- Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122056398
感想・レビュー・書評
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ミステリ&ホラー
表題作は初出が93年なのでちょうど20年前。
それを含む6編の短編集。
多くのミステリがこの間に刊行され、映画やドラマが作られて来た。
そのため、ある程度慣れ親しんでいれば、かなり早く結末の予想がつくものもある。
『隣の殺人』はそのひとつ。
とは言っても、ちょっとした刺激を求めて想像力を働かす主人公の姿は不気味さがある。
面白かったのが『恋人よ』。
これは一人芝居にもできそうだし、熱帯夜の百物語にもいい。
じわじわとくるこの怖さはたまらない。
今は固定電話に吹き込むよりも携帯、スマホに伝言を残すことの方が多いかもしれない。
メールでこんな内容がきたらこわい、が、やはり人の声が醸し出すものというのは文ではなかなか伝わらない。
『生ける屍の殺人』は恐ろしいは恐ろしいが、個人的にはあまり面白い終わりかたではなかった。
あまり本物感がない。
表題作は著者もお気に入りだったという作品。
著者本人が登場するのでちょっと面白い趣向だ。
ひねっていて面白いというよりは、発想が面白い。
素人っぽい、そんな印象も受けるがそこを愉快に感じられるかで好き嫌いがでてくるかもしれない。
全体的な感想としては、やや古い印象だ。
それは初めにも書いたように20年という時の流れもあるだろうし、似たような題材のものがたくさんあるせいかもしれない。
あるいは刺激というものは慣れによって、より強いものを求める傾向にあるからかもしれない。
それでも、アンティークの趣を感じさせるものもある。
亡くなった著者に敬意を示して。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
タイトルから綾辻氏の作品を連想しましたが、もちろん全くの別物です。
短編集になっているのがちょっと新鮮な感じしました。
それぞれの話に繋がりはなくて、いろんな話があるので1冊読み終えるとなかなか満足出来ます。
中でもタイトルにもなっている『時鐘館の殺人』は面白く読む事が出来ました。
作家と編集者の駆け引きが面白かったです。 -
今邑さんの短編集!!
長編よりも短編の方が今邑さんは私好みなので即購入&読破。
私の勝手なランキングを付けてみました。
6位「あの子はだあれ」
・・・世にも奇妙でドラマ化したら無性に感動しそうだな、と思った作品。少し怖くて、ちょっぴり切ない大人の短編。
5位「隣の殺人」
・・・オチが途中で読めたので5位。ただオチが分かったとしてもその文章の中の不自然さから勝手に一人でふるえちゃうところは、さすが今邑さんだよね。
4位「恋人よ」
・・・今は携帯電話が普及しているけどその前までは家の電話でみんな連絡を取り合っていたんだなーとしみじみ。もし家に一人で帰ってきて留守電のランプがいつも点いていたらかなり怖い。。ブラックジョークで締められていたのでちょっと残念、で4位。途中までの展開はゾクゾクして好き。
3位「黒白の反転」
・・・話の設定としてはそれほど好きではないし、想像力が働かなかったけど堂々の3位。オチが2段構えになっていることと、一緒に推理が楽しめたからかなぁ。あまちない設定だったのも良かった。
2位「時鐘館の殺人」
・・・表題作だけあって面白い!帯になっているときはそれほど魅力を感じる設定じゃないなぁと思ったけど、そうか劇中劇だったのか。作者本人の名前が出ているところも面白い。最後のオチで、作者の今邑さんにも、この話の中の彼女にも2倍やられたーって感じた。
1位「生ける屍の殺人」
・・・一番初めの作品だったからかなぁ、インパクトが強くてすごく好きな設定だった。場末のスナックとかいいねいいね。ほっとしての束の間・・。ホラー!!ミステリーにみせかけてホラー!うん、望むところだね。
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作家・評論家をはじめミステリーマニアの集まる下宿屋・時鐘館。編集者の催促を前に「原稿は一枚も書けていない。勝手ながら『消失する』」との手紙を残し、締切直前の老推理作家が姿を消した。翌朝、発見された雪だるまに彼の死体が。マニアたちが展開する華麗でシビアな推理の行方は?傑作ミステリー短編集。(紹介文参照) -
推理小説色の強い短編集だったように思う。
終わり方も好きなものが多く、面白かった。
一番気に入っているのは「黒白の反転」。 -
少し毒のある秀作の短編集。人気絶頂で引退した女優の話、留守番電話のメッセージほか、舞台にもる
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某作家の『時計館』とは全く関係がなかった...
ただわりと良作な短編集ではないか?