大人になったら、 (中公文庫 は 75-1)

著者 :
  • 中央公論新社
3.72
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本棚登録 : 3797
感想 : 213
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122071711

感想・レビュー・書評

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  • 妙齢の婦人の恋愛小説ということで、自分の様なおじさんにはハマらないのかなぁと思いつつ読み進めましたけど、面白く感じ取れました。
    平均、普通に結婚、出産というのが当たり前という大多数、自分も大まかに少数派なのでメイちゃんの立ち位置もわからなくもなく、性別の違いはあるも気持ちはわかると感じました。
    でも、少し不思議な羽鳥先生は不器用で微笑ましく、このあとメイちゃんと上手くいけばいいなぁと単純に思いました。たまに恋愛物を読むと忘れ枯れていた感情を呼び起こされそうになります。

  • 30代って本当に難しいなぁ、と再認識した本。

    学生の頃はみんな学生で同じシチュエーションにいるのに、30代は気付けばママもいれば、独身で仕事に精をだしてる人もいれば、独身で仕事はそこそこの人もいる。

    人付き合いにも疲れてくる頃だから、新しい出会いもなく。

    そんな中で恋するなんてはっきり言って夢物語。

    でも本作はその夢物語を、ドラマチックになりすぎず、日常の一コマにうまく紛れさせながら描いてくれてます(ラストはドラマチックかもしれませんが)。

    心がどこか寂しいけど、ほっこりしたい!というときにオススメです!!

  • フラッと時間つぶしのために寄った本屋さんで
    最近そういえば小説から離れてるな~と思い立ち止まりました。

    コミックは電子派で以前小説を電子書籍で読んだ際に話は面白かったのですが、あまり充実感が感じられなかったので久しぶりに小説読んでみるか、、という気持ちで帯に書かれた【8年ぶりに、恋をした。】と書き出しでなんとなく直感で選びました。


    この主人公メイちゃんは35歳。
    私はまだそこまでは達していませんが、ひとり暮らしで結婚願望はそこまでなく、子供に関してもそんなに。仕事に関しても目標が明確にあるわけでは…という感じだけれど地元に残っている同い年の子たちは結婚したり出産したり。
    年齢は違えど読み進めるうちにあれ?私?バレてる?という気持ちになれるくらい感情移入していました。


    結末の部分で思わず不器用なふたりにキュンとなって気づいたら涙が出ていました


    やっぱり小説いいですね。
    今年はたくさん読んでみようと思っています
    大した目標のない私の人生が時間をかけて少しでもいい人生になるように☺

  • 体感は星3.9くらい。

    恋愛小説が読みたいぃぃぃい!と本屋で平積みを端から端まで舐めるように見て手に取った本書。
    理由は2つ。
    あおりに『大人の恋愛小説』と書いてあったことと、出てくる主人公が1歳違いだったから。
    あんまり先入観なく読みたかったのであらすじも斜め読み。

    結果、思った通り私の求めていた恋愛小説とは違った。
    違ったけどすごーーーーくよかった。じんわりきました。

    主人公は35歳会社員女性。恋人とは8年前に別れてから恋愛はなし。結婚も恋人も特になく目標も特にない。けど特に不幸とも思ってない。自分の行く末に関しては多少不安に思っている。
    こう書くとすごくアレー?って感じなんだけど、これってすごく普通なんだよね。
    私のことかと思った。いや、私は結婚して子どももいるんだけど、きっとそうじゃなかったら似たような感じなんだろうなと思う。
    そう思うし、あれ?私のこと?って思う人はたくさんいると思う。
    それくらい共感性高い作品。

    だって誰もが出世!出世!結婚!結婚!仕事!仕事!子ども!子ども!
    やるからには上を目指せ!次のステージを求めろ!って思ってるわけではないんだよ。
    自分は自分なりでそれで幸せな人もいるんだよ。

    主人公は予備校の先生との出会いをきっかけに少しずつ変わっていって、前を見据えたところで物語は終わるんだけど、それがいかにも小説らしくてすごくいいなと思ってしまった。
    だってこれって私のこと?で終わってしまったら面白くないもの。そんな私の日常なんか小説として何が面白いの?

    同年代としてすごく響く作品。
    20代の無鉄砲な若さは眩しく感じ、40代以降の先を見据えた落ち着きまでは達してない、30代は昔自分が思っていたよりずっと中間。

    余談ですが、個人的に元彼フウちゃんは大嫌いです。
    年賀状送ってみたり、大ちゃんの披露宴後しつこくついてこようとしたり。
    中でも1番の嫌いなエピソードは、何かあったら連絡しろよってとこ。
    なぜ!!あなたに!!連絡しなければいけない!!
    自分が一番良くわかってるとでも思ってるんですかね!!
    私の中のひねくれ部分が大きく叫んでました。笑
    主人公は消化してるのかもだけど、私は大嫌いです!
    私ならコラーゲンたっぷりラーメンを前に罵りまくってそうな気がする。笑




    @手持ち本

    • あきらさん
      田宮さん、はじめまして!感情が爆発している感想が面白くてコメントしてしまいました!笑
      私がこの本を読み終えてうまく言語化できなかったことを田...
      田宮さん、はじめまして!感情が爆発している感想が面白くてコメントしてしまいました!笑
      私がこの本を読み終えてうまく言語化できなかったことを田宮さんが文字に起こしていて、勝手にすっきりしました(^▽^)/
      2023/01/18
    • 田宮さん
      コメントありがとうございます!

      あまりにも感情がおもむくままに!思ったことをだらだらと!書きすぎていたので恥ずかしかったのですが、そう言っ...
      コメントありがとうございます!

      あまりにも感情がおもむくままに!思ったことをだらだらと!書きすぎていたので恥ずかしかったのですが、そう言って頂けて救われました!
      楽しんでいただけて何よりです(笑)
      本読んでるとたまに大爆発しちゃいますよね…
      2023/01/18
  • 女性は男性に比べると切り替えが速い人が多いから、メイのような過去に囚われがちな女性は少し珍しいかもしれない。まぁ、物語の中で元カレもあっさり過去になってしまうが。男性の場合は羽鳥先生は少し極端だが、フウちゃんくらい元カノを気にしているくらいは普通。大ちゃんくらいにスパッと諦められるほうが男は珍しいと思う。

    メイは元カレを忘れられないし、新しい男性のことも元カレの残像を通して見てしまう。年齢も35歳で、若い頃のように衝動的に動くことはできず、行動する前にいろいろと考えてしまうせいで逆に身動きが取れなくなっている。

    女性にとって35歳というと結婚・出産のチャンスがかなり限られてくる時期で、同時に仕事を選択するにしてもキャリアをどうするか考えなければいけない時期でもある。メイのように過去に囚われがちで考えすぎてしまう女性はかなりしんどいだろうと思う。

    自分だけ前に進めていない気分になったり、比べるようなことではないのに劣等感を抱いてしまったり、普通というものがわからなくなったり。特別なイベントがある物語ではないが、同じ境遇の人が感じる大体のことは網羅されている普遍的な小説だと思う。男性の私でも年齢が近いせいか共感するところが多々あったので、自分だけの苦しみではなくて結構な人が同じようなこと考えているんだなあと感じた。

    人間というのは面白いもので、これだけ八方塞がりで自分ではどうしようもないと思えた状況も、ちょっとした刺激とか環境の変化で急に歯車が回りだすことがある。最短経路では進めないなと思っても焦らずに、回り道をするつもりで何かいつもと違うことを始めてみるときっかけが得られるかもしれない。

  • あと10年
    私はどういう風に過ごすのだろうか
    同じような悩みを持つのだろうか、そんな気がする

  •  葛城メイ35才、女性、彼氏いない歴8年。元カレには10年付き合って、振られた。仕事は順調。昇進のチャンスもある。

     父はとてもいい父親だった、と思っていたら、10年間浮気していて、娘が大人になったのを機に出て行った。母はその後癌で亡くなった。

     友達はほとんど結婚して子供が小さくて、話も合わなくなってきている。

     楽しいこと、辛いこと、ちょっと話したい時に行くバー、その繰り返しで毎日が過ぎていく。

     恋ってどうやってするんだっけ?いつ好きって思うんだっけ?すごく、恐る恐る恋の正体を探ろうとする。そんな大人の女性のお話。

     少女漫画や韓国ドラマみたいに、ジェットコースターに乗ったみたいに、爆走する恋ではなくて、じんわりじんわり、ゆっくりと自分の気持ちを確認しながら進むメイが、とてもリアルだと思った。

     部下に指示するだけでなく、話を丁寧に聞こうとする姿勢。でも、期待しすぎてイライラして、ついぶつけちゃって、後悔するんだけど、自分の中で納得できなくて、謝りそびれちゃったり。お仕事小説としての部分もすごく共感できる。

     恋愛も、結婚もしなくてま、生活していける。

     それでも、わたしの人生には、彼が必要だと感じる。

  • もっと話がしたいと
    そう思える人の
    もっと近くの席が
    空いていたらいいのに。

  • 35歳の女性
    キャリアアップと恋の両立は難しい。

    私はまだまだ30代にはならないけど
    今の彼氏と万一別れたら、こんなんになるのかな…
    なんて想像しながら読んでた。

    35歳になったから、恋なんてもういいや
    みたいな風にはなりたくない。

    だから、最後の場面は
    心に爽やかな風が吹くような感覚に見舞われた。

  • 畑野智美さん大好きです。最近「消えない月」「神様を待っている」と重い作品を続けて読んだのでちょっとほんわかで元気をもらえる読後感が良かったです。
    いくつになっても日々悩み、大人になりたいと願う事が大人なのかな?などと考えてしまいました。

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著者プロフィール

1979年東京都生まれ。2010年「国道沿いのファミレス」で第23回小説すばる新人賞を受賞。13年に『海の見える街』、14年に『南部芸能事務所』で吉川英治文学新人賞の候補となる。著書にドラマ化された『感情8号線』、『ふたつの星とタイムマシン』『タイムマシンでは、行けない明日』『消えない月』『神さまを待っている』『大人になったら、』『若葉荘の暮らし』などがある。

「2023年 『トワイライライト』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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