死ぬ瞬間-死とその過程について (中公文庫 (キ5-6))

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122068285

作品紹介・あらすじ

死とは、長い過程であって特定の瞬間ではない――人生の最終段階と、それにともなう不安・怒り・恐怖・希望・・・・・・。二百人にのぼる患者に寄り添い、直接聞きとった“死に至る”人間の心の動きを研究した、画期的な書。

感想・レビュー・書評

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  • 『死の五段階説』を提唱したエリザベス・キューブラー・ロスのベストセラー書籍。2001年新訳バージョン。旧訳で「死の瞬間」という邦題が付けられたためそのまま旧タイトルが採用されているが、本来は「死の過程」を意味したものを著述している。200人以上の末期患者とのインタビューを経て、患者自身の死に対する受け止め方や、医療従事者や身内の反応などが報告されている。この書に関しては、キューブラー・ロスの死生観というより、死に瀕した人々が残してくれたメッセージと受け止めたほうがいいだろう。個人的には、穏やかな死の準備は、患者を取り巻く周囲の反応も大きな影響を及ぼすということが、非常に勉強になった。生きているうちに、自らが今後死に向かう過程でどのような姿勢を周囲に発信していくかということを熟考していきたい。

  • 死に直面した人達のインタビューがたくさん載っていて
    死ぬ前の不安や気がかりについて色々聞くことが出来る

    無意識下では自分は不死身であるという言葉にハッとさせられた
    確かに普段からあと1年で死ぬかもしれないとかそういうことを考えてはいないが、可能性としてはいつでも、なんなら明日にでも死ぬ可能性はある

    死というのは命が消える瞬間ではなくその過程であるらしい
    そして命が消える瞬間は穏やかな身体機能の停止でしかないとのこと
    本書を通して死への恐怖が薄れた

    死が迫っている人に対してその話を避けるべきではなく、死にゆく人も残される人も死を受けいれた方がお互いに良い結果になるようだ
    もし自分も死が迫ってきたらその意識で無理はしないようにしたい

  • (2024/03/27 5h)

  • 元々は臨死体験者や末期患者が死を前に何をしたかったか等を書いた物だったけど、続編は死そのものをテーマに、またそれぞれの宗教の死生観等が纏められている。
    死はいつか来る。自分だけでなく周りの人達も。受け入れるのはそれぞれの立場があるし、難しくて当然。
    私もずっと咀嚼し続けて来たし、今も続けている気がする。

  • 読み継がれて50年。まさに、万人が読むべき一冊。200人に及ぶ末期患者への直接面接により、死に至る人間の心の動きを探る。
    ただ延命をすればいいというわけでもない。患者の家族の意見が優先されがちであるが、死に臨む患者の暗黙の訴えにもっと敏感になるべきである。

  • 古典です

  • 末期のガン患者などへインタビューしたちょっと古い本だがベストセラー、ロングセラーになっている本。
    終末医療の聖書レベルで読まれているらしい、そしてすごく興味深かった。
    人が人でいる為に大事なこと、またその周辺の人たちの感情、医療に関わる人だけでなく、人としていつか死に瀕する時にどのようにして心が変わっていくのかの経過がすごい。
    そして時代背景もあるのか宗教的な感性がとても多いのは今となってはどう変わったのだろうと考えている。
    そしてきっと死ぬまで考える内容でもあると思う。

  • 本屋さんで目に入って思わず手にとってしまった本。買うか買うまいか逡巡しなかったわけではないが(多分それは「死というもの」を恐れている気持ちにつながっているからだろうと思う。)結局買うことにした(つまり「死というもの」についてあらためて心のわだかまりを整理したいと思ったのだ。)

    同じような本は20年以上まえに千葉敦子さんの本や岩波新書を読んだが、そのときとはまた違う状況で読むことになった。1990年代初頭のことだ。この本を読んで、患者が「死というもの」を受け止めるときの段階「否認・孤立」「怒り」「取引」「抑うつ」「受容」というカテゴリーを作り出した人だと初めて知った。

    日本で「(がんの)告知」とか「ホスピス」がこんなに普通に(ある意味、身近に)なったのはいつのころからか。余命というものを医者に聞くこと、医者がその質問に答えること、それを聞いた人を支えること、その人の周りの生きている人(家族とは限らない)を支えること(グリーフケアも含めて)。みんなあたりまえのことなのだ。どんな言葉を書き連ねても空虚に見えるのだけど、「死」とは至極個人的なことでありながら社会的なことであり、必要なことだと思った。

    1960年代から筆者の周り(アメリカ)では患者との対話、医療従事者との対話が行われてきた。患者の場合は対話というより患者の話を傾聴する。アメリカと日本では宗教観がかなり異なるせいかこの本のなかに「牧師」が頻繁にでてくることには違和感を感じないわけでもない。キリスト教では死は苦しみから解放されて神のみもとに帰ることになるから。日本でもホスピスとしてよく知られた大阪の病院はキリスト教系団体の病院であった。

    この本を読むきっかけをくれた友人が結局コロナ禍でオリンピックが延期になったことも知らず、自分でホスピスを選び、終活して旅立った。友人のことを思いながらこの本をあっという間に読み終えた。

  • 記録

  • BTSのRMとSUGAがこの話を出していたから、というミーハーな理由で読んだが、読むべき本だった。自分では絶対に選ばないから、ミーハーで良かったとも思う。
    まだわたしは身近な人間の死を経験していないし、死を前にしたこともない。いつかそれがリアルになったときこの本を思い出したい。
    あとがきで著者のその後を読み、死に触れるということについてムムムとなったりした。

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著者プロフィール

エリザベス・キューブラー・ロス

精神科医。一九二六年、スイスのチューリヒに生まれる。チューリヒ大学に学び、一九五七年学位取得。その後渡米し、ニューヨークのマンハッタン州立病院、コロラド大学病院などをへて、一九六五年シカゴ大学ビリングズ病院で「死とその過程」に関するセミナーをはじめる。一九六九年、『死ぬ瞬間』を出版して国際的に有名になる。著書多数。二〇〇四年、死去。

「2020年 『「死ぬ瞬間」と死後の生』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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