暗号のポラリス

著者 :
  • NHK出版
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本棚登録 : 103
感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140056738

作品紹介・あらすじ

学習障害の一つである難読症をもつ小学校6年生の斎賀結望は、両親を亡くし、親代わりである兄・昭彦と二人で暮らしている。ひらがなの文章さえすらすらとは読めないが、とある「道具」を手に入れ、文字と言葉を自分の力に変えていく。そしてある日、両親と縁のある場所をめざし、ユノは西へと旅に出る。

感想・レビュー・書評

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  • ディスレクシア、ってワードをこの本でインプットしてから、スマホ使ってる時に見かけるたびに目が留まるようになった。

    一人一人の心の「ぐぬぬ…」な気持ちが伝わってきて、私もぐぬぬ…。
    伝わらない、分かってもらえない、否定される、共感を得られない。もどかしい、で表現しきれない気持ち。

    雪山でのお父さんとお母さんの気持ちはどんなだったか、、、。
    塔の高さはどれほどか。


    好きなシーンは、地団駄踏んで、心配したんだって怒るところ。
    気持ちが溢れてるってことに、なんでこんなに感動しちまうんだろう。

  •  真理子は恋人の昭彦と暮らすことになった。その家には難読症の少年ユノがいた。真理子はユノの見える世界の想像がつかないけれど、すこしずつユノに合わせて言葉が読めない世界を理解していく……というもの。

     わからない真理子さんの目を通すことにより「わからない」のわからない加減が可視化されるというか、もどかしさに共感ができる。
     そうして、タイトルにもあるポラリスの意味がじんわりと染み渡る。なんでじわじわくるのか自分でもわからない不思議な感動を覚えた。
     オススメ。

  • 難読症の少年ユノの成長物語。ユノの母親、父親、兄・昭彦、昭彦の彼女・真理子、学校の先生。人によってユノの性質の捉え方は違う。ユノには何ができて、何ができないのか。頑張ればいつかできるのか、本当にできないのか。昭彦や真理子がユノに何をしてあげられるだろう、と考え悩んでる内容が本当によく伝わってくる。高い無線塔を登った先でユノがあるものを「見つけた」驚きに、一緒に胸が熱くなった。昭彦がユノの成長に涙するシーンも不意打ちだった。お兄ちゃん、不安も多かったけど、本当に頑張ってきたよね。

  • 悲しみだとか感動だとか、そのカテゴリー外で涙が出たのは何年ぶりだろう。前回のそれを詳細には覚えていないが、この作品が久しぶにその感覚を呼び覚ませてくれた。人は「心が震えた時」に涙が流れる。そして、何度でも読み返したくなる衝動が絶え間なく押し寄せる。心の震えがおさまらない。大傑作だ。

  • 難読症を抱える少年とその周囲の人間模様・・・
    うーん、自分はなんて恵まれているんだと再認識するな・・・

  • 難読症のユノ.彼を中心に兄,兄の恋人,母視点で語られるが,とちゅ分かりにくい文だと思っていたらそういう時系列だったのかと納得.合田先生ともお互い成長して理解に至るのが素敵だった.ユノにとっては生きにくい世界だと思うが,ユノの世界もまた素敵だと感じた.無線塔,行って見たいです.

  • 記憶喪失してもう一度読みたい作品。傑作。

  • 難読症の男の子ユノと兄と兄の恋人。
    ユノは賢い。
    実際の難読症の子は様々なパターンがあるとは思うけど、もっと厳しい現実があるかも。

    実際新幹線の切符は口頭で買えても、行き先間違えずに乗れるかな?
    自分が電光掲示板に頼るからそう思うだけで、アナウンスでも大丈夫かな?と気になる。

    活字とともに暮らしてる自分にとって難読はかなりの苦難に思える。
    でも本文にもあったけど、会話が先で文字は後からできたものだと改めて考えた。
    文字のない時代、国、日本だって文字を学習させてもらえず識字できない人が現代にもいる…。

    文字!

  • 難読症の少年ユノの旅と成長の物語。大人になったユノの部分が中盤からちょこちょこと差し込まれていて読みにくかった。難読症という障がいは、外見でもわからず、人から理解されるのは難しいかもしれないけれど、ユノが大人になって、ちゃんと社会生活を送っていることをうれしく思った。

  • 難読症・・・ディスレクシアかと疑われる小学生のユノと、彼の唯一の肉親である兄の昭彦、昭彦の恋人として自宅に押しかけてきた真理子、3人の物語だ。
    障害と簡単に判断できないグレーな状態のユノに対して、家族が、学校が、ユノ本人がどうやって向き合っていくのかということを、長崎の無線塔や独特の文字を町中に吹き付ける行為など、詩的にも感じるモチーフや引用を交えながら描いている。
    この人の描く世界はとても美しいと思う。

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著者プロフィール

小説家

「2021年 『ペンギンのバタフライ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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