西の善き魔女VI- 闇の左手 (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
3.83
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本棚登録 : 911
感想 : 71
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122045675

作品紹介・あらすじ

「世界の果ての壁」の謎を追うルーンとフィリエル、ユニコーンを駆り竜退治に赴くユーシス。彼らが辿り着いた南の地には、東の帝国の侵略軍が-グラールの危機に、フィリエルは女王と対峙するため聖神殿へ乗り込む。賢者とは?吟遊詩人とは?わらべ歌や童話に隠された「世界」の秘密がついに明かされる。

感想・レビュー・書評

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  • ケインがいいキャラだったなぁ。

    ただ、物語は、随分と投げやりな女王様を前にみんなで頑張るぞーの展開に残念感が否めない。

    ここまでのあーだこーだ、踏まえてだれかが女王にはなってほしかったなぁ。

    2022.7.17
    96

  • あれ?終わりな感じ?あと2冊あるのだけれど……。
    (後の2冊は番外編みたいな感じかな?)

    ルーンは、いい意味で変わったなぁと。(変わっていないのかもしれないけれど、フィリエルへの思いゆえの行動がちゃんと見えている感じで)

    フィリエルは、いい意味で変わらず。(環境などかなり変わったのに、心の中にある思いと行動は変わることなく)

    それがとても良かったです。

  • この巻は面白かった。
    アデイルじゃないけど、ユーシスとルーンの関係がいいなぁと思う。明るくて裏のない性格のユーシスだからこそ、ルーンも心を開いているんだろうな。(他の人よりましという程度だけど)

    また最後の方のフィリエルは痛快だった。フィリエルは自分の事しか考えてない所が苦手だったけど、だんだんと周りが見えるようになってきたなと思う。伯爵にちゃんとお礼を言いに行くところは良かった。

    また、レアンドラもアデイルも立場は違えど言っている事は正しいと思っていたので、最後3人で女王になる選択肢が出てきたのにはなるほどと思った。この二人だけだと対立が激しそうなので、自由気ままなフィリエルが入ると確かにバランスが良い。それにしてもあでやかでにぎやかな3人組だ。

    3人の女王が成立することにより、今までの女王制度に変化があるとよいなと思う。アデイルには是非ユーシスと幸せになってもらいたい。

    しかしファンタジーと見せかけてSFだったとは…。
    壁の意味には驚いた。世界遺産の保護区みたいなものかな。

    後2冊は外伝らしいので、誰が何をするのか楽しみ。

  • ルーンに対するフィリエルの過保護というか、お節介ぶりは健在すぎて、ちょっとお腹いっぱいになってしまった6巻。
    結末は駆け足でドタバタしちゃって、なんだか消化不良。
    残り2冊の外伝で、もう少し何かしらを掘り下げてくれればいいのだけれど、其処此処に腐女子の雰囲気が漂っていて、このままじゃ私のなかでは、軽薄な印象しか残らない。

  • 児童書風ハードカバーの4巻はいぜんに新書版で出たのの5巻に当たるのかな?外伝も入っているので要注意。
    今はコミックもビデオ?も出ているようだし、検索してもややこしくなってますね。
    原作はライトノベル風の文体で、今の子が読みやすいように書かれているのですが、中身はけっこう強烈で、一作目の印象が強すぎて〜しばらく続きを読めないほどでした。
    やっとここまでたどり着きました…一作目のトラウマ的な問題がここに来てかなり解決、全体像が見えるような気になります。

  • 2023年7月29日購入。

  • 気怠い読後感の中で、この文章を書きました。
    最高に上質な物語の中を通り過ぎたあとに残る、あの感覚です。

    日本人作家の書く、Hi-fantasyは少ないのが現実と思います。
    それはたぶん、この環境によるものが多いのではないでしょうか。
    空想に遊ぶまでもなく、取り巻く世界が美しいから。
    季節に合わせて、くるくると移り変わる景色がすぐ傍らにあるから。
    手を伸ばせば感じられる場所に、「魔法」が遍在しているから。

    だからこそ、極上のfantasyが産まれる土壌でもあるのだな、と。
    本作を読んで、それがよく分かったような気がしています。

    全8巻からなる、長大な物語です。
    しかし、その長さは、読書中には全く感じません。
    読後に、もう終わりなの?と思ってしまうほどです。
    けれども、改めて振り返れば、いかに多くのsceneを経たのか思い当たります。
    とても濃いお話なのにも関わらず、あくまでも優雅で華麗で、おまけに軽い。

    作者である、かの「勾玉三部作」の萩原規子さん。
    本作でも、その描写の素晴らしさは健在です。
    登場人物、状況、環境、風景、心情、会話、‥‥。
    その瞬間に存在しているものを、活き活きとありのままに写し取ったかのようです。
    実際にはページを繰っていても、読者の目は、グラールの風景を観ているのです。
    そこで繰り広げられる沢山のdramaを、多くの人物と共に体験できるのです。
    これこそが、物語を読む悦楽に他ならないと思います。

    そして何よりも、storyの良さ!
    ただのlove storyに落ち込みそうでありながら、それを簡単に越えてます。
    人と人とを繋ぐ関係性の意味と、その力。
    沢山のthemeを内包していながら、決してぶれることのない方向性。
    あちこちに散りばめられているhumorのsenseも卓越しています。
    思わず微笑んでしまうようなsceneが、数え切れないほど出てきます。

    心から、「信頼」できる作家さんだなぁ、と改めて思いました。
    「終わらせ方」があまりにも潔すぎて、続編が無性に読みたいです。
    フィリエルとルーンのその後はもちろん、この世界がどうなっていくのか。
    それは明らかに、この物語にとって蛇足であることは間違いない。
    けれども、ただのミーハーな気持ちから、続きを知りたいと思ってしまいます。
    きっと、この物語が終わって欲しくない、と言う気持ちの表れなのでしょうね。

  • これで本編は終了。
    壁が出てきた辺りで薄々そうではないかと思っていたけれど、ファンタジーというよりはSF。それも最新の技術を駆使している世界。
    女王候補争いはフィリエルを含めて三人の擁立の方向へ。
    アデイルとユーシスは、いつかお互いの気持ちを確かめ合う日が来るのかどうか。
    いつまでたっても二人になれないフィリエルとルーンは、先へ進むのも時間がかかりそう。
    ところでユニコーンはそんなに頭数いたのかと。このユニコーンの存在が、ただのSFとひとくくりにできないファンタジー要素を含んでいて、最後まで読者の目をそらせ続ける要素となったのかもしれない。

  • 中世ファンタジーの魔法をぶち壊すメタ展開に煮え切らない3人なかよし展開。ブリギオンもあっけないし。これまでが良かっただけに自分は不満ですよ!

  • いやはや、まさかこんなSFのような結末を迎えるとは…。母星を滅ぼしてしまった人々が新たに建国した女王制の国…それがグラールの正体。この巻で一気に広がり、一気に収束したような。フィリエルもなんらかの形で女王になるんだろうとは思っていたけど、やっぱり荻原さんには脱帽です。

    「(前略)動物も植物も滅ぼして、やがてはみずからも住めない環境を作り出してしまう。(後略)」今の地球も、そんな危機に向かいつつあるのではないだろうか。思想や研究の自由と、それに伴う危険。人間の支配欲や権利欲。彼女たちが立ち向かわなければいけない問題は、今の私たちにも言えることだ。それでも、したたかでたくましい彼女たちなら、なんとかしてしまうのではないかと思える。

    グラールの秘密が明かされたとはいえ、気になることはたくさん。最後まで登場しなかったディー博士と、謎に包まれたエディリーン。アデイルとユーシスはどうなるの?イグレイントヴィンセントは?生徒会三人娘は?フィーリの記憶とは!?母と同じ道をたどるかに見えたフィリエル。紆余曲折を経て、今後彼女はどんな選択をしていくのか。やっぱり、まだまだ目が離せない…!

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著者プロフィール

荻原規子・東京生まれ。早稲田大学卒。『空色勾玉』でデビュー。以来、ファンタジー作家として活躍。2006年『風神秘抄』(徳間書店)で小学館児童出版文化賞、産経児童出版文化賞(JR賞)、日本児童文学者協会賞を受賞。著作に「西の良き魔女」シリーズ、「RDGレッドデータガール」シリーズ(KADOKAWA)『あまねく神竜住まう国』(徳間書店)「荻原規子の源氏物語」完訳シリーズ(理論社)、他多数。

「2021年 『エチュード春一番 第三曲 幻想組曲 [狼]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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