孔子伝 改版 (中公文庫 B 20-5 BIBLIO)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122041608

感想・レビュー・書評

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  • 字統や字訓など子供の名前を考えるときに参考にさせてもらったが、今回、その著者の書である孔子伝を読んでみた。

    孔子の生きた時代の事が述べられているが、う~ん、歴史小説に慣れている自分としては、少し読むのにしんどかった。特に、歴史小説では主人公をたてて物語が進むが、本書は、延々と孔子はどのような人であったかが述べられており、孔子を研究する人には良いのだろうが、目の前に孔子の姿が浮かんでくるといったたぐいの小説ではない。これはこれでよいのだろうが。。。

    孔子は理想主義者であり、それがゆえにしばしば挫折して成功することはなかった。世に出てからの孔子は、ほとんど挫折と漂泊のうちにすごしている。しかしそれでも弟子たちはそのもとを離れることはなかったという。孔子の人格は、孔子が生きている時代で出来上がったものではない。おかしな話だが。孔子の像が死後にも発展し、次第に孔子像が書き改められ、やがて聖人君子の像にふさわしい粉飾が加えられている。その仕上げを行った者が司馬遷だ。その聖像は、その後2千年にもわたり中国の封建主義的な官僚制国家の守り神もしくは呪縛になった。

    孔子はソクラテスと同じように、何の著書も残さなかったため、その思想は、その言動を伝える弟子達の文章によって知るほかない。ゆえに、孔子は、その伝記の上にのみ存在し、『論語』のうちに、そのすべてが伝えられているといえる。

    孔子は下級の巫祝社会に生まれ育ったといわれている。孔子がようやく世上に姿を現すのは、おそらく40もかなり過ぎてからのことだろう。『四十、五十にして聞こゆるなきは、すなはちまた畏るるに足らざるのみ』という言葉は、その体験から出たものであろう。このような孔子が一躍にして世の人の注目をあびるようになったのは、魯国内に内乱的な状態が発生したときである。

    儒教は孔子によって組織された。その後、2千年にわたって中国における思想の伝統を形成した。伝統とは民族の歴史の場において、つねに普遍性を持つもものでなければならない。政治や道徳、その他の人間的な生き方のあらゆる領域に規範的な意味においてはたらくもの、それが伝統というべきものだ。儒教の起源が説かれる場合、多くは『詩』『書』などの古典の学があげられる。しかしそれは民族の精神的様式として一般化しうるものではなかろう。それが宗教として成立したのはなぜか。遠い過去の伝承に発し、民族の精神的な営みの古代的集成として伝記などから自然に導かれたものなのだろうか。古代の思想は要約すれば、すべて神と人との関係という問題から生まれている。原始的な信仰から思想が生まれ、また宗教が生まれるのだ。そんな宗教の中の儒教の特徴としては、極めて実践性の強い思想として成立したということだ。それはおそらく孔子が巫祝たちの聖職者によって伝えられる古伝承の実習を通じて、その精神的様式の意味を確かめようとしたからであろう。

    孔子は周公を理想とした。それは周公の子孫である魯国に伝えられた礼教的文化が周公の創始するところであるとされるとことから、周公旦を理想としたのであろう。

  • やっぱり難しかった。
    『論語』は通読していないものの、ある程度は読んできたし、解説書も何種類も読んだ。
    井上靖『孔子』なども読んだというのに、何だか、ちっとも孔子のことが分かっていないのではないか、と不安に駆られた。

    本書のエッセンスは、第五章の最後の節、「大なるかな、孔子」に集約されている、と感じる。
    ノモス的社会が成り立つ中で、「仁」という一つの理想主義を掲げた孔子は受け入れられることなく終った。
    強烈に自己主張する道をとらず、自分の思想を探求するために「巻懐の人」となることを選んだ。
    ここが、白川さんの考える、孔子の偉大さだと思われる。

    孔子の生涯について述べられているのは、第三章までが中心。
    巫祝の子であった孔子が、亡命生活の中で磨かれて、思想家として大成するものの、顔回を亡くしたことで、思想的な後継者を喪ったことが書かれていた。

    第四章は、後代の孔子の批判者として世に現れる墨家と、荘子について取り上げられていた。
    個人的にはこの第四章が最も読みやすかった。
    「義」を掲げ、儒家の「仁」の狭量さを批判して「兼愛」を主張する墨家は、白川さんに言わせると、儒家の「仁」の概念と似ている、と。
    一方、絶対論で知られる荘周(荘子)は、むしろ顔回経由の儒家思想に近い思想だとされていた。
    むしろ孟子と同時代の孟子への強烈な批判があって、儒家と対立したと考えているようだ。
    孟子は・・・あまり評価が高くないようだ。

  • 松丸本舗おすすめ本。孔子の人生にスポットをあてた作品。

  • 展示期間終了後の配架場所は、1階 学士力支援図書コーナー 請求記号:124.12//Sh83

  • ト. 2010.8.20

    孔子論語だけで無く、その時代の背景までかいてある
    後日、図書館に行ったら、白川さんってすごい人だと知った

  • 未読。11月15日購入。

  • おもしろいけれど、自分には難しいです。要再読。

  • これは気になる!井上さんのも良かったのですが、白川さんの孔子、気になります。

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