ラテンアメリカ文学入門 - ボルヘス、ガルシア・マルケスから新世代の旗手まで (中公新書 2404)
- 中央公論新社 (2016年10月19日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121024046
作品紹介・あらすじ
文学は社会にいかなる影響を与えたのか-一九六〇〜七〇年代に旋風を巻き起こし、世界に強い衝撃をもたらしたラテンアメリカ文学。その潮流はどのように生まれ、いかなる軌跡をたどったのか。ボルヘス、ガルシア・マルケス、バルガス・ジョサ、ボラーニョら作家の活動と作品はもとより、背景となる歴史、世相、出版社の販売戦略なども描き出す。世界的ブーム後の新世代の台頭にも迫った本書は、広大で肥沃な新しい世界へ読者を誘うだろう。ブックガイドにも最適。
感想・レビュー・書評
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識字率の低かった戦前〜フエンテスなどの流行〜70年代のマジックリアリズム大ヒット〜90年代の玉石混交時代〜00年代以降の新世代と、普通に勉強になってしまいました。もっとも知っている名前ばかりだったので、どうやら思ったよりその界隈は狭いのだろう。
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1960〜70年代に旋風を巻き起こし、世界に強い衝撃をもたらしたラテンアメリカ文学。その潮流はどのように生まれ、どんな軌跡を辿ったのか。作家らの活動と作品はもとより、歴史、世相、出版社の販売戦略なども描き出す。【「TRC MARC」の商品解説】
関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB40243649 -
ボルヘス、マルシア•ガルシアに興味があり、手に取った本。文学の歴史には、歴史や社会状況が反映されており、その文脈の中で、文学的な試行錯誤が行われてきたことがわかった。
ボラーニョの作品を読んでみたくなった。 -
この本のなかで、傑作と言われてる文学作品は信頼できそうな気がする、、
読み進めていくうちにその想いは確信に変わった。
ここ40年くらいでベストセラー、世界中で売れた(わりと崇高な作品とされているもの)小説であっても、この本のなかでは辛口で評価されてたりする。
そしてラテンアメリカ文学の中で欠かせない文豪たち(ガルシアマルケスやイザベルアジャンテ他)の作品の中にも良し悪しがあること、わたし自身もこれはどうなのか?と思ってた作品に、寺尾先生が同じようなことを感じていらしてる箇所(偉そうにすみません!)もあって、ますます信用度アップ。
ラテンアメリカ文学の歴史やブームを牽引した作者たちの裏話なども盛り込まれています。
ラテンアメリカ文学好きにはかなりオススメな本かなと。 -
●近現代のラテンアメリカの歴史を学びつつ、ラテンアメリカ文学史についてざっくりと知ることができた。
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ラテンアメリカ文学というとマジックリアリズムしか知らなかったのだが,本書でその前後の文脈が理解できる。ブームがある種の陳腐化を招くところはどこも同じだなと思いながら読み進めた。
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漠然と読んでいたラテンアメリカ文学が整理されると、いろいろと目からウロコ。G・マルケスの百年の孤独が、当時のラテンアメリカ文学界にない土着の民族性を協調した「古臭さ」がウケて世界的にブレイクし、それに引っ張られてボルヘスやリョサ(本書ではジョサ表記)が次々スターになり、プイグなんかも恩恵を受け…そうだったのか!「ブームの五人衆」がマルケス、リョサ、コルタサル、フエンテス、ドノソ。
読みどころは筆者寺尾氏の辛口批評だ。ラテンアメリカ文学ってマジックリアリズム面白いよね、という甘いイメージを持っていると全否定される。初心者が読むとバイヤスがかるんじゃないかと思うくらいだ。
五人衆も、初期の百年の孤独や都会と犬どもなどは評価するが、ブームを経て文学への関心を失いろくなものを書かなくなる、などとさらっと書いている。アジェンデなど見る影もない。読者層が劣化・大衆化したからうけたのであり、「芸術的・学術的価値を持つ作品は全く書いていない」。アルケミスト、赤い薔薇ソースなどのベストセラー本は軒並みばっさり。
大人気のボラーニョすら、2666は「分厚い小説をありがたがるアメリカ人読者から熱烈な指示を受けた」が、「難解な作品にはついていけないが低俗なベストセラーには満足できない読者が、カルト集団のようになんでも闇雲に崇拝する」。セサル・アイラは「玉石混合どころか玉より石を生産しており書けば書くほど評判を落としている」。
まずは、百年の孤独(読んだ)、都会と犬ども、夜のみだらな鳥 コルタサルの短編など、評価されている本から読むのが良さそう。
最近ではキューバのレオナルド・パドゥーラ「犬を愛した男」バスケス「廃虚の形」(ただし名声は駄作)が「地図と領土」や「HHhH」に匹敵するくらい良いと。翻訳が待たれる。 -
ここ100年くらいのラテンアメリカ、スペイン語圏の小説を巡る状況と背景を理解するのに、大変役に立つ一冊です。著者ならではの毒舌的!表現も楽しめます。
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なるほど、ブラジル人作家を始め、ラテンアメリカの作家が少ない理由が分かった。