比ぶ者なき (中公文庫 は 61-3)

著者 :
  • 中央公論新社
3.88
  • (20)
  • (21)
  • (10)
  • (1)
  • (5)
本棚登録 : 209
感想 : 24
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (592ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122068575

作品紹介・あらすじ

時は七世紀末。先の大王から疎まれ、不遇の時を過ごした藤原不比等。彼の胸には、畏しき野望が秘められていた。それは、「日本書紀」という名の神話を創り上げ、天皇を神にすること。そして自らも神となることで、藤原家に永遠の繁栄をもたらすことであった。万世一系、天孫降臨、聖徳太子――すべてはこの男がつくり出した。古代史に隠された闇を抉り出す、著者初の歴史小説にして会心作!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 最初、文庫本で600ページ弱という分厚さに戦いたが、読み進むうちに、政の中での権謀術数の凄さに、全くページ数の多さを感じることはなかった。と言っても、休み休み読んで、3日かかったけど。続編の「四神の旗」を先に読んでしまっていたので、少しワクワク感がなかったのが、やや残念ではある。

  • ホントに馳さんの本⁈ってなるけど、面白い。
    人の名前が難しくって誰が誰か分からなくなるのは自分の頭のせいなのでしょうがない。
    不比等はホントに、名前をもらったとしたら他人がそう思ってしまうほど、自分でつけたのだったらそれだけ、怖い人だったんだろうなぁ

    「政とはなにかを成すためになにかを譲る。その繰り返しなのでございます」

  • 強烈なリーダーシップで大和朝廷を動かしていった藤原不比等の権謀術策を、見事に描いた一冊。
    まるで囲碁将棋のように詰めていく恐ろしさは、一周回って見事と感じさせる。
    政治家の見本のような人物。

  • 日本史の勉強

  • 歴史小説だけれど、難しい説明文はあまりなく、ストーリーがほぼ会話で進んでいくのでとても読みやすかった。これがハードボイルドの印象の強い馳星周の作品だなんて!この本に出会えて良かった。続編もあるようなのでそちらも楽しみ。

  • 場面は、主人公の藤原不比等が、自らも信頼を受け、玉座にと思い極めていた草壁皇子の死に立ち会うところからはじまる。持統天皇、文武天皇、元明天皇、元正天皇と、時に協力しあい、信頼を受け、政治に腕をふるい、かけひきをし、皇族や並み居る臣下たちを説得し味方につけ、あるいは蹴散らして、権力を振るう。底には、「父上は満ち足りていたであろう。吾は餓えているのだ」「この国の根幹を変えようとしているとは露ほども悟られてはならぬ。天皇の力を奪おうとしていると見抜かれてはならぬ。未来永劫に続く力を求めていると知られてはならぬ」という思いを抱きつつ。古からのしきたりをねじ曲げ、天皇を神にまつりあげ、本来なら資格のない者を皇位に就けようとする、と謗られても堪えず。政とは、なにかを手に入れるためになにかを差し出す、を地でいき、ひとつひとつ積み重ねていき。最後は、長屋王のなかに、若き日の自らとおなじ野心を感じながらも、死につく、と。「古事記」も天皇を頂点とした国家のありようもみな、藤原不比等が自らの力をふるい、藤原家を未来永劫繁栄させるためにこしらえたもの、という見方から描かれた歴史絵巻。そこまでするのか、そこまで先回りして読み切るのか、といった思いを目の当たりにする圧巻。高島正人「藤原不比等」(吉川弘文館)とあわせて読むと、また味わいが増します。

  • 藤原不比等…飛鳥の世にもこんな人が。世の中権力者の都合ばかり、自分の一族の繁栄の為に利用できるものはなんでも利用する。しかも騙しのスケールは国家レベル

  • 日本史で真っ先に学ぶ時代だし、残された資料が乏しいこともあってか覚える事項も少ないから、比較的記憶に残りやすい天皇黎明期の物語。なるほど、タイトルは不比等由来って訳か。天皇制にとって都合よく捏造されたという日本書紀の解釈も、かなりの説得力あり。そういった常識をひっくり返される爽快感と、テンポの良い展開に、ついつい頁を繰る手が止まらなくなる。それは間違いないんだけど、でも何というか、登場人物たちの薄っぺらさはどうにかならんものか。主役たる不比等も含め、こんなにも裏表のない人たちばかりじゃ、予定調和の展開にしかなりゃしない。ちなみに腹黒さと裏表は別問題で、不比等の腹黒さとかなかなかのものなんだけど、それもとことん腹黒いというだけ。歴史小説である以上、予定調和は当たり前、ではなく、自由度の高い時代を書いているんだから、そのあたりは作者の匙加減一つだろうし、人物像も作者の手一つでしょ。”不夜城”も確か、ちょっと不全感が残ったような記憶があるけど、自分にはこの作風が合わないんだろう。

  • 面白かった。
    不比等が途中からマジで憎くなった(笑)
    ご息女が産まれた時は私もガッツポーズしたわ。

  • ふらっと入った本屋で平積みされてたのを直観で購入。こいつぁ大当たりだった!
    読んでて日本史の記憶がふわっとよみがえる瞬間が何度もあり、更に調べたくなる欲求を抑えながら読みました笑
    いやぁ、書くのがうまいってことだよね。
    読者の知識レベルはバラバラだろうに、それでもあっと言わせる感じは読み応え抜群です。

    あとがきの対談で続編書きたいって言ってたけど、こっちこそ続編読みたい!!
    特に長屋王、これからどう動くよ。(ざっくり覚えてるけど笑)

全24件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1965年北海道生まれ。横浜市立大学卒業。出版社勤務を経てフリーライターになる。96年『不夜城』で小説家としてデビュー。翌年に同作品で第18回吉川英治文学新人賞、98年に『鎮魂歌(レクイエム)不夜城2』で第51回日本推理作家協会賞、99年に『漂流街』で第1回大藪春彦賞を受賞。2020年、『少年と犬』で第163回直木賞受賞した。著者多数。

「2022年 『煉獄の使徒 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

馳星周の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×