- Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122071605
作品紹介・あらすじ
第一次大戦の前線へ志願兵として送り込まれたフランス人の医学生バルダミュ。腐乱死体と汚泥にまみれた戦地で一切の希望を失い、アフリカの植民地、アメリカの工業地帯へと地獄めぐりの放浪へと旅立つ。二十世紀の呪詛を背負った作家セリーヌの、鮮烈な出発点。中上健次らによる座談会「根源での爆発、そして毒」を新たに収録。
感想・レビュー・書評
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仏作家セリーヌの激烈な反ユダヤ評論、大手出版社が復刊に意欲 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News(2018年3月5日)
https://www.afpbb.com/articles/-/3166232?cx_amp=all&act=all
夜の果てへの旅(上)|文庫|中央公論新社
https://www.chuko.co.jp/bunko/2021/12/207160.html詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
以下、読み終わった感想ではなく、途中で読むのをやめた理由です。
『夜の果てへの旅』は村上龍の影響で10代の頃に読み、大好きだった思い出の一冊。新装版が出たので再読を試みた。しかし、とにかくビックリするほど入り込めず、毎夜20ページ読むのが精いっぱい。上巻半分と巻末の中上健次交えた鼎談を読んだところで他の本に移ることにしました。今回ダメだった理由としては
1)「凄かった」という記憶だけが長年の間に頭の中で肥大して期待しすぎた。
2)初読の時点で刊行から半世紀はたっていたので、古さのせいではないはず。ただ、近年の読書によって、同じグルーヴをもつ饒舌呪詛系である岸本佐知子さん訳のトム・ジョーンズとか、黒原敏行さん訳の『チェリー』とか、それこそ町田康や舞城王太郎とか、よりアクチュアルで愉しくノれる文章に甘やかされてしまったのかも。(長年改訳を続けられたという生田耕作さんの訳業には心から敬意を表しますし、当時はこの文体がキレッキレだったはず)
3)昔は白人で男性である主人公バルダミュに無邪気に自分を重ねていっしょにこの世を罵れたけど、実は私はバルダミュに悪態つかれる側、もっといえば、眼中にさえ入らない存在であることがわかってしまったこと。鼎談読んで、当時の受容のありさまがわかると、よけいに…。セリーヌが反ユダヤだったのは反資本主義の流れってのがわかり、そこはなるほどと思ったし、バルダミュの飄々とした反戦ぶりは今読んでも新鮮だけども。
『夜の果ての旅』は最後の10行ほどがほんとうに美しく、できれば今回も長い旅の果てにあの文章にたどりつきたかったけど、1日20ページしか読めないんじゃ何カ月かかるかわからんし、読めなくなっていた自分の感受性に対するショックというか失望が募るばかりで辛いので、この辺でいったんやめとくことにしました。ただ、10代の私が、この最後の10行みたいな景色を自分の目で見てみたい、これを読んだこの感じをこれから先もずっと追い求めて生きていきたい、と強く思ったあの体験、それは嘘じゃないし、人生の大切な瞬間ではあったことはたしか。
まあ、昔良かった本を再読しようとかはもうあまり考えず、虚心坦懐に新しい本に手を出せばいいのかな。 -
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○上下巻(2冊):第一次世界大戦の地獄を描き、その文体によって20世紀文学に革命をもたらした小説。
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仏人医学生バルダミュは第一次大戦で絶望し、暗黒遍路の旅へ出る。「呪われた作家」の鮮烈なデビュー作。〈座談会〉中上健次他「根源での爆発、そして毒」