10歳から身につく 問い、考え、表現する力 ぼくがイェール大で学び、教えたいこと (NHK出版新書)

著者 :
  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140884393

作品紹介・あらすじ

田舎の公立学校で学び、アイビーリーグの先生になった著者の願いは「日本の子どもに学ぶ喜びと作法を伝えたい」。先行き不透明な時代を生き抜く、不動の「学ぶ力」をいかに身につけるか。大人はそれをどうサポートすべきか。教養教育の名門イェール大学で学び教えた10年間の経験と実感を込めた、渾身の「子どものためのリベラルアーツ」指南書。教育に関わるすべての人に。

感想・レビュー・書評

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  • 本書に、販売戦略の結果のようなタイトルがついていて、このタイトルは好まない。仕方がないのかなと思う。

    本書の構成はよく考えられている。内容面から見ると、序章、第1章をふまえて、第2−5章は、読ませる内容だと思う。主張(本書のテーマ)は、日本の教育の現状に向けた第1歩と見るなら、十分機能しているだろう。

    特に、第5章「学問」として各教科を点検するは、著者の主張が編集者を上回ったことが見て取れるほど、日本の教育環境がしっかりと考えなければならない箇所だ。中学・高校の授業が、大学の勉強、ひいては社会でどのように繋がっていくのかを、はじめから子どもたちに見せていくことの重要性と、その具体的な方法を考察しつつ、現在の各教科を点検し、問題点を洗い出し、かつ現在の子どもたちに、マイナス点を含めた現状をどう考え、どうすれば活用できるか、提言しながら示そうとしている。不十分であることは随所に否めないが、こうした指摘がなかった、もしくは、ほとんど表に現れなかった現況を見ると、大いに評価されるべきだと考える。

  • 10代に伝えたいこと。
    者の考え方の広げ方。
    英語塾を子供向けにカリキュラムを組んだ方なので興味を持って。
    英語の話は最後に少し。
    グローバル人材とかいうけど本質はどこにを案内。

    やっぱ図書館と本だよねと思考トレーニングとの解説に共感する。

  • 年収に関しても鋭い指摘が有りました。
    10歳という視点は私自身も子育ての区切りにしてます。息子は8歳になろうとしています。9歳になった時点で再読致します。

  •  自分たちが受けてきた教育では、子どもたちはこれからの時代を思うようには生きていけないだろうと感じていたので、なにかどうにかできないかと思い、手に取りました。
     イエールが鼻につく?みたいなレビューがありましたが、そうは感じませんでした。
     英語の本を出されてるので英語に特化した内容かと思いきや、算数や理科、社会、歴史、読書法と幅広く論じられていて、勉強になりました。
     自分が抱えていたもやもやをだいぶ解消できました。親が家庭でサポートできる部分は大きいと感じました。
     こどものリベラルアーツ指南書の名に相応しい内容でした。

    ○メモ
    カーンアカデミー
    コーセラ
    等のオンライン学習支援セット。
    科学的思考 がキーワードかなと。
     どうしてわからないの?は禁句
     問いかけを許す家庭に。普段から自分でも、一言理由を付け加える習慣を。親も合理的な説明や反論を。
     howよりもwhyを。
    中学受験は頭脳の減反政策。
    英語を話したいという気持ちが大事!

  • 教育

  • <目次>
    はじめにー自ら学び、問うためにー
    序章 「グローバル時代」に必要な値六とは
    第一章 日本の子どもが得意なことと苦手なこと
    第二章 「問う」ための環境づくり
    第三章 「考える」ための学問の作法
    第四章 「表現する」ための読書法
    第五章 「学問」として各教科を点検する
    第六章 英語を学ぶときに覚えておいてほしいこと
    おわりにー世界のどこでも生きていける一生ものの学びをー
    もっと学びたい子のための読書案内

    <メモ>
    「グローバル人材」という不思議な言葉
    「人材」企業や組織のなかで管理される対象
    指導力、リーダーシップを発揮する人を指して「人材」ということはありません。
    「大人物」に違和感を抱くことはありませんが、「大人材」といったら編です。ですので、人材に「グローバル」をかぶせると、「世界をまたにかけて管理されている」ような形容矛盾を感じます。

    イェールの教育哲学
    レヴィン総長「科学の最先端に立ってみればわかりますが、何が真理かは必ずしも自明でなくなることがあります。新しい検証課題に対して、新しい手法を考案しながら立ち向かわなければならないことが多いのです。
    真に革新的な課題に取り組んでいるときには、それまでに答えのない課題に対して批判的に、そして真剣に取り組んだ経験が生きてくるものです。だからこそ、将来は物理学者になるかもしれない若者が、第一次大戦がなぜ勃発したのか議論することが大切なのです。未来の生物学者が、シェイクスピアを分析的に読んでいくことも同じ意味で必要なことです。・・・」

    中学受験で得るもの失うもの
    試験を経る度に学ぶ意欲が衰え、受動的になってしまう、そんな日本の若者を大勢見てきました。(中略)
    学ぶことの喜びを折にふれて伝え、できなかったことを叱るより、できたことをほめてあげるようにしたいものです。

    伝わりやすく書く、話す
    英語の文章作法は、歴史的にイギリスが植民地支配を行うなかで、また米国が移民を受け入れていくなかで、英語を完全に理解していない住民にもわかりやすく行政命令を伝えたり、異文化の軋轢によるさまざまな紛争を仲裁したりしながら育っていったものです。

    図書館は知の殿堂
    インターネットにはない図書館のメリットは、どのような内容の本がどの位置にどんな順で並んでいるかを、目で見て手でふれて確かめることができることです。難しくいえば、概念と概念のつながりを空間的に把握することができます。

    批判的に読む
    本は著者の考えに誤りが含まれる可能性があることを前提に呼んでいくことも可能です。これを「批判的に読む」といいます。

    今すぐ改めたい「頭脳の減反政策」
    算数では、学ぶ範囲を限定することで、「簡単な問題」を不必要に難しく考えることが奨励されてしまうという、おかしな事態が発生します。(例:つるかめ算)

    日本型教育と現実的につきあう
    日本の教育にも、他国に比べて明らかに優れている点が多々あります。まずどの学校に行っても立派な体育施設がここまで整備されている国は二歩苦いでは考えられません。米国では、プールや体育館のない公立小学校が珍しくありません。技術家庭の授業を通じ、裁縫や料理、木工など、生きていくうえで必要なスキルを習得できるのは、日本の教育の強さです。教育改革をめぐる有識者たちの表面的な議論とは対照的に、日本の教育現場は、子供たちの生きる力を十分すぎるぐらい大切に考え、伸ばすことに努めています。

    インターナショナル・スクールに通わせる前に
    言葉を学ぶ過程には莫大な無駄が伴います。母語を習得するプロセスにおいて、子供は具体的な状況を目にするなかで、これに対応する音声を聴きながら育っています。

    英語至上主義からの脱却
    (イェール大学)一年間は外国語の授業をとらなければならない決まりになっています。これは、新しい言葉を習得することによってさまざまな感受性が身につく、あるいは意識して身につけていくことが重要だと考えているからなのです。

    学部までは優秀な日本の理系教育
    日本に比べるとアメリカではサポートすタフの職の数が圧倒的に多いので、自分の実力に見合ったポジションで、分相応の貢献ができるわけです。
    日本で大学教授になったら、やりたい仕事がなかなかできないでしょうね。委員会の会議がたくさんある。入試問題も作らなければならない。入試監督もする。それはもう、雑用だらけで、環境はよいとはいえません。

    大学院留学のススメ
    そんな高額の授業料なんか一切払う必要はないし、おまけに生活費まで出してくれるRA(Research Assistantship)という制度を知ったときは大きなショックを受けました。

    最終的に、人生は思考力で決まる
    問いを見つけて、それにどう答えるのか。そして、答えが合っているかどうかわからないものを、いかに説得させるか。アメリカではそういう思考力が育てられてます。日本の教育にはそこがかけていると思います。
    木曽となる計算力、ロジック、知識は必要です。アメリカの学生は思考力は強いけど、基礎が弱いかなと言うところもあります。たとえば、試薬の計算は、私は暗算でやりますが、彼らは計算機を取りに行くという場面があります。


    2014.06.30 政策分析セミナーで著者の話を伺う。
    2014.09.04 読書開始
    2014.09.12 読了

  • 元イェール大学助教授の本。
    教育や教養のあり方について、日本とアメリカの比較をしている。どちらにも一長一短があるものの、アメリカ式の思考に創造性などのアドバンテージがあることが、現地での経験を通して述べられている。
    中学生くらいのときに読みたい本。

  • なぜ学ぶのか、何を学ぶのか。大学で教養を大事にしている先生方とディスカッションしている時に出てくる話題が次々出てきて、それが上手くまとめられているので大変わかりやすい。大学に入るためのテクニックを磨いてきた学生が、大学に入って本物の「学問」に出会って戸惑う姿をよく見るだけに、とても納得できる。ただ、最近の大学自体が「学問」をできる環境ではなくなっているケースもあって、憂いは深まるばかり。せめて図書館で自由な学習をできる環境を整えたいけど、そもそも「学びたい」というデザイアがないようでは、それも使われなくなってしまう。だからこそ、そういう気づきの場にしたいんだけどね、図書館を。

  •  基本的なトーンは、教養教育の大切さを訴える本だと思う。即戦力になる知識、実学じゃなく、古典とかリベラル・アーツを学ぶこと。知識を蓄積する前に、学び方を学びましょうという話だ。

     教える、学ぶって、やっぱり楽しいことなんだよね。そういうことを忘れないで、子どもに接したいと思うね。

     仕事としての、教育の魅力を感じた。

     俺自身、本を読むことは好きな子だったけど、数学とかもっとやっとけば、って思うものなぁ。まぁ、今からでもやりゃーいんだけどさ(笑)。

     グローバルだ、あるいはグローバル人材だ、なんていわれると構えるところがあるんだけどさ。人間、あるいは少なくとも子どもたちが持っている学びたい、知りたいという気持ちを大事にしようね、という部分は共感できる。

     24時間営業の図書館とか、うらやましいなぁ、って話も楽しかったけどね。

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著者プロフィール

1969年山形県生まれ。J PREP斉藤塾代表。上智大学外国語学部英語学科卒業、同大学国際関係論専攻博士課程前期課程修了後、カリフォルニア大学ロサンゼルス校大学院を経てイェール大学大学院政治学専攻にて博士号(政治学)を取得。フランクリン・マーシャル大学助教授等を経て2008年イェール大学政治学科助教授に。2012年に帰国し、東京都と山形県で英語と教養を教える私塾を創業。2002‐03年衆議院議員(山形4区)。主な著書に、10万部を超えるベストセラーとなった『世界の非ネイティブエリートがやっている英語勉強法』(KADOKAWA)ほか、『10歳から身につく 問い、考え、表現する力』(NHK出版新書)、また、研究者としては、第54回日経・経済図書文化賞ほかを受賞した『自民党長期政権の政治経済学』(勁草書房)がある。

「2023年 『アメリカの大学生が学んでいる本物の教養』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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