風塵抄 (中公文庫 し 6-36)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (345ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122021112

作品紹介・あらすじ

一九八六-九一年、身近な話題とともに、日本の土地問題、解体した「ソ連」の将来にのこる問題にいたる、激しく動く現代世界と人間を省察。世間ばなしのなかに「恒心」を語る、珠玉の随想集。

感想・レビュー・書評

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  • 〝「風塵抄」とは、細切れの世間話と解してもらえれば有難い〟と司馬遼太郎氏のあとがきにあるように、日常の身近な話題に交えて国内外の前代未聞の事件、動乱の現代社会と人間、ソ連の将来や日本の土地問題、天皇と統帥権など、多岐にわたり考察された64編+1の随筆集。 (1986-91年産経新聞朝刊に掲載分)

  • ▼司馬遼太郎さんが1986-1991期間に産経新聞でツキイチ掲載した時評風?あるいはなんでもあり?な短文を、まとめたもの。なんせ短いので読みやすい反面、ともすれば「オヤジが世相になんか言ってるよ」というとりとめなく感じられる回も。ただ総論、面白かった。ただ、いわゆる「司馬ファン」以外の人にとってどうかは甚だ疑問。

    ▼印象に残ったこと。司馬さんが何かを新たに知ろう、勉強しようと思ったとき。必ずやるのは、「そのことについての、子供向けの本を探して何冊か読む。ひとつ良書にめぐり会えれば、それが背骨になって進む」。これは強く同感。

    ▼印象に残ったこと。具体的な平和についてで、おそらく要約すると「平和平和と念仏唱えてるだけだと平和は維持できない」というような。文で引用すると、「平和を維持するためには、人脂のべたつくような手練手管が要る」。これちょっと、大いに納得。

  • 本の帯には以下のように書かれています。
    世間ばなしのなかに「恒心」を語る珠玉の随筆集
    恒心とはすなおで不動のものという意味である。
    ひとびとに恒心がなければ、社会はくずれる。――著者
    内容ですが、『産経新聞』1986年5月〜1988年12月、1989年2月〜1991年9月に月一回、朝刊に掲載されたもの。
    また、「空に徹しぬいた偉大さ」は『産経新聞』1989年1月8日朝刊に掲載されたものです。
    ということで、その当時社会で注目を浴びた社会現象を司馬さんがユーモアとアイロニーでもって思いを綴ったものであり、当時の土地狂乱に関するものがある。
    私がとっても参考になったのは「47花祭」でして、大乗仏教の本質を実に解りやすく示してくれています。
    人生を過ごすうえで、司馬さんの言葉を指針として生きてきましたが、歳を重ね、また再読するということのありがたさを実感した「風塵抄」でした。
    社会現象をその時の言葉で分析評価されているのですが、本質論からアプローチすれば、普遍的な言葉になるということを改めて勉強することができました(感謝)。

  • ロシアのことなど色褪せない視点はさすが。

  • 「司馬遼太郎」の随筆集『風塵抄(ふうじんしよう)』を読みました。

    「司馬遼太郎」作品は、4年前に読んだ『この国のかたち(一)』以来ですね。

    -----story-------------
    一九八六―九一年、身近な話題とともに、日本の土地問題、解体した「ソ連」の将来にのこる問題にいたる、激しく動く現代世界と人間を省察。
    世間ばなしのなかに「恒心」を語る、珠玉の随想集。
    -----------------------

    産経新聞の朝刊に連載された作品を中心に65篇の随筆が収録されています。

     ■1.都市色彩の中の赤
     ■2.言語の魅力
     ■3.正直
     ■4.高貴なコドモ
     ■5.四十の関所
     ■6.自己について
     ■7.ことばづかい
     ■8.顔を振る話
     ■9.男の化粧
     ■10.受験の世
     ■11.やっちゃん
     ■12.スクリーン
     ■13.”独学”のすすめ
     ■14.おばあさん
     ■15.風邪ひき論
     ■16.電車と夢想
     ■17.握手の文化
     ■18.熱いフライパン
     ■19.歯と文明
     ■20.呼び方の行儀
     ■21.職業ドライバー
     ■22.歩き方
     ■23.イースト菌と儀式
     ■24.おサルの学校
     ■25.殿と様と奥様
     ■26.名前を考える
     ■27.窓をあけて
     ■28.表現法と胡瓜
     ■29.心に素朴を
     ■30.よき象徴を
     ■31.”聴く”と”話す”
     ■32.都会と田舎
     ■33.自助と独立
     ■34.威張る話
     ■35.若葉と新学期
     ■36.”宇和島へゆきたい”
     ■37.”公”と”私”
     ■38.たかが身長のために
     ■39.日本というものの把握を
     ■40.靴を脱ぐ話
     ■41.金太郎の自由
     ■42.国土
     ■43.差別
     ■44.日本的感性
     ■45.海岸砂丘
     ■46.カセット人間
     ■47.花祭
     ■48.大丈夫でしょうか
     ■49.好き
     ■50.お天気屋
     ■51.変る
     ■52.病院
     ■53.忠恕のみ
     ■54.スマート
     ■55.物怪(もののけ)
     ■56.新について
     ■57.石油
     ■58.平和
     ■59.胸の中
     ■60.大きな荷物
     ■61.ピサロ
     ■62.悲しみ
     ■63.常人の国
     ■64.大領土
     ■空に徹しぬいた偉大さ
     ■あとがき

    日本や日本人の在り方について考えさせられましたね。

    視点が広がり、人間として成長する過程においてヒントになる言葉が幾つかありました。

    特に印象に残っているのは、『5.四十の関所』、『12.スクリーン』、『33.自助と独立』、『40.靴を脱ぐ話』、『42.国土』、『48.大丈夫でしょうか』、『58.平和』ですね。

    日本人としてのモノの見方、考え方を養えた感じがします。

  • 2020.10.1(木)¥250(-20%)+税。
    2020.10.1(木)。

  • 短い文章の中に著者の考え、想いがぎゅっと詰まっており考えさせられます。

  • 何やら宗教書のような響きをもつ書名であるが文字通り拾ってみるそうではないかもしれない…、そう思いつつ読み進めるとすぐにそのタネ明かしがされるのである。幸いにもご本人がその定義をあとがきに書き記しておいてくださっている。

     「題の風塵というのは、いうまでもなく世間ということである。
      風塵抄とは、細切れの世間ばなしと解してもらえばありがたい。」

    なにしろ読みやすい。通勤のMTAの中ですらすらと数抄はとおり抜けられる。ただその軽妙な話運びの中にも大きなテーマを放り込んでくれているものもある。最終抄は平成元年のヒトコマにて幕を閉じる。もう四半世紀も前になるその頃にシバさんがおもうたことのコレクション。

    1日5分しか本を読む時間を割けない人がいたとしたらこの本を薦めてみようか。そんな気にもさせられた。

  • 18/11/17読了

  •  産経新聞に概ね月1回の頻度で連載されたエッセイ。1986年5月から1991年9月まで。簡潔・明瞭な文体なので、中高生でも味読可能と思う。なお、続編に「風塵抄(二)」あり。

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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