- Amazon.co.jp ・本 (281ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122069893
作品紹介・あらすじ
渋沢栄一の孫・敬三が作った私設博物館で蒐集、研究されている新たな学問「日本民俗学」。山形の奇妙な婚礼絵馬、南伊豆の不穏な正月行事を調査するのは、幼い頃、敬三に拾われた記憶喪失の少女・あづみ。相棒の林常彦とともにこの博物館に持ち込まれる謎を解く中で、自身の封印された記憶が蘇る――。文庫書き下ろし。
感想・レビュー・書評
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民俗学をもとにしたミステリー。渋沢敬三や網野善彦という実在した人物が出てくるが、主人公の美少女高校生のあずみと学芸員の林常彦はフィクションだろう。なんかこの二人に心情移入が出来なくて、親しみが湧かないんだよなあ。夢で真相が分かるというのもぶっ飛んでるというか、荒唐無稽だ。いかにも昭和を時代背景にしている民俗学のネタだが、結構えぐいねえ。ほんまにそんなことあるかいなという感じもあるよ。
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渋沢栄一の孫・敬三が作った施設博物館「屋根裏博物館」自体は実在することに感動しました。
婚礼絵馬や不穏な正月行事などの調査を通じて成長する記憶喪失の少女あづみ。
昭和30年代が舞台ですが、あまり古い感じがしませんでした。 -
民俗学ミステリーですがちょっと深掘りが足りないかなぁ。事件の裏事情を主人公が夢にみることで解決してしまうのは、ちょっとミステリーとしては反則な感じがします。
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民俗学に関わるような問題を通して、少女が成長していく物語として楽しめた。
地方の風習などが登場してその由来や謎を探るが、それは綺麗なお話とは限らず悲しい由来や過去があったりする。
それを少女や周りの大人はどう受け止めて、どう活かしていくのか、という点がこの本の面白い所と感じた。
一方で謎を解明するミステリとしてはイマイチだった。
風習やそれにまつわる話は遥か過去のことであり、その発端の全てを明らかにすることは不可能なため、いささか現実離れした形で詳細が明らかにされる。
その点はかなり賛否が分かれることかと思う。
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最近多い民俗学系のミステリ。謎そのものにあまりツイストがなく、大体見当が付いてしまうのが難。少し食い足りない感じ。レギュラーキャラクターは、いい人のバイプレーヤーには味があって良いのだけれど地味。ヒロインはちょっと難しい。
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渋沢敬三が開設したアチック・ミューゼアムを舞台に、渋沢や網野善彦ら実在した人物と、架空の人物である主人公たちが活躍する民俗学ミステリー。昭和30年代の高度経済成長の裏面と表面、都市のお祭り騒ぎの一方で貧困に喘ぐ地域の格差に焦点をあてており、民俗学という学問そのものが当時志していたテーマが本作のテーマにもなっているのが見事です。
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#読了 #澤見彰 #中公文庫
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前のめりに成長しようともがいて、逆に自分の駄目な所露呈しちゃってるあづみの成長も楽しいんだけど、様々な事件を通して語られる貧困の辛さ、貧富の格差が胸に迫る。
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渋沢栄一の孫・敬三に拾われた女学生のあづみが、相棒の林常彦と古い因習にとらわれた人間の闇を追う「民俗学」ミステリ開幕! 文庫書き下ろし。