コイコワレ (中公文庫 い 124-2)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 398
感想 : 40
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122072923

感想・レビュー・書評

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  • 螺旋プロジェクト最後に作品。

    この作品のテーマが丁寧に描かれていて、全作品の中でも1、2を争う良作。

  • 螺旋シリーズ4冊目。

    裏表紙とかのネタバレあらすじは極力読まないようにしてるけど、帯にある「相剋するふたりの美しい少女が目覚め、祈るとき、新しい世界の物語が始まるーー」だけは目が行ってしまったので、そこから女の子たちのあら〜、な展開かと思いきや、普通に山と海の対立バチバチで憎しみ合う上に、舞台は大戦末期という、だいぶ救われない話だった。

    ただ、主人公二人の描写がとても良く、特に野生児のリツを応援したくなってしまう。
    しかし、この山の海の一族の身体的特徴、別作品だと「よく見ると目の色が違うように思える」程度だった気がしたが、今作ではもうはっきりと青。子供同士のいじめに使われるレベル。誰がいつ見ても青というわけではなく、条件によるとか、少なくとも普通はそこまで気づかないくらいのものだと思ってたが… まあ、あくまでも同じコンセプトから派生しただけでどう表現するかは作者次第だからこういうこともあるか。特に大戦中で目が青いという要素があれば、そりゃ鬼畜米英の血が入ってるとかに使いやすいよな。

    あと、首飾りも明らかに命を救うという超常能力が備わっててそこも他の作品と違う気がしたが、前回のもののふの国でも山と海の両属性持つ人達が神の使いみたいな感じになってたし、まあ似たようなもんか。

    後半からは、どうにも馬の合わない相手でも自分の憎しみを制御することが肝心という、人生の教科書みたいな内容になってきて、道徳の教科書かな?みたいな感想をちょっと持ちながらも、ちゃんと成長していく二人をもはや親目線で見守ることに。どうか幸せになってくれ〜。

    リツの兄ちゃんが山越えようとして顔潰されて死んだのだけがよくわからなかったな…

  • 文庫が出た順番の関係もあり、螺旋シリーズの最後がこの本になりました。時代順に読んで、「天使も怪物も眠る夜」で終わるのも良い選択だと思いますが、この本で終わるのも私は良かったと思います。良い作家に出会えて幸せです。

  • ※評価はすべて3にしています

    螺旋プロジェクト。私が読んだ中では4冊目。

    身分制度が形式的になくなった後、強調されるのは差別。そこにさらに集団心理が強調された。
    物語の構図が対立から学びに変わる過程はあまりに見事。

    ストーリーではないが、方言を文字ですんなりと読める表現にも驚く。
    特に宮城や山形あたりに縁があるからかもしれないが。


    もちろん螺旋プロジェクトの次の時代を読まなければならない。

  • 日本の敗色濃厚な第二次大戦末期。相剋するふたりの少女が、目覚め、祈るとき……。新しい世界の物語が始まる。特別書き下ろし短篇収録。解説・瀧井朝世

  • とても面白かった。良い作品に出会えた。祝はな丸1 ⸜(*ˊᗜˋ*)⸝

  • 太平洋戦争中、東京に食堂を営む父、母と暮らす蒼い目を持つ清子。
    父は突然不慮の事故で死んでしまう。

    食堂は母が一人で切り盛りする中、戦争が激化し清子の小学校は宮城に疎開する。

    疎開先の寺で地元のリツという少女と出会う。リツは存在自体が清子をざわつかせる。リツも同様に清子の存在を明らかに意識してしまう。

  • 螺旋プロジェクトは2冊めだが、海族山族にはやはりどうしてもなじめなくて、なじめないまま終わった感じ。

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著者プロフィール

乾ルカ
一九七〇年北海道生まれ。二〇〇六年、「夏光」でオール讀物新人賞を受賞。一〇年『あの日にかえりたい』で直木賞候補、『メグル』で大藪春彦賞候補。映像化された『てふてふ荘へようこそ』ほか、『向かい風で飛べ!』『龍神の子どもたち』など著書多数。8作家による競作プロジェクト「螺旋」では昭和前期を担当し『コイコワレ』を執筆。近著の青春群像劇『おまえなんかに会いたくない』『水底のスピカ』が話題となる。

「2022年 『コイコワレ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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