい組織にするにはどうしたらよいのか。本書では、米国流コーポレート・ガバナンス論に基づく短期的な業績の重視がむしろマイナスであることを指摘し、長期的にイノベーションの成功確率を高める経営戦略を具体的に示す。
感想・レビュー・書評
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第1章 確率の経営―イノベーション確率最大化基準
適応は適応力を排除
無力な合理性
結果重視→確率重視
結果合理性→プロセス合理性
イノベーション確率の最大化
組織能力構築型戦略へ
経営の本質は自転車操業
第2章 イノベーション確率とは
マクロから出発
大数の法則
確率管理
ナイト流不確実性への対処
決定を遅らせる
目利きの育成
第3章 イノベーション・ドメインの設定―探索領域を決定する
技術ダイナミックス促進
技術の階層
要素技術への分解
技術階層の硬直化
イノベーション・ドメイン
技術動向の予測
第4章 探索のデザイン―探索の頻度と精度を高める
インセンティブ設定
戦略的曖昧さの導入
失敗を評価する文化
不確実性のいトレード・オフ
探索モードのデザイン
第5章 探索の焦点を管理する
イノベーションの焦点化装置
乗法分解
加法分解
分解の仕方→イノベーション
限界生産性と焦点との距離
知識の地図を描く
名誉で報いる
第6章 イノベーション戦略の実行―活用から構築へ
断続的競争優位の獲得
コーポレート・ガバナンス強化の弊害
間接イノベーション戦略の実行
理念合理性という決断の基軸
空気と水のバランス詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
確率の論理から経営を考える視点が新鮮。今後、結論の部分で述べられた理念合理性の概念の事例を伴った詳述を期待する。
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なんだか論点がぼやけている。要点のまとめが欲しい。他人の言葉を引用してあたかも正論的な語り口にしているとしか思えない。もっと理論に基づいた分析を期待する。
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戦略としてのイノベーションを語る。
実に手法は多様。
だが、その確率をあげる手を選択しないといけないのが伝わる。
技術の本質は知識。その背後に能力。 -
イノベーション戦略を経済学で解説。
技術をボトルネックか並列か、コア/周辺技術、などで分け、それぞれの探索費用、期待リターンを出して戦略を決定することが基本。前提となる確率は主観的でも構わないし、事後検証可能なものとする。
確率の高いと思われるものを数打つことと事後的に検証フィードバックできることが基本となる。 -
8月新着
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勉強になりました。
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イノベーションを生むために時間とお金を投じても失敗に終わる可能性があり不確実性が高い。本書は、イノベーションを生みやすい組織にしていくにはどうすればよいか、結構わかりやすくまとめられていて、参考になる。フランク・ナイトの不確実性、組織能力構築型戦略、技術の階層、知識の地図など、理解のポイントがいくつかある。また、事例も適切である。
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イノベーション成功の確率を高めるとして計算式を含む論理展開をするも、数多くやれ、時間を掛けて修正しろ、と当たり前のようなところに着地。長期的な視野に立ちイノベーションを生みやすい組織を作れには、同感するも、これこそが難しいのだな^^;;
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イノベーションは辺境から生じる。イノベーションはその業界の主要企業からではなく、新規参入した企業や新興企業などが主な担い手となる。
技術とは結局のところ人であり、その人が持つ能力に大きく依存する。特にイノベーションの段階では、鍵となるのは個人的能力である。